(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成29年(2017) 11月19日(日曜日)
  
投稿日時: 17年09月01日

 美術新聞社が長年にわたって、『レジャー白書』なる民間の調査データを頼りに「書道人口」をはじいてきたことは周知の通りだが、この『白書』が近年、それまでの人手を使ったマンツーマンに近い調査から、爐手軽瓩淵ぅ鵐拭璽優奪板敢困棒擇蠡悗錣辰新覯漫⊃頼性が極端に下がってしまった

▼「ネット調査」が許せない理由を1つ説明すると、それは『白書』の「参加人口は、参加率に15歳〜79歳人口、1億0、066万人を掛け合わせて推計している」という記述にある。ここでは80歳以上の人口が全く無視されているのであり、我が国の80歳以上の人口は、実に1,000万人超なのである

▼「ネット調査」というのは、調査会社に「モニター登録」している人が対象だから80歳以上の対象者が極端に少なくなるのは不思議でもなんでもない。だが、かつての『白書』は、参加人口を出すのに80歳以上を含む1億1,000万人超という母数を使っていたのである

▼書道界では、長年書道を続けてきた人は80になっても、90になっても、年に1度も筆を持たないというケースはまず少数派だろう。切り捨てられた1000万人の中に相当数の書道人口が埋もれてしまったと見るほかないのである。

(書道美術新聞 第1105号1面 2017年9月1日付)


投稿日時: 17年08月01日

 「書道で毛筆大好きの人々には、『いよいよ毛筆の時代が来た』と受け止められるのではと心配なのですが、これは決してそうではないのです」。長野氏は、小学校の先生たちを前にして力説した

▼新しい指導要領で小学1・2年生の「書写」に「水書用筆」が導入されることになり、むろん書道界には戸惑ったり警戒心を抱く人は1人もいないが、全国に40万人と言われる小学校の先生たちの多くはそうではない。小学校は全科担任制でどんな教科も教えるのが原則だから、先生たちの中には「毛筆」が始まる三年生から上の担任は持たないという人も少なくないと聞くほどなのである

▼免許法に「国語(書写を含む)」という規定が加えられて早30年近く。「書写」の単位を取って大学を出た先生が過半数を占める時代になったとはいえ、「書写」が好き、「書写」が得意という先生は限られている

▼だから長野氏が、「あくまでも硬筆のための水書」、と口を酸っぱく説くのも当然なのだ。従って書道界・書塾界としては、ここのところをしっかり認識し、学校教育と歩調を合わせながらの、賢い対応が求められよう。「同床異夢は避けたい」、「同じ寝床から違う空を見ることのないように…」。長野氏の言葉である。

(書道美術新聞 第1104号1面 2017年8月1日付)


投稿日時: 17年07月15日

 過日、書塾の指導者の先生たちと懇談する機会があり、その中で盛り上がった話題の1つが「左利き」の生徒の指導についてであった

▼「最近、左利きの子供が増えてきたと思いません?」という、1人の先生の発言がキッカケだったのだが、多くの先生たちが「そう、そう」と同意していた。かつては左利きの子は基本的に親が矯正したものだから、学校に上がるころには大概、右で箸をもち、字を書くようになっていたものだが、「左利きを矯正すると、脳に障害が残る」「吃音になる」などの説が唱えられ始め、教育現場でも「原則として矯正しないのが正解」という流れになったことは記憶に新しい

▼しかし書塾では、「正しく整えて」文字を書くことを教えなければならない立場もあり、「矯正」を求める親御さんもいたりして、今も悩む人が多いらしい。しかしある先生の、「『硬筆は左で構わないのよ。でも、筆は右で持つものなの』というと、全く抵抗なく右で持つようになりますよ」という発言があり、みな目からウロコの風情であった。筆が猗麁常瓩慮渋紊世らこその指導テクニックといえそうだ

▼そういえば、ダビンチもピカソもベートーベンも左利きで、大芸術家には左利きが多いという説があるが、これは目立つ例を挙げているだけのような気もする。

(書道美術新聞 第1103号1面 2017年7月15日付)


投稿日時: 17年07月01日

 東京五輪関連のビッグイベントを模索、構想する動きが書道界では一向に聞こえてこないと嘆いていたら、お隣の国から相当な本気度の五輪絡みの企画展計画が飛び込んできた

▼「書で平和に」と高らかに掲げ、日本・韓国・中国の3国が同じ年代構成で代表作家を25名ずつ出し合い、ソウルで3×4辰箸い辰紳膾遒廼ケ蕕靴討發蕕い燭い箸いΔ里任△襦しかも、韓国政府の文化体育観光部が国家予算を充てて直接主催に乗り出すというのだから、種々関係がぎくしゃくしている中国側も人選を始めていると聞くし、日本も協力せぬわけには行くまい

▼しかも知恵者はいるもので、来年の平昌から、2020年の東京、そして2022年の北京冬季五輪までの猩結イベント瓩砲箸いΩ討啌櫃韻箸△辰討蓮∪治的にはどうあろうと文化に国境はないのだし、文化で困難を克服しようという意気込みは、あっていい。田宮氏ともそういう認識で一致しており、連名で協力要請を出そうと話し合っている。人選枠が少ないので苦慮しているが、該当の方々には、どうかよろしくご協力をお願い申し上げたい

▼そして最後にもうひとつ。この提案を文科省・文化庁、そして東京都などに、ぜひ真剣に受け止めてもらいたいと思う。

(書道美術新聞 第1102号1面 2017年7月1日付)


投稿日時: 17年06月15日

 先週、駆け足で西安と北京を歩いてきた。北京では、旧知の篆刻家にわざわざ西安から同道してもらって中国国家画院を訪問し、いま中国美術界で最も大きな影響力を持つといわれる楊暁陽院長と会うことができた。その篆刻家が、楊氏の弟子という関係である

▼初対面だったが、楊氏には十年の知己のような歓待を受け、有意義なひと時を過ごしたのだが、その楊氏から、「安倍首相は、書をやりますか」と聞かれた。私は、「よく知らない。しかし一度、台湾で日台交流の展覧会に色紙を出されたのを見たことがあります」と答えた

▼そうしたら楊氏は、「安倍首相はよくやっていると思うが、時々カッとなることがあるようで、それが欠点だと思う」と言い、「機会があったら、安倍首相に言ってください。忙しいだろうけど、たまには心静かに書を嗜むゆとりをお持ちなさいと。そうすれば、きっといいことがありますよと」と続けた。私は、「必ず伝えます」と答えた

▼実は前日、同じ北京で超高名な画家を訪問し、その人に「ぜひ日本においでください」と言ったら、「安倍首相が辞めたら行く」と返され、彼の国の朝野の雰囲気を肌で感じたばかりだったので、楊院長の人物の大きさに改めて感じ入ったのであった。

(書道美術新聞 第1101号1面 2017年6月15日付)


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