(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 令和年9月21日(火曜日)
  

住川教授の「手紙だんらん室」完結

 鳥取大の住川英明教授が、本社の《書統》誌に2010年から連載してくれた「手紙だんらん室」と題するエッセーが、3月号で一応完結となった▼エッセーは毎回、日本近代の書家ではない傑出した芸術家や文化人の手になる手紙やはがきを取り上げ、それに「交じり書」の作例として考察を加え、文面を解読し、その背景にまで言及したもので、しかもほとんどは彼のコレクションともなっているようだから、これを1冊にまとめるときには、話題性あるイベントもやれそう。全面的に手伝おうと思う▼この11年間に彼が紹介したのは、42人の100通前後の手紙類で、内訳は日本画家11、小説家10、洋画家7、歌人5、俳人4、その他5人。彼に10選を選んでもらったところ、前田青邨(封書)、速水御舟(封書)、長塚節(封書)、棟方志功(封書)、萩原朔太郎(封書)、堀辰雄(葉書)、高村光太郎(封書)、藤田嗣治(封書)、幸田露伴(封書)、鏑木清方(封書)というリストを送ってくれた▼これについて彼は、「棟方志功の封書は、もらった手紙の裏面を使って新たな手紙を書く傍若無人さだが、自由闊達、清々しい力強さがある」などと付記している。《書統》の次号で、「連載を終えて」と題する彼の一文を掲載することにしている。


金田氏とタッグを組んで、もう一仕事

 「人間五十年、下天の内を比ぶれば、夢幻の如くなり」の信長の言葉はよく知られているが、この高齢化時代、「長年狄佑鮨って瓩て相変わらず元気な」80歳萱原が79歳金田石城と組んで、もうヒト仕事しようという流れになった。世の中、一寸先は犖明瓩任△襦!▼私は西洋美術・美学については、ほんの少しでもかじった経験はあるにしても、書は人並みに字が書ける程度だから、本紙では評論はもっぱら堀江知彦、小野寺啓治、田宮文平といった専門家にオンブにダッコでやって来た▼社員らにも、連中は皆、大東の書道科出身なので、つい評論まがいのことを書きたがる傾向もあるのだが、かつて書壇の大先生から、「お前のところの記者は、随分偉そうに評論しとるな」と言われたこともあり(これは大東ではない某大卒!)、「評論はするな」「事実を伝えるのが新聞記者の仕事」と教育してきた▼もっともそんなことからかつて、小野寺啓治に「君の新聞は、点数と場所しか書かないね」とからかわれたものだが、まあそれはそれ。その私がここへきて、金田とタッグを組もうという話になった。20代に日展入選6回などの経歴が示すように、確かな技術と知識を備えた彼に、本紙の目・耳として大いに活躍してもらおうと思う。


斜陽に立つ狄景広

 新聞はメディアの王者として、報道と広告の世界では長く社会に君臨してきたと言えるだろうが、ここへきての凋落ぶりは目を覆うばかり▼日刊紙の場合、発行部数が広告の実勢料金に反映する仕組みなので、第三者機関が消費した用紙の数量を監視しており、ほぼ正確な数字が公表されている。それによると、昨年5月の時点で、読売が700万部強(ピークは1,028万部)、朝日が500万部弱(同842万部)、毎日が200万部(同488万部)、産経が100万部強(同220万部)である▼それだけでなく、読者層にも変化が顕著のようだ。昨秋、文字文化検定協の機関誌『文字だ!』で「美文字だ!練習帳」を付録に付けたので、読売と朝日に広告を打ってみた。すると1,000件を超える問い合わせがあり、嬉しい悲鳴を上げたのだが、何とそのレスポンスの90%以上が70〜90代の男女という結果で、ビックリ。そういう時代なのである▼かくいう本紙も、ピーク時は1万部を大きく上回っていたのに、残念ながら今は当時の半分で四苦八苦している。が、「吾輩の目の黒いうちは」と、冷や水飲みながら頑張っており、今年から、業界で重宝されている全国の展覧会の「開催情報」のWEB配信を、試験的に始めた。


金田石城対話集を出版へ

 西洋の近代絵画史を牽引したある高名な作家は、「画家は徹頭徹尾、キャンバスの裏の闇に隠れているべきもの」と喝破したと伝えられています▼一方、古来より「心画」と言われ、「人なり」と言われる「書」は、王羲之などの名家が輩出してその芸術性が広く認められるようになって以降、「書と人」は常に一体、密接不可分の存在として論じられて来たと言って過言ではないでしょう▼この度、美術新聞社では、長年にわたって近・現代書壇の巨匠・大家の作家論を多数執筆、出版し、またこれまでに約二〇〇人にのぼる書家との対談を重ねて来た美術評論家、金田石城氏による物故名家・現存大家約四〇人との対話を一冊にまとめた『近現代書家対談集「〇い声、□い声」』を上梓の運びとなりました▼そこには、戦後の日本書壇の、三〇〇〇年を超える「書」の歴史上に犇前絶後瓩箸気評される多彩かつ、ハイレベルの輝かしい発展をリードした名家の先生方の貴重な肉声による証言の数々。また、現書壇をリードする巨匠・大家の先生方の、書の未来を切り拓く見識豊かな貴重な肉声の数々が収められます。まさに犇前絶後瓩梁价冥犬箸覆蠅泙后ご期待下さい。(新刊案内パンフレット用のあいさつ文か
ら)


「毎日書道展」が中止に!

 四月になっても「新型コロナ禍」が収束の兆しを見せず、ついに今年の「毎日書道展」の中止が決まった▼作品の搬入日までにすでに一カ月を切った今、外出自粛要請でどこの会でも作品指導が大幅に遅れていると言われる状況下では、この苦渋の決断は十分理解できる。読売書法展は幸い会期が一カ月以上後なので、まだ可能性は残されているが、もし万々が一、この両展が共に開かれないという事態となったら、書道界は果たしてどれほどの打撃を受けることだろう▼それはいわば、戦後に始まった日本書道界の発展・繁栄を支え、牽引してきた頼みのメカが、まさかのエンストに追い込まれたような事態であり、この空白期間がどのような結果をもたらすか、斯界の先生方には、十分予想できるところだろう▼そうしたなか、武道館から同館の競書誌『書写書道』の五月号を休刊するという連絡が届いた。だが調べてみると、これは半官半民的な同館ならではの決定で、他には減ページするところはあっても休刊の動きは広がっていないようだ。競書誌も、書道界にビルトインされた重要メカだから、美術新聞社も刊行を堅持する方針を固めている▼暗い世相に明るさをと、本号の一面はこんな紙面(「おいしい浮世絵展」開催)にしてみた----。


« 1 (2) 3 »
キーワード検索
《書統》閲覧室
202110.jpg
楽しく書道を学ぶ雑誌
表紙をクリックすると、10月号の成績表をご覧いただけます。本文は9月末から掲載します。
全国有名筆墨業者一覧

◎埼玉

◎東京

◎滋賀

◎京都

◎大阪

◎奈良

◎広島

◎沖縄

▽関連するキーワードで検索する
[お問い合わせ] Tel 03-3410-8101(代表) Fax 03-6413-8373(代表)
株式会社 萱原書房/美術新聞社  〒154-0004 東京都世田谷区太子堂2-7-2 リング・リングビルA棟4F[アクセスを表示]
Copyright (c) 1999- KAYAHARA PUBLISHING INC.,JAPAN All right reserved.