(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成29年(2017) 12月13日(水曜日)
  
投稿日時: 17年03月15日

 文科省が2月14日に公表した小・中学校の新しい学習書道要領(案)に対する「意見募集(パブ・コメ)」は、まさに本日締め切られた。あと2週間ほどで、正式に告示されるわけである

▼指導要領は法律なのか、何なのかという議論は昔からあるが、学校教育法の施行規則の規定を根拠に出されるものだから、公立・私立を問わず適用される狃猖ゝ瓩箸い辰討いい隼廚Δ、文科省の裁量範囲なのか、私立に対する強制力は、公立より弱いと言われる。実際、子供を通わせた某青山学院の小学校では、毛筆書写は五年生の時だけやっていた

▼それはともかく、関係者らの目下の関心事は、この5、6月にも文科省から出される『学習指導要領解説』で、小学校編の第3章第2節「指導内容の取扱いについては次の事項に配慮するものとする」の「書写」の項の、「第1・2学年の狹晴茲僚颪方や文字の形に注意しながら筆順に従って丁寧に書くこと瓩了愼海謀たっては、適切に運筆する能力の向上につながるよう、指導を工夫すること」という記述がどう解説されるかということ

▼多くの関係者は、ここで「軟筆」「水筆」など毛筆に近い筆記具の使用が奨励ないし、例示されるのではと期待しているのだが、さて――。

(書道美術新聞 第1095号1面 2017年3月15日付)


投稿日時: 17年03月01日

 文化庁の文化財部伝統文化課文化財国際協力室という部署から最近出された「報道発表」という文書が、関係者を大いに勢いづかせている

▼その文書には、こうあったのだ。「茶道や華道、書道、和装、盆栽などの生活文化にかかる案件については、これまで(無形文化遺産登録の)明確な対象としてこなかったが、条約の運用がなされていく中で『無形文化遺産』に関する定義の広がりも見受けられる。そのため今後は、文化財保護法上の文化財等に加えて、これらの案件についても、我が国の文化の中で共有され受け継がれてきた無形文化遺産として位置づけるための調査研究を行い、提案対象とすることを検討すべきである」

▼そう、目下書道界挙げて運動を推進している「日本の書道文化」のユネスコ登録には、実は「国内で保護措置が講じられている」「国内の無形文化遺産の目録に含まれている」などの条件が付けられており、狎験菠顕臭瓩痢崕馥察廚呂海譴鬚匹Εリアするかに、関係者らは知恵を絞ってきたのだった

▼で、これまでは文化財保護法ではないが、「文化芸術振興基本法」の対象ということを根拠にしようとしてきたのだが、文化庁が腰を上げてくれたので、そうしたモヤモヤが一気に晴れそうなのだ。

(書道美術新聞 第1094号1面 2017年3月1日付)


投稿日時: 17年02月15日

 小・中学校用の「学習指導要領」の改訂案が公表された。早速、「国語科」に関する記述の全文を掲載し、「書写」関連の個所と、漢字配当に関する個所を太字にして傍線を付けてお届けしたが、お読みになっていかがであろう

▼素朴な感想としては、「あの小学校低学年への毛筆指導はどうなったの?」という受け止めが大勢と思われるが、これは加藤氏の一文にもあるように、『解説書』が出てこないと文科省の考えを即断はできないようだ。ただ、実際に「一年生から毛筆」が実現するとなると、これはまさに書道界の夢の実現だが、素人考えでもハードルは決して低くはなかろうと思う

▼そこでだが、せっかく文科省が「意見を聞かせて」と門戸を開いているのだから、ここは書道界、専門家の立場で専門的な意見を、熱意を込めて届けたらどうだろう。という主旨で2面に文科省の「意見募集」の実施要領を載せた。言うまでもなく書道界には、長年にわたって幼児や低学年児童に毛筆指導してきた経験者は決して少なくないのだから、その経験知見を踏まえて、ぜひ意見を届けてほしい

▼とにかくここは、50年に一度のチャンスが、あと僅か1カ月だけ扉が開いている状態! 無にしないで! と提案しておきたい。

(書道美術新聞 第1093号1面 2017年2月15日付)


投稿日時: 17年02月01日

 今回の学習指導要領の改訂の動きの中で、本紙はこれまで「高校延伸」を重点的に報道してきたが、実は今回、小・中「書写」は上方(高校国語)への延伸だけでなく、下方(小学校低学年)への延伸、低学年への「毛筆書写」の導入も、合わせて実現する可能性がある

▼具体的には、今号の長野氏の寄稿にもあるように、もともと教育界には子供の教育現場を預かってきた経験から、毛筆を使った「書写」指導を小学一年生から始めたほうが効果的との根強い考え方がある。このため教育界は近年、この問題に関する実践研究を組織的に続け、文科省にその研究結果を報告するなどの努力を重ねてきた

▼だから教育界が今回の改訂で目指してきた猖槎伸瓩麓造蓮峅縞への延伸」で、上方への延伸はある意味、驚きの結果なのである。つまり、「高校国語への延伸」は書写・書道の側からの構想ではなく、国語側から提起された改革案だということで、従ってこれは書写・書道の側が、そういう大きな期待、大きな使命を託されようとしていることと理解しておく必要があろう

▼それにしても、この双方向への延伸が現実のものになったら、教育界も書道界も、とても忙しくなるのではないかと思う。今年は、「書道界中興元年」――。

(書道美術新聞 第1092号1面 2017年2月1日付)


投稿日時: 17年01月15日

 奥野誠亮氏が亡くなった。昨年11月16日、満103歳だった。その2日前までは全くいつも通り過ごしておられ、前日、「ちょっと疲れた」と横になって、そのまま静かに息を引き取られたとか。まさに大往生であった

▼自民党の元代議士、元文部大臣としてよりも書道界にとっては、かつて書写・書道教育の振興のために青山杉雨・村上三島両氏を中心に全書壇が結集して立ち上げた日本書道教育会議の会長として大きな指導力を発揮、お世話になった方である

▼氏を会長に迎えるために最初に動いたのは上条信山氏で、どこかにも書いたが、その時上条氏に誘われて私も東京・原宿のご自宅に伺って奥野氏にお目に掛かり(以後、昨年まで30年以上も氏から年賀状を頂いた)、「そういう組織は大事だから、ぜひおやりなさい」と励ましてくださった

▼しかし会長就任は固辞されたので、青山氏の指令で奥野氏と同郷で同い年だった杉岡華邨氏が懸命に口説き漸くOKが出たという話は、知る人ぞ知る秘話。そんな関係から晩年は書道展にもよく足を運ばれ、昨年までは「20人展」でも必ずお会い出来た

▼なお、奥野氏は3男なので、生前都内の小さな寺院にご自分の墓所を用意されており、その墓標は古谷蒼韻氏の揮毫だ。

(書道美術新聞 第1091号1面 2017年1月15日付)


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