風信帖(1061)

 15年10月01日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 「書」が置かれた社会環境も歴史も、それを支える経済基盤も全く異なる両国であるから、その戦略、戦術が大きく違っても別に異とするには当たらないが、それにしてもここへ来て、日韓間の「書の明日」を見据えた取り組みの差が顕在化して来ているのは興味深い

▼つまり、片や明日をも念頭に置きながらも、一刻も早く国家による手厚い支援を引き出して結果を出すことを第一義に考えていると言えそうな韓国に対し、間近に迫った学習指導要領の改訂に向けて「毛筆教育の低学年化」の制度導入をめざそうとしている我が方は、同じく国家の助けを借りながら、どちらかと言えば犧瓩茲蠅皚猝斉瓠△い錣侈ね荵峺の戦略に立っていると、言えるかもしれない

▼一方、最近は大陸でも、中国政府が「小学校3年生から毛筆による臨書指導の徹底実施」という新たな取り組みをスタートさせており、この影響で中国では毛筆の原材料や技術者不足が深刻化し、近い将来日本の学生用の筆の供給に影響が出そうだとか。このようなそれぞれの取り組みが、将来的にどのような結果をもたらすものか、固唾を飲んで見守るほかはなさそうだが、こうした動きの符合が決して無意味でないことだけは、間違いないところであろう。

(書道美術新聞 第1061号1面 2015年10月1日付)




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