風信帖(1016)

 13年10月15日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 韓国南部の釜山にほど近い昌原市で開かれた「第五回文字文明展」の開幕式に招かれ、「日本の書道界にも、この大発見をもっともっとしっかり伝えます」と見栄を切ってきたので、繰り返しにはなるが、再説しておきたい。例の同市・茶戸里(タホリ)遺跡から出土した「毛筆」のことである
▼本号7面の韓国関係者の記事に図版を付したが、木製の軸に黒漆が塗られた上等な筆管である。出土したのは5本で、内3本が原形を留めている。両端に穂先が付いており、しかも一方は細く、一方は太い。細字にも太字にも使える、いわゆる両頭筆なのだ

▼しかも、鉄製の削刀(さくとう)が共に出てきたことが重要で、削刀とはいうまでもなく当時木簡を作ったり、その表面を削って不要な文字を消した道具。だから発掘関係者はこれを見て、「鉛筆と消しゴムが一緒だ」と喜んだとか

▼本数といい、削刀の随伴といい、これは明らかに単なる装飾品ではなく実際に使われていたものと見るべきだろう。そしてその時期が実に紀元前100〜150年と聞けば、興奮して当然。列島の弥生時代前・中期に、つい目と鼻の先の半島で木簡に筆で字を書いていたのである。明らかに、書道史の見直しを迫る大発見といわねばならない。

(書道美術新聞 第1016号1面 2013年10月15日付)



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