(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 令和年9月30日(水曜日)
≪風信帖≫
萱原(かやはら)晋のコラム(風信帖/癸隠隠僑粥
投稿日時: 20年05月01日

井島勉先生を京都市美に訪ねたこと

 京都市美術館の記事を書いていたら、かつて(一九七四年)同館の館長室に井島勉先生を訪ねてインタビューをした時のことを思い出した▼当時も片手間で美術の新聞の編集をやっていたので、その紙面で「美を語る‐あるす・ろんが」というインタビューコーナーを設け、気になる方を片端から訪ね歩いていたのである。井島先生の前は建築家の谷口吉郎、その前は写真家土門拳、井島先生の後は陶芸家小山富士夫、その後は常盤山文庫の菅原通済という贅沢さで、それは勉強になった▼井島先生は言うまでもなく西洋美学・芸術史の大家で、二年前に京大を定年退官され、同館の館長をお務めになっていた。当時私は駆け出しの大学講師。美学・美術史の講義には先生の著書を教科書に使わせて頂いていたので、かなり専門的なお話を聞かせて頂いたのだが、「館長として、今の美術界にどんなご感想を」と伺ったところ、とたんに口調が厳しくなった▼「美術評論家が特定の物差しを持ってモノをいうことは、単に彼の個人的事情」「そんな言説は我々の美に寄せる願いや共鳴のためには全く無用」と一刀両断。そして、「一部にそうした評論家の物差しに媚びるような作品を作っている作家もなしとしない。残念だ」とも----。


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