第49回全書研<東京大会>開く

掲載日: 08年12月15日 | カテゴリ: 書道美術新聞【1面】

第49回全書研<東京大会>開く
総会風景
“書く文化”に重点
新「要領」告示受け
今後の「書写・書道」討議


 第49回全日本書写書道教育研究会(全書研=加藤祐司理事長)の〈東京大会〉が11月21日、東京・小金井市の東京学芸大学などを会場に開催された。

 全国の小学校から大学まですべての全学校段階の関係者が参加する書写・書道教育界最大の教研組織である同研究会の今年の大会は、全国から約300名の関係者らが参加、今春の文科省による小・中学校用の新学習指導要領の告示を受けて今後の「書写・書道」教育の在り方などをめぐり、例年にも増して活発な討議や発表・報告が行われた。
 今年の大会は「書く文化を支える書写・書道教育」をメーンテーマに、小学校が「基礎・基本の習得と日常化をめざす書写の学習過程」、中学校が「豊かな文字感覚をはぐくむ書写の学習過程」、高校が「豊かな書の文化をはぐくむ書道の学習過程」、大学が「書写と書道の連携を図る教員養成の在り方」をそれぞれサブテーマに掲げて、各部会ごとに公開授業・分科会や研究発表などが多彩に繰り広げられた。

 日程的には、まず当日午前9時から受付、9時20分から同大・小金井クラブ棟で副理事長会と常任理事会・都道府県代表者会を開き、総会提出の19年度事業報告、決算報告、監査報告などを承認、合わせて藤原宏前会長が今年10月に死去したことに伴う井上輝夫副会長の会長代理就任や、20年度予算案、事業計画案、大会要望書などを決定した。

 引き続き同大・芸術館を会場に開会式、総会が行われた。
 総会では井上会長代理、加藤理事長の挨拶のあと、19年度の事業報告、決算報告、監査報告と、20年度事業計画案、予算案、次回大会における要望書案などがいずれも原案通り可決・承認されたほか、各都道府県情報交換などが行われた。

 全体会では、田中孝一文科省初等中等教育局主任視学官による「新学習指導要領の求める書写・書道教育」と題する基調講演が行われ、学習指導要領改訂の背景や今回の改訂の特色、特に伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項に言及するとともに、中教審の答申を踏まえての国語科および高校芸術科書道の改善の基本方針などについての提言が行われた。

 午後は13時15分から小学校部会の第1学年から6学年までの公開授業が別項の通り、附属小を会場にいずれも同小教諭により行われた。

 公開授業では、一部T・T(チーム・ティーチング)の学年もあったが、いずれの授業も前回の香川大会に引き続き専門的に書写や書道を学んできた経歴を持たない各学年の国語部研究担当の教諭が書写の授業を実践する「誰でもできる授業」のテーマのもとでの研究授業だったが、授業中、児童たちが積極的に授業参加する様子が注目された。
 また分科会では、新学習指導要領に新たに盛り込まれた「毛筆を使用して筆圧などに注意して」や、「穂先の動きと点画のつながりを意識して」などといった、小学校書写に新たに盛り込まれ今後現場での対応が求められる指導事項について、指導法確立へ向けた取り組みや課題についても活発な意見交換が行われた。

 また今年は、中学校、高校、大学の各部会は「中学校・高等学校の連携と大学の教員養成について」というテーマのもとに合同で分科会を開催し、中学校・高校の部会と大学の部会でそれぞれ提言・報告を行った。
 このうち、中学校・高校の両部会は「研修会を通して中高連携を探る‐お互いを見つめる機会を求めて」として、都中書研と都高書研が研修会という機会を通じてお互いの連携と理解を深めてきた実践内容につき荒井一浩・東京学芸大附属高教諭、大川満恵・練馬区立石神井東中教諭、名護幸江・都立調布北高教諭、榎本純子・江東区立深川第六中教諭がそれぞれ報告した。
 また大学部会では、斎木久美・茨城大准教授が「書写と書道の連携を図る教員養成の在り方」と題して報告し、小学校から大学までの教員が国語科書写と芸術科書道の学校教育、教員養成、さらに生涯教育へと繋げていくための連携をさらに深めていく必要性などについて幅広い提言を行った。

 続いて行われた全体会では、各分科会報告と閉会式が行われ、大会講師の加藤泰弘・文科省初等中等教育局教科調査官が講評を行った。
 来年度の第50回大会は〈埼玉大会〉として、第34回全高書研〈埼玉大会〉と日程を合わせて11月12、13の両日、川越市などで開催することが決まっている。
 また、第50回の記念誌も刊行の予定となっている。


小学校部会の公開授業・分科会発表一覧

▽第1学年
大塚健太郎教諭による、片仮名の形を知り、それに注意して「ミ」「ム」「シ」「キ」を書く「もじのかたち」の授業と分科会発表、横山弘・練馬区立向山小校長による助言

▽第2学年
細川太輔教諭による、漢字の外形を意識しながら日記の文字を整えて書く「文字の形‐日記の文字を見なおそう」の授業と分科会発表、中村幸男・元都小書研会長による助言

▽第3学年
吉永安里教諭と清水文博教諭のT・T(チーム・ティーチング)による「虫」の五画目の筆使いを中心とした毛筆の授業「筆を使って‐右上方向への払い」と分科会発表、酒井典子・北区立第四岩渕小校長による助言

▽第4学年
片山順也教諭による、漢字とかなの大きさや配置に注意しながら筆ペンを用いて年賀状を書く「大きさや配列に気をつけて−これで、年賀状はばっちり」の授業と分科会発表、米持千里・前江戸川区立西小松川小校長による助言

▽第5学年
片山守道教諭による、字形や字配りなどを意識したポスター制作と、互いの作品の気付いた点を話し合う「学んだことを生かして−『美文字もじモジ会』のポスターを書こう」の授業と分科会発表、直江教子・目黒区立東根小校長による助言

▽第6学年
川畑秀成教諭による、速さと読みやすさを意識しながら横書きの文章を書く「生活に生かして−速さと読みやすさを意識して横書きで文章を書こう」の授業と分科会発表、宮絢子・杉並区立富士見丘小校長による助言。



◆全書研役員名簿

【会長代理】○井上輝夫
【副会長】吉田繁、小木良一
【理事長】加藤祐司
【副理事長】○酒井典子、須田淳一、東野敏夫、広瀬裕之、○田頭修、玉沢友基、佐藤満也、平野克彦、○村越和弘、○長野秀章、平形精一、萱のり子、中村史朗、○松本仁志、○蓑毛政雄、和田圭壮
【監査】○樋口咲子、鶴田一雄
【各局長・部長】○宮島恭子、松本貴子、○豊口和士、宮沢正明、宮絢子、小松昌之、○中村好男、斎木久美、青山浩之、○並木玲子、永瀬隆行、○山下剛、○斎藤克美
(○印:新任)



(書道美術新聞 第905号1面 2008年12月15日付)



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