「台北故宮展」、24日開幕

掲載日: 14年06月15日 | カテゴリ: トップ記事

台北・故宮博物院
東博に黄庭堅、孫過庭、蘇軾が!
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 中国歴代の文物・美術品のコレクションでは世界屈指と定評があり、年間約400万人の来観者を迎え、大英博物館、ルーブル美術館、メトロポリタン美術館と並んで世界四大博物館の1つとも称される台北の国立故宮博物院による、アジアで初の開催となる特別展、「台北故宮博物院/神品至宝」が6月24日、東京・上野の東京国立博物館・平成館で開幕する(9月8日まで)。(本紙8、9面に関連グラフ)
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 「定武蘭亭」は、九博へ

 同院は1925年、清朝最後の皇帝、溥儀(1906〜1967)が退去した北京の紫禁城に誕生した。
 
 しかし、オープンから8年後の1933年、中国北部をめぐる日中関係の緊迫化に伴い、コレクションは狷鄙瓩靴篤颪鯑┐譟当時の中華民国の首都の南京に落ち着くものの、さらに全面的な日中戦争に突入した1937年には四川省など内陸や奥地へと疎開のやむなきに至り、戦後の1947年に漸く南京に戻った。
 
 しかし、今度は国共内戦の激化のため、その主要部分が1949年までに、国民政府の台湾への移動に伴って同地へ移送された。
 
 そして1965年、台北市郊外に建設された博物館施設に漸く安住の地を与えられて現在に至っている。
 
 
 同院のコレクションには、北宋から南宋・元・明・清にいたる皇室のコレクションを経た文物が多く収蔵され、歴代皇帝の美意識に適った傑作、政治権力の正統性を象徴した、民間では作り得ない、鑑賞し得ない傑作を収蔵。
 
 その9割以上が、清朝宮廷の旧蔵品とされる。
 
 
 今回展では、中国の歴代皇帝により選び抜かれた優品、約69万点にのぼる収蔵品の中から、各ジャンルのひときわ優れた代表的名品を選りすぐり、「中国皇帝コレクションの渕源‐礼のはじまり」、「徽宗コレクション‐東洋のルネサンス」、「北宋士大夫の書‐形を超えた魅力」、「南宋宮廷文化のかがやき‐永遠の古典」、「元代文人の書画‐理想の文人」、「中国工芸の精華‐天と人との競合」、「帝王と祭祀‐古代の玉器と青銅器」、「清朝皇帝の素顔‐知られざる日常」、「乾隆帝コレクション‐中国伝統文化の再編」、「清朝宮廷工房の名品‐多文化の交流」の10パートに分けて展示する。
 
 その総件数は、合わせて186件にのぼり、とりわけ猝膤杏埆个凌隻吻瓩箸気譴襦嵜藏滅鮑據廖陛貲遏法◆崙形石」(九博)は、両館とも開幕から2週間の限定公開となる予定。
 
 
 書蹟関連品としては、まず「散氏盤」(西周/全期)は青銅器の底部に金文で350字の銘文が刻まれ、小国間の領地問題を処理した功績を記し、政治史上はもちろん、書道史上でも重要な史料の1つ。
 
 当時、既に民間にあり、嘉慶帝50歳の祝賀大典(1809年)の際に臣下から献上のあったものとされ、領地の境界を定めた権力の象徴として、皇帝コレクションにふさわしい唯一無二の重宝とされている。
 
 
 黄庭堅「草書花気詩帖頁」(北宋)は、北宋の皇族、王詵(おうしん)が自作の詩を送り、黄庭堅に唱和の作詩を求めたが叶わず、黄庭堅へ説得の花を贈り続けた末に手に入れたといういわれのある、草書による一作。
 
 
 孫過庭「草書書譜巻」(唐/〜8月3日)は、孫過庭が自身の書に対する考えを駢儷文(べんれいぶん)という美文調で展開した書論。
 
 内容的にも名著とされ、書的にも王羲之書法を忠実に継承した草書の名品として知られる。
 
 
 蘇軾「行書黄州寒食詩巻」(北宋/8月5日〜)は、蘇軾が47歳の時、黄州に左遷された折の作で、「寒食」は冬至から105日目を意味し、祖先の墓参の清明節の前日、火の使用を制限されるなか、作り置きの冷たい料理を食べる風習を意味する。
 
 弟子の黄庭堅が、2度とこのようには書けないだろうと絶賛し、乾隆帝をも魅了したと言われる名品。
 
 
 その他の東京展限定の主な書蹟関連作品は、以下の通り。
 
 
▽東京展=王羲之「草書遠宦帖巻」(〜8月3日)、同「草書大道帖巻」、蘇洵「草書致提挙監丞帖頁」、蔡襄「行書澄心堂帖頁」、同「草書思詠帖頁」、同「草書脚気帖頁」、同「行書大研帖頁」、欧陽脩「楷書集古録跋尾巻」、黄庭堅「行書製嬰香方頁」、同「行書苦筍賦頁」、米芾「草書論書帖頁(草聖帖)」、同「行書篋中帖頁」、同「行書値雨帖頁」、蘇轍「行書雲甚帖頁」、蔡卞「行書雪意帖頁」、趙令畤「行書賜茶帖頁」、曾紆「草書草屨帖頁」、徽宗「楷書牡丹詩帖頁」、高宗「行書千字文冊」、范成大「草書雪後帖頁」、呉琚「行書七言絶句軸」
(8月5日〜)、張即之「行書従者来帰帖頁」、同「行書上問帖頁」、趙孟頫「行書間居賦巻」、同「行書赤壁二賦冊」、柯九思「行書陸浚皇極賦跋頁」、楊維蓮峭埆馮媽疇音躡」、鮮于枢「行書透光古鏡歌冊」、「松花石甘瓜硯」、「松花石蟠螭硯」、「澄泥虎符硯」ほか

 また、九州展会場となる九州国立博物館(太宰府市)では10月7日から11月30日までを会期として、東京展以外の展示品を含む110件をもって開催。
 
 書蹟関連では、九州展のみで公開の王羲之「定武蘭亭序巻」(東晋/全期)は、永和九年(353年)の「曲水の宴」で詠まれた数々の詩の序文を、書聖王羲之が執筆したもの。
 
 原本は義之の書を愛した唐・太宗皇帝の陵墓に副葬され、その字姿は拓本や臨書によって伝え知るのみとなっているが、なかでも「定武本」は原本の品格をよく留める随一の名品として尊ばれており、見逃せない機会となっている。
 
 
 その他の九州展限定作品と両館共通の書蹟関連作品は、以下の通り。
 
 
▽九州展=陸柬之「行書文賦巻」、李建中「行書土母帖頁」、蔡襄「草書陶生帖頁」、蘇軾「行書獲見帖頁」、黄庭堅「行楷書致趙景道尺牘頁」、米芾「行書彦和帖頁」、呉琚「行書焦山題名冊」、張即之「楷書李衎墓誌銘巻」、趙孟頫「行書朱子感興詩巻」ほか(限定公開期間は未定)
▽東京・九州展=青銅器「亜醜方尊」、「蟠龍文盤」、「鉞」(以上殷)、「倗祖丁鼎」(殷〜西周)、「子穌鐘」(春秋)、「王子匜」(春秋晩期)、「曾姫無卹壷」、「犠尊」(以上戦国)、「新嘉量」(新)、「鳥形尊」(北宋)、「犠尊」(元)、「文王方鼎」(明)、文具「端石従星硯(蘇軾詩刻)」(北宋〜南宋)、「暖硯」(清・乾隆)、「古稀…」「八徴…」玉璽(清・乾隆)、「鴛錦雲章」田黄石印(同)ほか

 なお、2015年には台湾南部の嘉義県に故宮博物院南院のオープンが予定されており、翌16年には今回展の返礼展として東博、九博の所蔵品を中心とする「日本美術の粋‐東京・九州国立博物館精品展」(仮称)の開催が予定されている。
 
 
 問い合わせ等は、TEL03−5777−8600(ハローダイヤル)の同館へ。



(書道美術新聞 第1032号1面 2014年6月15日付)



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