文科大臣に「要望書」提出

掲載日: 13年08月01日 | カテゴリ: トップ記事

全書連、書振連など12団体
書写・書道教育強化充実めざし



 書壇組織の全日本書道連盟、全国書美術振興会や、学校・大学の書写書道教育研究関係各組織、また毎日、読売、産経の公募展団体や、全国書塾団体の全日本書文化振興連盟(書振連)など関係12組織・団体等がこのほど、文科大臣と中教審会長宛に「書写・書道教育に関する要望書」を連名で提出した。
 ◇ ◇ ◇

 こうした要望書はこれまでにも一部の団体や関係機関等で定期的、また臨時的に起草され当局宛に提出されてきた経緯は少なからずあるが、書壇と学校教育、社会教育に関係する各組織団体が一本化した書写・書道教育の振興充実に係る要望書を提出したのは初めて。
 
 自民党の安倍内閣が長期政権化の見通しとなり、今後の文化伝統に根ざした安定した教育行政への期待が高まっていることや、学習指導要領の次期改訂へ向けた関係部局の作業の本格化を前にしたこのタイミングで関係する各組織団体が大同団結して発言した意義は大きく、今後の推移が注目される。
 
 
 「要望書」の内容と、今回の提出に関わった各組織団体等は、以下の通り。
 
 
書写・書道教育に関する要望書

 昨今のパソコン等を代表とするIT文化の飛躍的な進化には目を見張るものがあり、まさに人類の英知が結実したものといえるでしょう。

一方でこの趨勢が、長い歴史の中で培われた伝統や文化といった、民族各々が大切に保持継承してきた有形、無形の遺産に対する認識と理解を希薄にするのではないかと危倶する声もあります。


 現在、日本でもこのような観点から政治、経済、文化を通じ、健全で確固たる国家観を有する国民、特に次世代を担う青少年の育成を重要視すべきであり、教育的措置が図られなければならないと考えます。
 
 
 こうした中、我が国には最も誇りうるものがあります。
 
 それは漢字、仮名(平仮名、片仮名)等を自在に使用し、言語を表記する文化です。
 
 このような言語形態と言語表記を有する国は世界のどこにも例を見ることができません。
 
 さらに、その表記を担ってきたのが毛筆による我が国の文字文化であり、毛筆文化は単に表記のみならず、美への発展となり、日本文化の象徴的存在といっても過言ではありません。
 
 
 さて、我が国の書写・書道教育については学習指導要領に目標が示され、達成のための指導内容等が明記されています。
 
 その根幹をなす理念として、毛筆教育には伝統的な言語文化に触れたり、毛筆書写することにより文字文化を尊重し、親しむ態度を育成することが掲げられています。
 
 さらには静かな環境で筆を持つことによって心を落ち着かせ、集中力を高める効果をもたらすということも事実のようです。
 
 
 したがってここに、小、中学校国語科書写、特に毛筆書写教育の一層の充実、ならびに高等学校芸術科書道教育に関する要望をいたします。
 
 

 一、小学校においては、国語科書写教育の一層の充実および硬筆の基礎となる毛筆を第一学年から取り上げ、文字の成り立ちや筆順に触れることなど、毛筆が授業で確実に教えられるよう各学校への指導を徹底していただきたい。
 
 
 二、中学校においては、国語科書写教育の一層の充実および学習指導要領に示された内容ならびに時間数を確実に実施していただくとともに、とりわけ毛筆による書写の学習等を通じて、我が国の言語文化の豊かさに触れるような実践をするよう各学校へ強く指導していただきたい。
 
 
 三、高等学校においては、書道教育の一層の充実および我が国の伝統文化の尊重という視点に立って、芸術科書道の科目の増単位を要望するとともに、生涯学習社会における書道教育の一層の充実という観点から各都道府県教育委員会に書道教員の採用拡充を求めていただきたい。
 
 
 なお教育現場の中では、毛筆の授業にあたり、担当する教員が基礎的な書写技能や指導法に自信が持てず、小学校、中学校において毛筆の書写教育が十分行われていない現状等にかんがみ、現場への具体的な支援および教員養成大学学部での指導等についても、格段のご高配を賜りたく存じます。


 ◇

 今回の上記の要望書の起草、提出に関与し、名を連ねた各組織・団体は、以下の通り。
 
 
▽全日本書道連盟、全国書美術振興会、全日本書写書道教育研究会、全日本高等学校書道教育研究会、全国大学書写書道教育学会、全国大学書道学会、毎日書道会、読売書法会、産経国際書会、日本書芸院、全日本書文化振興連盟、全国書道高等学校協議会



(書道美術新聞 第1012号1面 2013年8月1日付)



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