『書道機拔飢塀顱検定合格

掲載日: 12年04月15日 | カテゴリ: トップ記事

“書家の作品”大躍進
光太郎等大幅後退
4社版の「交じり書」鑑賞教材


 来年度から学年進行で実施される高校用「新学習指導要領」(21年告示)に準拠して新たに編集された教科書の検定結果がこのほど、文部科学省から発表された。
 
 それによると、「書道機廚龍飢塀颪聾村図書出版、東京書籍、教育出版、教育図書の4社から4種が検定申請され、すべて合格した。
 
 検定で各社版が指摘された主な内容は別項の通りだが、1社平均10・5件の指摘に留まっており、これは10年前の検定に比べほぼ半分の規模。
 
 これらの教科書は、今夏の“採択商戦”を経て、来年4月から高校新1年生の「書道機彖択者の授業で使用される。(本紙6、7面に関連記事)
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 「書道機廚龍飢塀饅佝任蓮■隠闇前の検定時の6社7種体制から、経営破綻した中教出版と大阪書籍が消え、光村の『書機戞東書の『書道機戞教出の『書道機戞教図の『書機戮痢■桓辧複桓錙紡寮となった。
 
 
 各社版の目立った変更点としては、10年前は全てB5判だった判型が、5年前のミニ改訂で一部の社がA4判を採用した流れを受けて、今回は全社がA4判(変形含む)に移行すると共に、各社とも増ページに力を入れており、総ページ数は各社平均で20%増となっている。
 
 
 各社版それぞれの編集の狙いや特色は、別項の各社編集部によるコメント(6〜7面参照)をご一読頂きたいが、書道界として最も関心の高い「漢字仮名交じりの書」部門に対する各社の取り組みで、今回特に話題となりそうな点は、この部門で定番の古筆等と合わせて取り上げられた鑑賞教材としての作品である。
 
 10年前に6社の7教科書全てが取り上げていた高村光太郎が、今回は全4社の半数の2社に留まり、代わって青木香流、日比野五鳳、宮沢賢治(硬筆含む)を3社が、良寛、光太郎、会津八一、金子鴎亭、駒井鵞静を二社が取り上げるという、様変わりの状況となっている。
 
 
 また、かつて3社の3種に扱われていた林芙美子、武者小路実篤、2社の2種に扱われた河東碧梧桐らの非書家や書家の大沢竹胎が姿を消したことも、目につく点だ。
 
 
 そこで、2社以上に登場する良寛から近・現代までの物故作家の作品の取り上げられ方について、10年前の前回と今回を比較すると、
▽前回(7教科書)=書家以外8名/書家2名、作品=書家以外28点/書家5点
▽今回(4教科書)=書家以外4名/書家4名、作品=書家以外9点/書家11点
 となっており、書家が人数的にも作品数でも非書家を凌駕したのが目立つ。
 
 また、書家の作品が取り上げられたケースが伸びると同時に、複数の社で同一の作品が取り上げられるケースも増えている点は、単に著作者との関係以外の要素、つまりは近・現代の書家の仕事に対する評価が定まってきたことを示しているともいえそうだ。
 
 
 なお、この「漢字仮名交じりの書」の分野については、現行の平成11年版の「学習指導要領」で「書道機廚虜罵ダ荵愼鎧項として「必修」化され、他の「漢字」、「仮名」の両分野はいずれかを「選択」とする位置づけとなり教育現場のストレス源ともなって来たものだが、今回の「学習指導要領」の改訂で「漢字」、「仮名」と共に3分野が同等の位置づけに改められた。
 
 
 このため各社教科書とも、「漢字仮名交じりの書」の全体に占めるウエートは、増ページにも拘わらず配当ページ数自体が減っており、比率的には4〜5割方も低下していることから、この変化が今後の「高校書道」に与える影響については、教育界としても書道界としても、十分注視していかねばならない点といえよう。


 各社版「書道機弑飢塀颪涼作・編集者は以下の通り。

◆光村図書=高木聖雨、宮沢正明、黒田賢一、永守蒼穹、横田恭三、薄田東仙、金子大蔵、小池青皚、坂井孝次、富田淳、鍋島稲子、真鍋昌生、山根亙清(以上著作者)、市原恭代、沢田真弓(以上校閲)
◆東京書籍=石飛博光、青山浩之、飯島春美、川合広太郎、河野隆、高木厚人、高橋利郎、時田博之、平形精逸、真神巍堂、宮負丁香、宮崎葵光、山中翠谷(以上著作関係者)
◆教育出版=角井博(監修)、加藤東陽、辻井京雲、中村伸夫、蓑毛个庵、宮崎洋一、森岡隆(以上編集・執筆)、今井凌雪、久米東邨(以上校閲)
◆教育図書=関正人、沢田雅弘、辻元大雲、土橋靖子、名児耶明、荒井一浩、大浦舟人、大野幸子、国定貢、黒須猛、後藤浩、斎藤正夫、白井孝、松尾治(以上著作者)


各社教科書・編集のポイント

◆光村図書『書機

「高校生が書道を好きになる教科書」を目指して、判型・素材・紙面のレイアウトを一新した。

1)高校生の感性を揺さぶる「本物」の迫力
 判型を拡大し、臨書教材はすべて原寸で掲載した。高品質で極めて鮮明な図版を使用しており、特に折り込みは圧倒的な迫力である。生徒が臨書を通して理解を深められるよう、各古典は、諸本の中から最良の部分を厳選した。

2)ポイントがひと目でつかめる、分かりやすい紙面
 情報を精選し、学習の目的や古典のポイントを明瞭に示した。また、主たる古典資料の釈文にはルビと大意を付し、理解を深められるよう配慮した。

3)生徒の「知りたい」を引き出す充実の教材内容
 生徒たちが、書と文化全般との深いつながりを感じ取り、書を身近に感じられるよう、書の現代性(デザインや日常の書)や伝統(書道史トピック)・工芸美(料紙加工)など、多角的な視点のコラムを設けた。また、巻末には手紙・履歴書・封筒や葉書の表書き・篆刻・刻字・表具・拓本の取り方など、日常に生かせる内容から専門的な知識まで、生涯にわたって活用できる資料を掲載した。


◆東京書籍『書道機
基本方針
 小・中学校国語科書写で学習したことを基礎に、表現と鑑賞を偏りなく、かつ書道の基礎・基本的な能力の育成に重点を置いた。また、平易かつ丁寧に解説し、人物や時代背景にも焦点を当て世界史や漢文など他教科との関連も図れるようにした。

構成・項目
 中学校国語科書写で学習してきたことの確認に始まり、漢字の書五書体、仮名の書、漢字仮名交じりの書、篆刻・刻字へと、学習したことを生かしながら、幅広く学習できる構成とした。また、それぞれの教材に「自己評価の要点」や「臨書・鑑賞の要点」などを設け、当該教材で学習すべきことが生徒にも明確に分かるように配慮した。

編集の特色
1)中学校国語科書写からの接続として、導入教材で楷書と行書の学習を復習し、初めて芸術科書道を学ぶ生徒が抵抗感を持たないように配慮した。
2)漢字仮名交じりの書は二部構成にし、一部は「書写」から「書道機廚北詰なく導入できる内容にし、二部は漢字の書、仮名の書を学習した後に位置づけ、古典で身につけた技能を表現に生かす内容とした。
3)漢字の書は五書体それぞれの基本的な古典を掲載し、すべての書体を一通り学習できるようにした。さらに、臨書・鑑賞の一助となるよう、それぞれの古典を筆順付きの硬筆でも示した。
4)仮名の書は基本的な知識・技能から古典の臨書・鑑賞、創作へと、体系立てた学習ができるようにした。また、連綿では仮名と仮名を色分けし連綿線を点線で示すなどして、学習の便宜を図った。
5)篆刻と刻字は創作の流れを細かく写真で示すことにより、教科書を見ただけでも手順が理解できるよう配慮した。
6)生活の中の書についても、手紙やのし袋の書き方など社会に出ても役立つ内容や、TシャツやCD‐Rレーベル面など、書で生活を彩る工夫事例も数多く紹介し、書の世界をより身近に感じられるようにした。
7)書作品のみならず、その書を書いた人物や書かれた時代背景にも焦点を当て、世界史や漢文など他教科との関連も図った。また、巻末には書道用語集や書道史略年表、書道鑑賞マップなどを掲載し、調べ物の手がかりとしたり、書道への興味・関心を喚起したりできるように配慮した。

留意した点
 判型が平成19年度版よりも大きくなったので、写真の解像度や色に気をつけ、なるべく多くの作品を実寸大で掲載するようにした。それにより、書の持つ雰囲気をできる限り忠実に再現した形で生徒の手元に届けられるよう心がけた。
 2002年の検定時と比較して、新しい学習指導要領で示された「書道機廚瞭睛董κ量が増えたので、多様な内容に触れつつも学習の負担となりすぎたり過分な学習時間がかかったりしないように、教材内容を厳選した。


◆教育出版『書道機
1)小中学校「書写」との接続、連携
 「基本点画」などは、小中学校と同じ図版で復習できる構成とし、「書写」から「書道」への接続を強化した。

2)自ら考え、学習できる紙面
 基本紙面には、学習の観点をはじめ古典教材の釈文、現代語訳、筆順と字形などを掲載し、生徒自らが進んで学習できるようにした。また、実際の石碑の写真や筆使いの写真などを掲載することによって幅広い書道学習ができるよう配慮。教材は、見開きによる対比構成を基本とし、古典の字形や用筆・運筆の特徴が視覚的にも理解しやすくなるようにした。

3)生徒の知的好奇心に応えるコラム
 技能面だけに偏ることがないよう、知識・理解面の解説等も充実させた。「見る・読む・書く」のバランスを取り、書道に対する興味・関心に幅広く応えられるように配慮した。

4)自分の表現を目指して
 漢字仮名交じりの書、漢字、仮名の書では作品制作の手順を明確にし、題材の選定から練習、推敲、作品の発表まで詳しく解説。

5)より深い学習のために
 「書道機廚如峭鏤」「篆書」「隷書」「草書」が扱えるようになったことで、丁寧な紙面構成を展開している。


◆教育図書『書機
 「書機弸蚤腓瞭団Г蓮高校現場の先生方の意見をもとに編集している点である。平成19年度より発行の「書機廚龍飢塀颪ら縦長の大きな判型を採用しているが、今回はさらに横幅を1孫くとり、図版をゆったり見せる工夫をした。内容的には新学習要領より新たに加わった篆書・草書の基本的な学習と、仮名の散らし書き、篆刻・刻字の指導への対応により現行より16ページ増となった。

▽原寸大の拓本や肉筆、紙の繊維まで見える拡大図版を挿入。
▽漢字は五書体を網羅、仮名は散らし書きの古筆を取り上げ、伝統文化に一層理解を深めるよう配慮をした。漢字仮名交じりは、漢字・仮名の学習を踏まえた後、新たな表現を求める領域として設定。思いとことば、用具用材との格闘など、生徒が主体的に学習できるよう配慮した。各領域の最後に「くらしの中の書」を設定。
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※本欄は、各社編集部から寄せられたコメントを抄録して掲載しています。



(書道美術新聞 第982号1面 2012年4月15日付)



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