“書写延伸”本決まり

掲載日: 17年01月01日 | カテゴリ: トップ記事

書写・書道に“追い風”
中教審が最終答申
キーワードは「文字文化」

 文科相の諮問機関、中央教育審議会(中教審)は12月21日、次期学習指導要領改訂の基本方針をまとめた答申案を松野博一大臣に提出した。文科省はこれを受け、本年度中の3月末までに小・中学校、来年度に高校の新指導要領を告示する予定で、全面実施は小学校が32年度、中学が33年度、高校が34年度から学年進行となるが、可能な部分では移行措置が講じられ、小・中学校の多くは再来年の30年度から新指導要領の先行実施に踏み切るものと見られる。
 
 またこの最終答申で、注目の高校国語への小・中学校書写の延伸構想も本決まりとなり、現行の高校国語で共通必履修科目の「国語総合」を、「実社会・実生活における言語による諸活動に必要な能力を育成する科目」としての「現代の国語」と、「言語文化を理解しこれを継承していく一員としての自身の言語による諸活動に生かす能力を育成する科目」としての「言語文化」の2領域の必修化を打ち出している。
 
 関係者によると、小・中学校書写が高校国語に牘篆瓩気譴襪里蓮△泙気砲海凌靴燭壁履修2領域で、同時にこれを受けて高校芸術科の「書道」に関する答申内容でも、「高校国語科の共通必履修科目において育成する書写能力を実社会・実生活に生かすことや、古典の作品と書体等の関わりから多様な文字文化への理解を深めるといった関連を図る」などとあり、高校まで延伸された「書写」と「書道」との連携、関連づけについて積極的に言及している点、またこうした流れの中で小・中学校に対しても「文字の由来や文字文化に対する理解を深めること」と、ここでも「文字文化」に言及している点が、注目される。以下に、中教審答申の「第2章」から、「国語」「書道」の部分を抜粋してお届けする。
(本紙4・5面に関連記事)
 ◇ ◇ ◇

【第2章】各教科・科目などの内容の見直し

(一)国 語
(1)現行学習指導要領の成果と課題を踏まえた国語科の目標の在り方
(1)現行学習指導要領の成果と課題
○PISA2012(平成24年実施)においては、読解力の平均得点が比較可能な調査回以降、最も高くなっているなどの成果が見られたが、PISA2015(平成27年実施)においては、読解力について、国際的には引き続き平均得点が高い上位グループに位置しているものの、前回調査と比較して平均得点が有意に低下していると分析がなされている。これは、調査の方式がコンピュータを用いたテスト(CBT)に全面移行する中で、子供たちが、紙ではないコンピュータ上の複数の画面から情報を取り出し、考察しながら解答することに慣れておらず、戸惑いがあったものと考えられるが、そうした影響に加えて、情報化の進展に伴い、特に子供にとって言葉を取り巻く環境が変化する中で、読解力に関して改善すべき課題が明らかとなったものと考えられる。

○全国学力・学習状況調査等の結果によると、小学校では、文における主語を捉えることや文の構成を理解したり表現の工夫を捉えたりすること、目的に応じて文章を要約したり複数の情報を関連付けて理解を深めたりすることなどに課題があることが明らかになっている。中学校では、伝えたい内容や自分の考えについて根拠を明確にして書いたり話したりすることや、複数の資料から適切な情報を得てそれらを比較したり関連付けたりすること、文章を読んで根拠の明確さや論理の展開、表現の仕方等について評価することなどに課題があることが明らかになっている。

○一方、全国学力・学習状況調査において、各教科等の指導のねらいを明確にした上で言語活動を適切に位置付けた学校の割合は小学校、中学校共に90%程度となっており、言語活動の充実を踏まえた授業改善が図られている。しかし、依然として教材への依存度が高いとの指摘もあり、更なる授業改善が求められる。

○高等学校では、教材への依存度が高く、主体的な言語活動が軽視され、依然として講義調の伝達型授業に偏っている傾向があり、授業改善に取り組む必要がある。また、文章の内容や表現の仕方を評価し目的に応じて適切に活用すること、多様なメディアから読み取ったことを踏まえて自分の考えを根拠に基づいて的確に表現すること、国語の語彙の構造や特徴を理解すること、古典に対する学習意欲が低いことなどが課題となっている。

○今回の学習指導要領の改訂においては、これまでの成果を踏まえるとともに、これらの課題に適切に対応できるよう改善を図ることが求められる。その際、思考力・判断力・表現力等の育成を効果的に図るため、引き続き、記録、要約、説明、論述、話合い等の言語活動の充実を図ることが必要である。

(2)課題を踏まえた国語科の目標の在り方
○国語科において育成を目指す資質・能力については、別項(略)に示す言語能力を構成する資質・能力の整理を踏まえ、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力・人間性等」の3つの柱に沿った整理を行い、別添2‐1(略)のとおり取りまとめた。

*「知識・技能」の「言葉の働きや役割に関する理解」は、自分が用いる言葉に対するメタ認知に関わることであり、言語能力を向上させる上で重要な要素である。このことは、これまでの学習指導要領においても扱われてきたが、実際の指導の場面において十分なされてこなかったことが指摘されている。
*これからの子供たちには、創造的・論理的思考を高めるために、「思考力・判断力・表現力等」の「情報を多面的・多角的に精査し構造化する力」がこれまで以上に必要とされるとともに、自分の感情をコントロールすることにつながる「感情や想像を言葉にする力」や、他者との協働につながる「言葉を通じて伝え合う力」など、3つの側面の力がバランスよく育成されることが必要である。
 また、より深く、理解したり表現したりするためには、「情報を編集・操作する力」、「新しい情報を、既に持っている知識や経験、感情に統合し構造化する力」、「新しい問いや仮説を立てるなど、既に持っている考えの構造を転換する力」などの「考えを形成し深める力」を育成することが重要である。

○これを踏まえ、学校段階ごとに育成を目指す資質・能力について別添2‐2(略)のとおり整理する。学校段階ごとの国語科の教科目標についても、このような資質・能力の整理に基づき示すこととする。

○なお、小・中学校においては、文字の由来や文字文化に対する理解を深めることについて、高等学校においては、実社会・実生活に生かすことや多様な文字文化に対する理解を深めることについて、高等学校芸術科(書道)との円滑な接続を図る必要がある。

(3)国語科における「見方・考え方」
○国語科は、様々な事物、経(本紙4面に続く)



(書道美術新聞 第1090号1面 2017年1月1日付)



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