際立つ東京の“私高公低”[専任比率]

掲載日: 09年07月01日 | カテゴリ: 書道美術新聞【1面】

全国“高校書道”実態調査[私立編]開講率は“公私拮抗”
都内の私立高、「専任」は76名



 現代の書道教育の“主戦場”ともいうべき全国の高校書道教育の現場における「書道」講座の開講状況や担当教員の専任化率等について、前号と本号の2回に分けて全高書研(全日本高等学校書道教育研究会)調査部の資料をベースに、美術新聞社の独自調査のデータも合わせて分析し、その問題点の検証を試みている。

 今回の「私立校編」では前回の公立校編に引き続き、従来あまり実態が把握されていなかった東京都内の私立高校の現況について本社が進めていた調査が終わったので、前号記事と若干重複する部分もあるが、詳しく見ていくことにしたい。(3面に関連データ)
 まず、私立高校の校数は現在、全国で1,300校余りあるが、全高書研の調査データでは1,281校となっているので、ここではこの数字を基にしていくと、「書道」講座を開講している高校は903校で、その「開講率」は70.5%。
 
 
 公立高校(72・1%)と、ほぼ同水準となっている。
 

(別表) 公立高校に比べて私立高校の場合、各校がそれぞれに独自の教育理念や指導方針を持ち、カリキュラムにもそうした事情を反映させていることもあって、特定の講座の開講状況などは実態が把握しにくい面もあるとされるが、ここでは別表のデータを基に、「書道」開講状況を見ていく。

 まず都道府県別では、「開講率」が100%となっているのが埼玉、富山、大阪、高知、熊本の5府県。

 次いで新潟、長野、岩手、広島が80%以上となっている。

 一方、開講率が低いのは沖縄、石川、島根で、いずれも30%以下という状況。


 次に「書道」の担当教員を見ていくと、私立高校における専任教員数は合わせて226名に留まり、この「充足率」は17・6%で、公立高校(19・3%)をさらに下回る低い数値となっている。


 都道府県別で最も専任教員数が多いのは、東京の76名(専任教員が複数いる学校もある)で、都内の私立高校総数247校にこの専任教員数であるから、「専任化率」は30.8%である。

 「専任化率」の高さからいけば、徳島の66・7%、佐賀の62・5%、福島の47・4%などがより高いわけだが、これらの県はいずれも私立高校の絶対数が一ケタであることや、また東京では公立高校の専任教員数がわずかに一名、「専任化率」が“0・4%”であることからすると、東京における私立高校の専任化率の高さや、その“私高公低”ぶりは際立っているといえる。


 一方、私立高校の専任教員がゼロなのは、青森、新潟、富山、福井、三重、和歌山、島根、愛媛、大分、沖縄の10県となっており、専任教員ゼロの県が1県のみの公立高校とは対照的ともいえるが、私立高校の校数自体が1ケタという県が10県近くあることと、公立高校でも専任教員が1名しかいないケースが7都県もあることからすれば、実態がさほど違っているわけではなさそうだ。


 なお、今回の調査データでは示されていないが、各都道府県における「高校書道」に対する取り組みの“本気度”を計る上でのもう一つの重要な要素は、各教育委員会における「書道」担当の指導主事の存在。

 この面から実情をみておくと、「書道専任」の指導主事がいるのは静岡、三重、大阪(3名)、奈良、福岡、宮崎のわずかに6府県に留まり、兼任の指導主事がいるのが青森、岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、愛知、京都(2名)、和歌山、鳥取、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知(2名)、佐賀、熊本、大分、鹿児島の30府県。
 
 しかし、指導主事が不在なのも北海道、秋田、山形、福島、東京、新潟、滋賀、兵庫、島根、長崎、沖縄の11都道県にのぼっている。

 この面にも、“監視の目”が必要といえるだろう。



(書道美術新聞 第918号1面 2009年7月1日付)



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