『中国書道文化辞典』が完成

掲載日: 09年05月15日 | カテゴリ: 書道美術新聞【1面】

本書の表紙西林昭一氏が牋貎夕紘
柳原出版 6月発売
8千項目、新資料にも照準


 書学書道史学会の初代理事長(現名誉会員)で、跡見学園女子大学名誉教授の西林昭一氏が5年掛かりで執筆を続けてきた『中国書道文化辞典』が完成し、この6月にも版元の柳原出版(柳原喜兵衛社長・本社京都市)から発売の運びとなった。

 同書の出版記念を兼ねた著者の「喜寿祝賀会」が6月7日、東京の帝国ホテルで催される。
西林氏【西林昭一氏の話】
 この話が来たのは、私が2002年に勤めを定年退職した直後のことで、書肆側の唯一の条件は、「他人の手を借りずに一人で執筆し、一冊本にする」というものだった。

 しかし、時間的にも、需要の面から考えても不安材料ばかりで、一度は辞退し、その後もずいぶん逡巡もしたが、書肆だけでなく知人やかつての教え子たちからも励まされ、覚悟を決めた。

 本辞典の全項目のうち約1割が新出資料関連だが、これだけ新資料を採録している辞典は他にないだろう。

 これらの新資料は、従来定説となってきた書体の変遷や、それに伴う書文化の流れに関するわれわれの認識に見直しを迫るものも少なくない。

大いに参考にして頂きたいと思う。

 ◇ ◇ ◇

 完成した『辞典』は、B5判約1,200頁、約8,000項目という文字通りの大著で、著者の一人執筆による同規模の類書としては中西慶爾氏の『中国書道辞典』(1981年初版・木耳社)があるが、中西本がA5判で約1,200頁、約6,400項目であることからしても、その情報量は格段に多そう。

 さらに、長年にわたって中国での新出土・新発見資料の調査・研究と紹介にも尽力してきた著者の執筆だけに、中西本を超える項目数は大半がそうした新資料関連の項目とみられ、その面からも、今後の学界や書道界を裨益するところは大きいと期待される。



 しかも著者によると、項目選定に当たっても、記述においても、日本における類書は一切参照せず、専ら中国の類書や文献等を参考にして進めたとしており、項目採録のための中国で刊行の報告書や専門書の渉猟も2007年12月まで続けたというから、資料性の面でも実に鮮度の高い辞典といえそうだ。



 目次を見ると、まず目を引くのは、巻頭に置かれた「中国書道簡史」「中国書道史年表」といった、著者の基本理念である「中国文化の一翼を担う書」の通史・年代史を概説した欄や、「挿図引用書目」などの前付け頁の見出しと並んで、「コラム一覧」という見出しがあること。

 これは、本書の中核を成す1,030頁にわたる辞典本文の各項目の解説記事では書き切れなかった事柄や、関係項目が多岐にわたる問題等を「コラム」という形で別項で説明している記事の一覧で、「殷墟」「金石学」「告身」などといった項目から、「玩物喪志」「作意と卒意」「左手書」「書、書法、書道」などなど、さらには「忙しくて草書では書けません」「二王の書のどちらが上」などの読み物風の項目まで、実に65本にものぼる「コラム」の掲載頁を示しており、魅力の一つとなっている。



 本書は、B5判上製箱入りの堅牢な造りの一冊本だが、かつての類書にはない「付録」として、人名や語句の検索用にCD(一枚)が付いていてパソコン等での検索が可能となっていることは貴重で、利用者にとっての利便性は類書より数等上といっていい。



 定価は28,000円+税(29,400円)で全国の書店で注文できるが、直接注文の場合は、〒615−8107京都市西京区川島北裏町74、TEL075−381−2319の同社・販売部へ。



(書道美術新聞 第915号1面 2009年5月15日付)



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