(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成29年(2017) 11月22日(水曜日)
書道美術新聞【1面】
「新学習指導要領」固まる
掲載日: 08年02月01日
書道美術新聞【1面】

「新学習指導要領」固まる

中教審が最終答申
“言語活動の充実”掲げ
国語の力強化提言
小・中版、3月末告示へ


 中教審(中央教育審議会=文科相の諮問機関)は1月17日、従来のいわゆる「ゆとり教育」を見直し、年間の授業時数を一割程度増やすことや、「小学五年生からの英語学習」などを盛り込んだ「幼稚園、小・中・高校等の学習指導要領の改善について」と題する最終答申を渡海紀三朗文科相に提出した。

これにより、小・中学校用の「新学習指導要領」はこの3月末には示され、高校用についても今秋までに告示の見通しとなった。

答申は、昨年10月に公表された「審議のまとめ」で示した基本路線をほぼ踏襲しており、授業時数を年間300時間以上増やすなど「ゆとり教育」との決別姿勢を鮮明にし、また「言語活動の充実」などを新コンセプトとして強く打ち出した「新学習指導要領」の概要を示している。

これにより「伝統と文化の重視」などを柱とし、「日常生活や学習活動に役立つ書写」などの“追い風的位置づけ”をもつ「新学習指導要領」が実現の情勢となった。

以下に「答申」の小・中学校「国語」や高校「書道」に関連した部分を中心に抄録(要旨)を掲載するが、何分にも煩瑣な章節立ての20万字を大きく超える膨大な文書なので、読みやすさ、分かりやすさの観点からダイジェスト化してお届けすることとする。

 [+加藤祐司・東京学芸大教授の話]

 [+中教審最終答申・目次(全)]


 ◇ ◇ ◇


学習指導要領の改善について<答申>(要旨)

学習指導要領改訂の基本的な考え方

○教育基本法の改正等やこれまで述べてきた現在の子どもたちの課題を踏まえ、学習指導要領の理念を実現するための具体的な手立てを確立するという観点に立った学習指導要領改訂の基本的な考え方は次のとおりである。


○平成18年12月に教育基本法が約60年ぶりに改正され、21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成を目指すという観点から、これからの教育の新しい理念が定められた。また、平成19年6月の学校教育法の一部改正では、教育基本法改正を受けて新たに義務教育の目標が規定されるとともに、各学校段階の目的・目標規定が改正された。


○今回の改訂においては、伝統や文化に関する教育や道徳教育、体験活動の充実、環境教育などを重視し、道徳のほか、社会や理科、音楽や美術、特別活動といった教科等の具体的な教育内容を改善する必要がある。



○このため、今回の学習指導要領改訂では、改正教育基本法等で示された教育の基本理念を踏まえるとともに、現在の子どもたちの課題への対応の視点から、 崟犬る力」という理念の共有、基礎的・基本的な知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力等の育成、こ里な学力を確立するために必要な授業時数の確保、コ惱意欲の向上や学習習慣の確立、λかな心や健やかな体の育成のための指導の充実、等がポイントであり、特に、△魎霹廚箸靴伸、サ擇哭Δ重要と考えた。



教育内容に関する主な改善事項

○以上のような改訂の基本的な考え方や教育課程の基本的な枠組みの下に、各教科・科目等の内容の改善を行う必要があると考えるが、各教科・科目等ごとの具体的な改善を示す前に、学習指導要領改訂の基本的な考え方を踏まえ、今回の改訂で充実すべき重要事項、社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項、等についての審議を整理した。



言語活動の充実

○各教科等における言語活動の充実は、今回の学習指導要領の改訂において各教科等を貫く重要な改善の視点である。


○国語科において、これらの言語の果たす役割に応じ、的確に理解し、論理的に思考し表現する能力、互いの立場や考えを尊重して伝え合う能力を育成することや我が国の言語文化に触れて感性や情緒をはぐくむことを重視する。具体的には、特に小学校の低・中学年において、漢字の読み書き、音読や暗唱、対話、発表などにより基本的な国語の力を定着させる。また、古典の暗唱などにより言葉の美しさやリズムを体感させるとともに、発達の段階に応じて、記録、要約、説明、論述といった言語活動を行う能力を培う必要がある。



伝統や文化に関する教育の充実

○国際社会で活躍する日本人の育成を図る上で、我が国や郷土の伝統や文化を受け止め、そのよさを継承・発展させるための教育を充実することが必要である。世界に貢献するものとして自らの国や郷土の伝統や文化についての理解を深め、尊重する態度を身に付けてこそ、グローバル化社会の中で、自分とは異なる文化や歴史に敬意を払い、これらに立脚する人々と共存することができる。


○また、伝統や文化についての深い理解は、他者や社会との関係だけではなく、自己と対話しながら自分を深めていく上でも極めて重要である。


○このため、伝統や文化の理解についても、発達の段階を踏まえ、各教科等で積極的に指導がなされるよう充実することが必要である。


○まず国語は、長い歴史の中で形成されてきた我が国の文化の基盤を成すものであり、また文化そのものである。国語の一つ一つの言葉には、我々の先人の情感や感動が集積されており、伝統的な文化を理解・継承し、新しい文化を創造・発展させるためには、国語は欠くことのできないものである。


○このような観点から、国語科では、小学校の低・中学年から、古典などの暗唱により言葉の美しさやリズムを体感させた上で、我が国において長く親しまれている和歌・物語・俳諧、漢詩・漢文などの古典や物語、詩、伝記、民話などの近代以降の作品に触れ、理解を深めることが重要である。


○我が国の伝統や文化についての理解を深め、尊重する態度は、我が国や郷土の発展に尽くした先人の働きや、伝統的な行事、芸能、文化遺産について調べるなど、社会科、とりわけ歴史に関する学習の中ではぐくまれるものであり、その充実を図ることが望まれる。


○音楽、美術、工芸、書道など、芸術文化に親しみ、自ら表現、創作したり、鑑賞したりすることが、伝統や文化の継承・発展に重要であることは言うまでもない。特に、伝統的な文化にかかわっては、音楽科や図画工作科、美術科では、唱歌や民謡、郷土に伝わる歌、楽器、我が国の美術文化などについての指導を充実し、これらの継承と創造への関心を高めることが重要である。



各教科・科目等の内容

○以上のような審議を踏まえ、各学校段階における各教科・科目等は以下のとおり改善することが適当である。


○なお、検討に当たっては、特に当該教科・科目等において幼稚園、小・中・高等学校を通じ、発達や学年の段階を踏まえた円滑な接続を図ること、また国語科だけではなく各教科等において、レポートの作成や推敲、論述、発表・討論といった当該教科等の知識・技能を活用する言語活動を充実することを重視した。



「国語」の改善の基本方針

○国語科については、その課題を踏まえ、小学校、中学校及び高等学校を通じて、言語の教育としての立場を一層重視し、国語に対する関心を高め、国語を尊重する態度を育てるとともに、実生活で生きてはたらき、各教科等の学習の基本ともなる国語の能力を身に付けること、我が国の言語文化を享受し継承・発展させる態度を育てることに重点を置いて内容の改善を図る。


○特に、言葉を通して的確に理解し、論理的に思考し表現する能力、互いの立場や考えを尊重して言葉で伝え合う能力を育成することや、我が国の言語文化に触れて感性や情緒をはぐくむことを重視する。


○そのため、現行の「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」からなる領域構成は維持しつつ、基礎的・基本的な知識・技能を活用して課題を探究することのできる国語の能力を身に付けることに資するよう、実生活の様々な場面における言語活動を具体的に内容に示す。また、現行の〔言語事項〕の内容のうち各領域の内容に関連の深いものについては、実際の言語活動において一層有機的にはたらくよう、それぞれの領域の内容に位置付けるとともに、必要に応じてまとめて取り上げるようにする。


○また、〔言語文化と国語の特質に関する事項〕を設け、我が国の言語文化に親しむ態度を育てたり、国語の役割や特質についての理解を深めたり、豊かな言語感覚を養ったりするための内容を示す。


○古典の指導については、我が国の言語文化を享受し継承・発展させるため、生涯にわたって古典に親しむ態度を育成する指導を重視する。


○漢字の指導については、実生活や他教科等の学習における使用や、読書活動の充実に資するため、確実な習得が図れるよう、指導を充実する。書写の指導については、実生活や学習場面に役立つよう、内容や指導の在り方の改善を図る。



「国語」改善の具体的事項

◆小学校「国語」

○日常生活に必要な基礎的な国語の能力を身に付けることができるよう、次のような改善を図る。


○「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」の各領域では、日常生活に必要とされる対話、記録、報告、要約、説明、感想などの言語活動を行う能力を確実に身に付けることができるよう、継続的に指導することとし、課題に応じて必要な文章や資料等を取り上げ、基礎的・基本的な知識・技能を活用し、相互に思考を深めたりまとめたりしながら解決していく能力の育成を重視する。


○〔言語文化と国語の特質に関する事項〕では、物語や詩歌などを読んだり、書き換えたり、演じたりすることを通して、言語文化に親しむ態度を育成することを重視する。また、認識や思考及び伝え合いなどにおいて果たす言語の役割や、相手に合わせた言葉の使い方や方言など、言語の多様な働きについての理解を重視する。なお、発音・発声、文字、表記、語彙、文及び文章の構成、言葉遣い、書写などについては、実際の言語活動において有機的にはたらくよう、関連する領域の内容に位置付けるとともに、必要に応じてまとめて取り上げるようにする。


○言語文化としての古典に親しむ態度を育成する指導については、易しい古文や漢詩・漢文について音読や暗唱を重視する。


○漢字の指導については、日常生活や他教科等の学習における使用や、読書活動の充実に資するため、上の学年に配当されている漢字や学年別漢字配当表以外の常用漢字についても、必要に応じて振り仮名を用いるなど、児童が読む機会を多くもつようにする。日常生活において確実に使えることを重視し、実際の文章や表記の中で繰り返し学習させるなど、児童の習得の実態に応じた指導を充実する。


○書写の指導については、手紙を書いたり記録をとったりなどの実際の日常生活や学習活動に役立つよう、内容や指導の在り方の改善を図る。


○教材については、我が国において継承されてきた言語文化に親しむことができるよう、長く親しまれている和歌・物語・俳諧、漢詩・漢文などの古典や、物語、詩、伝記、民話などの近代以降の作品を取り上げるようにする。



◆中学校「国語」

○小学校までに培われた国語の能力をさらに伸ばし、社会生活に必要な国語の能力の基礎を身に付けることができるよう、次のような改善を図る。


○「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」の各領域では、小学校で身に付けた技能に加え、社会生活に必要とされる発表、討論、解説、論述、鑑賞などの言語活動を行う能力を確実に身に付けることができるよう、継続的に指導することとし、小学校で習得した能力の定着を図りながら、中学校段階にふさわしい文章や資料等を取り上げ、自ら課題を設定し、基礎的・基本的な知識・技能を活用し、他者と相互に思考を深めたりまとめたりしながら解決していく能力の育成を重視する。


○〔言語文化と国語の特質に関する事項〕では、古典をはじめとする伝統的な文章や作品を読んだり、書き換えたり、演じたりすることを通して、言語文化を享受し継承・発展させる態度を育成することを重視する。また、他の言語と比べた国語の特質や、社会生活で使用されている敬語の特質など言語の多様な働きについての理解を重視する。なお、音声、文字、語彙、単語、文及び文章の構成、言葉遣い、書写などについては、実際の言語活動において有機的にはたらくよう、関連する領域の内容に位置付けるとともに、必要に応じてまとめて取り上げるようにする。


○古典の指導については、言語の歴史や、作品の時代的・文化的背景とも関連付けながら、古典に一層親しむ態度を育成することを重視する。


○漢字の指導については、社会生活や他教科等の学習における使用や、読書活動の充実に資するため、常用漢字の大体を読めるようにするとともに、学年別漢字配当表に配当された漢字を使い慣れるようにする。また、社会生活において確実に使えることを重視し、生徒の習得の実態に応じた指導を充実する。


○書写の指導については、社会生活に役立つことを引き続き重視するとともに、文字文化に親しむようにするため、内容や指導の在り方の改善を図る。



高校書道改善の基本方針

○芸術科(書道)については、その課題を踏まえ、中学校国語科の書写との関連を考慮し、書の文化の継承と創造への関心を一層高めるために、書の文化に関する学習の充実を図るとともに、豊かな情操を養い、感性や想像力を働かせながら考えたり判断したりするなどの資質や能力の育成を図るようにする。


○芸術科(書道)では、表現及び鑑賞にかかわる幅広い活動を通して、書を愛好する心情と書に対する感性を育て、書写能力を高め、豊かな情操を養うことをねらいとしている。このねらいを実現するため、内容は「A表現」、「B鑑賞」で構成され、「A表現」では「漢字仮名交じりの書」、「漢字の書」、「仮名の書」の3つの分野で構成している。なお、小学校及び中学校では、国語科において書写を指導することとなっている。


○課題として、豊かな人生を形成していくために、想像力を働かせて自分の思いをかたちにしていくこと/書に親しんだり芸術文化のよさを味わったり、生活や社会に生かしたり豊かにしたりする態度を育成すること/小・中学校の国語科の書写からの一層の円滑な接続を図ること、などが求められている。


○また、感じ取る力や思考する力を一層豊かにするために、自分の思いを語り合ったり、自分の価値意識をもって批評したりするなどして、自分なりの意味や価値を作り出していくような鑑賞の指導を重視する。



高校書道の改善の具体的事項

○中学校国語科の書写の学習との円滑な接続を図りながら、生徒の個性を生かした創造的な活動を行い、生涯にわたって書を愛好する心情を育て、芸術としての書を理解し、書の文化についての理解を一層深め尊重する態度を養うことを重視して、次のような改善を図る。


○「書道機廚砲いては、中学校国語科の書写との関連をより一層明確にする観点から、漢字仮名交じりの書」の内容の改善を図るとともに、総合的に書道に対する理解を深められるようにする。表現領域については、書の伝統文化としての位置付けからも、篆刻や刻字等の立体に対する視点を重視するようにする。また、書の文化の継承と創造への視野を広げ、理解を深めるとともに、感じ取る力や思考する力を一層豊かにする観点から、鑑賞の学習が充実して行われるようにする。


○「書道供廚砲いては、芸術としての書についての理解を深めるとともに、書の文化に関する鑑賞の学習が充実して行われるようにするため、表現領域については「漢字仮名交じりの書」を含め二つ以上の分野を選択して学習するとともに、鑑賞領域を学習する。


○「書道掘廚砲いては、現行と同様に表現領域の各分野及び鑑賞領域から一つ以上を選択して学習する。


○現行と同様に、「書道供廚蓮崕馥鮫機廚鰺修した後に、「書道掘廚蓮崕馥鮫供廚鰺修した後に履修させることを原則とする。



(書道美術新聞 (第885号) 2008年2月1日版 1・3面)


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