(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成29年(2017) 11月20日(月曜日)
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日展「五科」審査疑惑
掲載日: 13年12月15日

朝日新聞の告発記事(10・30付1面)第三者委が「報告書」
“指摘事実”認める
「疑念、他の科にも」とも
緊急特集「報告書」全文掲載(本紙2号連載)



 朝日新聞の告発報道を受けて2009年の日展における五科(書)の、特に篆刻部門を中心に審査の実態を調査していた日展第三者委員会は12月5日、日展に対して「報告書」を提出すると共に、記者会見を開いて調査結果を公表した。
 
 それによると同委は、同年の第41回展における五科をめぐって指摘された疑惑について、同年の責任者だった審査主任が存命していないこともあって具体的には認定できなかったとしながらも関係者に対するヒアリングなどにより、指摘された事実は認められたと結論。
 
 その上で再発防止策として、外部審査員の導入など審査体制の改善策や、事務局が審査過程を把握できるシステムの導入などを、幅広く提言している。(本紙3〜6面に報告書)

 ◇ ◇ ◇第三者委記者会見風景(12・5)

 今回の告発報道(10月30日)に対する日展側の反応は、驚くほどスピーディーだった。
 
 それは報道が与えた衝撃の大きさを物語るものとも思われたが、報道翌日の同31日には早くも寺坂公雄理事長をはじめ副理事長・常務理事クラスの役員合わせて6名に外部の識者2名を加えた「調査委員会」(委員長・高木佳子弁護士)を発足させて「事実関係等」を調査する方針を表明。
 
 しかし文科省や世論の反応が厳しさを増すのを見て11月7日、日展から独立し中立・公正な立場で調査する「第三者委員会」(委員長・浜田邦夫元最高裁判事)を発足させた。
 
 そして同委がこの日、ほぼ1カ月で調査結果の公表に踏み切ったというのが、報道以降の経緯である。
 
 
 今回の第三者委のメンバーは、浜田委員長と高木調査委員長を含む3名の弁護士に、元衆院事務総長、元NHK局長を加えた5名で構成され、さらに弁護士5名が補佐役として実働部隊を構成して調査に当たり、主に2009年の同展で当番審査員を務めた日展理事や評議員らを中心に、顧問から会員までの合わせて25名(内訳は五科関係18名、一〜四科6名、外部の評論家1名)からヒアリングを行うと共に、また各科の役員ら43名(ヒアリング対象者を含み、五科12名、一〜四科30名ほか)に対し書面照会による回答と資料提供を受けたとしている。
 
 その結果を総字数約3万字という長文でまとめたものが、今回の「報告書」である。
 
 
 報告書の中で同委は、報道が指摘した第41回展五科の篆刻部門の審査について、「会派別入選者数を前年と同数にするとの指示に基づいて審査を行った事実」や「入選数の事前配分」はあった、と“不正審査”の事実関係を認定。
 
 また、報道が指摘したいわゆる「天の声」についても、当事者が否定しており、それを伝えた審査主任も存命していないことから「具体的な指示を認定するには至らなかった」としつつも、そうした指示が「あったと疑わせる事実、および組織運営の実態は認められた」と報告している。
 
 
 五科における審査員による「下見」の慣行や、その際の「指導料の授受」の実態も「推認された」とし、「過去には入選や特選の審査に絡んで金銭授受の慣行が存在した事実も認められた」とすると共に「このような慣行を生んだ五科の組織風土がその後改められ旧来の慣行はもはや存在しないと認定することができなかった」と、慎重な言い回しながらも告発報道を大筋で認めた内容となっている。
 
 
 その上で報告書は「再発防止策」として、1)審査員就任後の事前指導や下見の禁止、2)事後の審査員への謝礼の禁止、3)審査員資格の見直しや外部審査員の導入、4)大臣賞の選考は全てを外部委員によるものとし、5)応募要項に禁止事項を明記すること、などの提言を行い、「日展の改革を検討する委員会の設置」なども求めている。
 
 
 そして報告書は、「残念ながら、我々の調査の結果、日展第五科『書』の在り方は一般社会の期待を裏切っているのではないか、という疑念を晴らすことができなかった。
 
 この疑念は第五科だけに限定されるものではなく、日展の他の科についても程度の差はあれ、潜在していると思われた。
 
 また公益社団法人として、日展の運営体制については改善の余地があると思われた」と結んでいる。
 
 
 非常に厳しく重い、だが日展を取り巻く社会のこの問題に対する認識、大方の受け止め方を的確に代弁した報告といえるだろう。



(書道美術新聞 第1020号1面 2013年12月15日付)


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