(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成29年(2017) 11月24日(金曜日)
書道美術新聞【1面】
『漢字かな交じり書の名品』上梓
掲載日: 10年09月15日
書道美術新聞【1面】

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天来書院版
田宮文平、中野遵氏共編


 昨春告示された新学習指導要領においても再び位置づけの変更が示されるなど、高等学校教育(芸術科「書道」)現場では依然として現代の国語表記の書表現、「漢字かな交じりの書」の指導法確立へ向けた模索が続けられているが、その困難さの最大の要因がこの分野に範例とすべき古典資料の少ないことにあるとするのは、書道界長年の共通認識といえようか。

 そうした中でこのほど、天来書院から出版された書道評論家の田宮文平氏と現文科省初中局教科書調査官の中野遵氏共編の『漢字かな交じり書の名品』(A4判168ページ並製)が書道界・教育界に話題を呼んでいる。(本紙3面に関連グラフ)

 ◇ ◇ ◇

 同書は、わが国の明治以降の近・現代における漢字かな交じり書を、「書家編」(田宮文平編)、「文人編」(中野遵編)の2部に分けて「名品を厳選し収録」(刊行のことば)した作品集。
 収録作家数は「書家編」が60、「文人編」が66の計126名にのぼるが、編者を務めた両氏が「漢字かな交じり書、現代の国語文の書の原点を一から考えなおしてみようと」(田宮氏)いう同じ立ち位置から、書家の書と文人の書について共通の視点、共通の土俵で猝昇遶瓩鯒鄙椶掘原則1人1点の作品を1冊にまとめたところが本書のポイントである。

 
 内容的には、まず書家編では編者らしい目配りで明治の三輪田米山、巌谷一六らから現役の古谷蒼韻、中野北溟らまで、各時代の名家の“この一点”を紹介しているが、中にはあまり知られていない作品も少なくなく、興味深い。

 
 文人編でも、古いところでは田中正造、福本日南といった政治家やジャーナリスト、鉄斎、大観、光太郎や子規、漱石、鴎外らといった画家彫刻家や文士ら、碧梧桐、芙美子、牧水や、現代の須田剋太、中川一政らまでと、高校書道の教科書でもお馴染みの顔ぶれも多く含む多彩な陣容で、編者が二年掛かりで、「書家編とのバランスも考慮して出来のよい作品を選んだ」「ことばと書表現との関係も重視した」という労作である。

 
 また、各作品に付された解説も、制作の背景や作品の品評だけでなく、エピソードや書に関する論説なども幅広く紹介しており、作者の人となりや書道観を知るうえではもちろん、作品自体の鑑賞にも役に立つものとなっている。

 
 同書の収録作家は以下の通りで、ここに図版を紹介した12作家は特に巻頭にカラーで掲載されているものだが、書家は2名に留まっている。

▽カラー図版
中島司有、野崎幽谷(以上書家編)、勅使河原蒼風、河井寛次郎、芹沢ケイ介、清水比庵、須田剋太、富本憲吉、村上華岳、森鴎外、与謝野晶子、横山大観(以上文人編)

▽第一部〈書家編〉
青木香流、青山杉雨、赤羽雲庭、安東聖空、飯島春敬、石橋犀水、井上有一、今井凌雪、巌谷一六、上田桑鳩、宇野雪村、江口草玄、大沢竹胎、大沢雅休、岡山高蔭、小川瓦木、尾上柴舟、金子鴎亭、金田心象、上條信山、川谷尚亭、川村驥山、木村知石、熊谷恒子、桑原翠邦、小坂奇石、小林抱牛、近藤摂南、駒井鵞静、鈴木翠軒、高塚竹堂、田中塊堂、田辺古邨、千代倉桜舟、津金寉仙、津金孝邦、辻本史邑、手島右卿、殿村藍田、中野越南、仲田光成、中野北溟、中林梧竹、西川寧、比田井小琴、比田井小葩、比田井天来、日比野五鳳、古谷蒼韻、町春草、松井如流、松本芳翠、三輪田米山、村上三島、村上翠亭、森田竹華、森田安次、山田正平

▽第二部〈文人編〉
会津八一、芥川龍之介、泉鏡花、大杉栄、梅原龍三郎、小川芋銭、尾崎行雄、金子光晴、鏑木清方、川合玉堂、川喜田半泥子、川端龍子、川端康成、河東碧梧桐、北大路魯山人、北方心泉、北原白秋、草野心平、熊谷守一、幸田露伴、小杉放庵、斎藤茂吉、坂口安吾、佐藤春夫、島崎藤村、相馬御風、高浜虚子、高村光太郎、清水比庵、竹久夢二、田中正造、谷崎潤一郎、種田山頭火、津田青楓、富岡鉄斎、中川一政、長塚節、中村不折、夏目漱石、西田幾多郎、西脇順三郎、野口雨情、萩原朔太郎、林芙美子、福本日南、正岡子規、堀辰雄、宮本百合子、武者小路実篤、棟方志功、保田與重郎、柳宗悦、吉川英治、吉田一穂、吉野秀雄、若山牧水



(書道美術新聞 第945号1面 2010年9月15日付)


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