(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成31年(2019) 10月23日(水曜日)
書道美術新聞【1面】 > トップ記事
「顔真卿」展、16日開幕
掲載日: 19年01月15日

台北故宮から「祭姪」も
東博・平成館で
国宝18、重文16等177件で



 特別展「顔真卿‐王羲之を超えた名筆」が1月15日、上野公園の東京国立博物館・平成館で開幕する(2月24日まで)。同展は、中国の書法史上で犒歃兔餃瓩初めて本格的に花開いたとされる東晋(317〜420)の「書聖」王羲之や、初唐の三大家(虞世南・欧陽詢・褚遂良)の伝統をしっかり受け継ぎつつも、異なる美意識のもとにいわゆる「顔法」を創始した顔真卿(709〜785)の、人と書の本質に迫ろうとする大型企画展。中でも、「祭姪文稿」(台北・国立故宮博物院蔵)の日本初公開は、開幕前から大きな話題を呼んでいる。(本紙10、11面に関連記事、グラフ) 

 ◇ ◇ ◇

 顔真卿は、山東省・琅邪臨沂の人。代々、訓詁学と書法を家学とする名家に生まれ、玄宗皇帝が治めた開元22年(734)、26歳で官吏登用試験に及第し、4代の皇帝に官僚として仕えた。天宝14年(755)に安史の乱が起こると、顔真卿は一族で挙兵して唐王朝の危機を救った。その後、建中4年(783)に李希烈による乱が起き、顔真卿は宰相の盧杞の計略と知りつつも敵地に赴いて、捕えられた末に蔡州(河南省)の龍興寺で非業の最期を遂げ、後世狠蘓知士瓩半里┐蕕譴拭

 日本初公開となる「祭姪文稿」は、安史の乱で顔真卿が兄顔杲卿と連携して兵を率いた際、杲卿とともに安禄山に捕えられ処刑された杲卿の息季明のための弔辞の草稿。

 序盤の平静さから、後半に至ると一転、その悲痛と義憤の感情の昂ぶりにさいなまれた筆致と生々しい推敲の跡は、「忠義の気、懇切親至の痛、波磔の間に鬱勃とし、千古に滅びず」(明・王世貞)と評され、「心手合一」の劇跡として「争座位文稿」、「祭伯父文稿」とともに「三稿」と称されている。

 このほか、今回展では台北の国立故宮博物院からは懐素「自叙帖」も初来日し、国内の主要博物館・美術館の蔵品をも合わせた、国宝18件、重文16件を含む計177件が一堂にされる。顔真卿の肉筆や拓だけでも、27件が集結する。

 内容的には、
▽第1章「書体の変遷‐書体進化の秘密」、
▽第2章「唐時代の書・安史の乱まで‐王羲之書法の継承と楷書の完成」、
▽第3章「唐時代の書・顔真卿の活躍‐王羲之書法の形骸化と情感の発露」、
▽第4章「日本における唐時代の書の受容‐三筆と三跡」、
▽第5章「宋時代における顔真卿の評価‐人間性の尊重と理念の探求」、
▽第6章「後世への影響‐王羲之神話の崩壊」
という6つのパートで構成された会場は、唐時代に焦点を当てつつ、書体の変遷から顔真卿が後世へと、また日本に与えた影響にも着目した、書法史を俯瞰する上でまたとない機会となっている。

 主な出品作品一覧と限定公開期間の区分は、以下の通り
 
 【第一章=書体の変遷】「甲骨文」、「婦★★」、「史頌★」、「石鼓文(中権本)」、「李斯泰山刻石(百六十五字本)」、「銅権」、「開通褒斜道刻石」、「乙瑛碑」 銑、「礼器碑」ぁ銑Α◆崟蕉峅攣撹脆蝓閉抗惜棔法廖◆崛眩竿蝓廖◆峽邉慶 文鏡廖索靖)」、王羲之「楽毅論(越州石氏本)」、同「定武蘭亭序(犬養本)」、同「心太平本黄庭経」、同「十七帖(上野本)」、「美人董氏墓誌銘」、「龍山公墓誌銘」、◎丁道護「啓法寺碑(唐拓孤本)」※

【第二章=唐時代の書・安史の乱まで】●智永「真草千字文筆」´◆ΝキΒ─智永「真草千字文(関中本)」ぁ虞世南「孔子廟堂碑(唐拓孤本※/陝西本/城武本)」、欧陽詢「皇甫誕碑」、◎同「化度寺碑(翁方綱本)」ぁ銑Α同「化度寺碑(慶暦本)」 銑、同「九成宮醴泉銘(海内第一本/天下第一本/官拓本/犬養本/汪氏孝経堂本)」、同「九成宮醴泉銘」、仇英款「九成宮図巻」、李成・王暁款「読碑 石図」 銑、郭忠恕款「明皇避暑宮図」ぁ銑Α褚遂良「伊闕仏龕碑」、同「孟法師碑(唐拓孤本)」※、同「房玄齢碑」、同「雁塔聖教序」、褚遂良摸「黄絹本蘭亭序(原跡=王羲之)」、「妹至帖(原跡=王羲之)」、「大報帖(原跡=王羲之)」、「地黄湯帖(原跡=王献之)」、王羲之「開皇本蘭亭序(王文治本)」、同「定武蘭亭序(游丞相蔵玉泉本)」、同「集王聖教序(李春湖本/松烟拓本/孔氏嶽雪楼本)」、同「興福寺断碑」、太宗「晋祠銘」、高宗「万年宮銘」 銑、則天武后「昇仙太子碑」、唐玄宗「紀泰山銘」、玄宗「石台孝経」ぁ銑Α◆岼と曇毘婆沙巻第六十及序」 銑、「大般涅槃経巻第四」ぁ銑Α◆嵬法蓮華経巻第二」´◆◆嵬法蓮華経巻第三」ぁ◆峩盥簇娘稠藩緻経残巻」キΑ◆崑天武后時写経残巻」 銑、◎「大方広仏華厳経巻第八」ぁ銑Α◆「世説新書巻第六残巻(規箴)」´◆◆「世説新書巻第六残巻(規箴・捷悟)」ぁ◆「世説新書巻第六残巻(豪爽)」キΑ◆「古文尚書巻第六」 銑、●「王勃集巻第二十九・第三十」、●「碣石調幽蘭第五」ぁ銑Α◆崟睚幻部残巻(第一章にて展示)」、●「説文木部残巻(第一章にて展示)」、◎「玉篇巻第九残巻」 銑、◎「毛詩並毛詩正義大雅残巻」ぁ銑Α◆「荘子天運篇第十四」 銑、◎「荘子知北遊篇第二十二」ぁ銑Α◆峭Ρ話H蝓奮て眤莪賈棔法廖欧陽通「道因法師碑(明庫装内府本)」、同「道因法師碑」、王玄宗「王洪範碑(明内庫本)」、孫過庭「書譜(天津本)」、伝賀知章「草書孝経巻」 銑ぁ∨‖◆文首国師)「尺牘巻」キΑ◆崕法碑(宋拓孤本)」、◎薛稷「信行禅師碑」 銑、同「涅槃経碑」ぁ銑ΑÅ伽憾茵崛浦融碑(宋拓孤本)」※、宋★「道安禅師碑」、李★「麓山寺碑」 銑、同「李思訓碑(項墨林本)」ぁ銑Α同「李思訓碑(呉栄光蔵本)」

【第三章=唐時代の書顔真卿の活躍】「王琳墓誌」´◆ΝキΑ顔真卿「王琳墓誌(天宝本)」ぁ◆岾垉己墓誌」、「千福寺多宝塔碑」、「東方朔画賛碑」、「謁金天王神祠題記」、「祭姪文稿」、「祭伯文稿」、「争坐位稿」、「鮮于氏離」、「郭氏家廟碑」、「臧懐恪碑」、「逍遙楼三大字」、「大唐中興頌」、「麻姑仙壇記(何紹基蔵本)」、「八関斎会報徳記」、「与蔡明遠帖」、「送劉太沖序」、「元結碑」、「干禄字書」、「顔勤礼碑」、「馬★新廟碑」、「顔氏家廟碑 」、「自書告身帖」、「裴将軍詩」(以上顔真卿)、史惟則「大智禅師碑」、李陽冰「三墳記」、張従申「李玄静碑」、張増「段行 碑」(宋拓孤本)、徐浩「不空和尚碑」、張旭「肚痛帖」、懐素「自叙帖」、同「小草千字文(千金帖)」、鄭雲逵「李広業碑(宋拓孤本)」´◆沈伝師「柳州羅池廟碑(宋拓孤本)」ぁ¬公権「玄秘塔碑(明内庫本)」キΑ同「玄秘塔碑」、裴休「圭峰禅師碑」、楊凝式「草書神仙起居法巻」

【第四章=日本における唐時代の書の受容】●「金剛場陀羅尼経巻第一」、●「紫紙金字金光明最勝王経巻第九」 銑、●伝聖武天皇「賢愚経残巻(大聖武)」ぁ銑Α◆最澄「久隔帖」 銑、◎空海「崔子玉座右銘」、◎同「崔子玉座右銘」、●同「金剛般若経開題残巻」、同「金剛般若経開題残巻」ぁ銑Α◆伝嵯峨天皇「李 雑詠断簡」、伝橘逸勢「伊都内親王願文」´◆ΝキΒ─◆小野道風「唐詩断簡(絹地切)」 銑、●同「智証大師諡号勅書」、●藤原佐理「詩懐紙」ぁ銑Α同「恩命帖」 銑、同「国申文帖」ぁ銑Α◆藤原行成「白氏詩巻(寛仁本)」 銑ぁ◆伝藤原行成「臨王羲之尺牘」〜Β

【第五章=宋時代における顔真卿の評価】蔡襄「楷書謝賜御書詩表巻」、◎蘇軾「行書李白仙詩巻」、◎黄庭堅「行書伏波神祠詩巻」 銑、同「草書李太白憶旧遊詩巻」、◎米芾「草書四帖巻」 銑、同「行書三帖巻」ぁ銑Α同「行書虹県詩巻」ぁ銑Α⇒公麟「五馬図巻」、◎「宋版十誦尼律巻第四十六(開宝蔵)」、郭隲「付法蔵伝巻第六残巻」 銑、◎「内典随函音疏巻第三百七」ぁ銑

【第六章=後世への影響】趙孟頫「楷書玄妙観重脩三門記巻」、同「楷書仇鍔墓碑銘巻」、同「行草書羅漢賛等書巻」、同「臨懐素自叙帖巻」、同「草書尺牘稿巻」、同「楷書倣顔真卿軸」、王鐸「臨顔真卿帖軸」、傅山「草書五言律詩軸」、梁★「臨祭姪文稿冊」、伊秉綬「臨争坐位稿軸」、同「行書七言聯」、何紹基「楷書節録漢書黄覇伝六屏」、同「行書画記等冊」、趙之謙「行書五言聯」、同「隷書張衡霊憲四屏」、同「行書七言古詩四屏」(●=国宝、◎=重文、※=頁・巻替有り)

 ◇

 また、同展との連携企画展として、台東区立書道博物館では「王羲之書法の残影‐唐時代への道程」(前期1月4日〜2月3日、後期2月5日〜3月3日)が、開催されている。

 一方、東博・平成館一階の企画展示室では、毎日書道会に所属する最高顧問から監事までの最高幹部作家ら18名による、「古典を受け継ぐ現代の書‐世代をつなぐ筆墨の美」展と題した特別展が、同会期で併催される。



(書道美術新聞 第1137号1面 2019年1月15日付)


関連する記事

印刷用ページ 

キーワード検索
書道段級取得−《書統》
書統'17 9月号
楽しく書道を学ぶ雑誌
21世紀の書道をリードする新構想の競書誌です。

[⇒詳しく見る]
全国有名筆墨業者一覧

◎埼玉

◎東京

◎滋賀

◎京都

◎大阪

◎奈良

◎広島

◎沖縄

▽関連するキーワードで検索する
[お問い合わせ] Tel 03-3462-5251(代表)
株式会社 萱原書房/美術新聞社  〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町29-35 ヴィラ桜ヶ丘ビル7F[アクセスを表示]
Copyright (c) 1999- KAYAHARA PUBLISHING INC.,JAPAN All right reserved.