(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成29年(2017) 11月18日(土曜日)
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「書の美、文字の巧」展
掲載日: 16年10月15日

「喪乱帖」も「龍馬」も
4年ぶり名品展
三の丸尚蔵館で開幕
三の丸尚蔵館
 「書の美、文字の巧」展が9月17日から12月4日まで、東京・千代田区の三の丸尚蔵館で開かれている。
 
 同展は、皇室関係の文書の編纂・保管を担当する宮内庁書陵部と、昭和天皇の崩御後、皇室から国に移管された美術品を管理する同館による収蔵品展で、奈良時代から大正期までの書蹟にスポットを当て、会期を3期(前期=10月10日まで、中期=10月15日〜11月6日、後期=11月12日から)に分けて、書陵部蔵の37件と尚蔵館蔵の35件の合わせて72件を公開しているもの。
 
 同館での本格的な書蹟展は、24年の「鎌倉期の宸筆と名筆」展以来で4年ぶり。(本紙8面に関連グラフ)

 ◇ ◇ ◇

 今回展は、王羲之書法の伝来から近代までの書の受容と展開の軌跡や、各時代の史実を裏付ける天皇、武将、政治家らの肉筆、さらに文字による各種の記録等を通して1、200年に及ぶわが国の文字文化の流れを俯瞰しようとする企画展。
 
 
 内容的には、まず前期の「唐様から和様へ‐日本の書、華開く」では、奈良時代の写経や三筆に代表される中国の書風と、和様書道の確立を果たした三蹟、そして平安期に開花した「かな」の広まりを見どころとしている。
 「天平時代文書」は、写経の外題に用いる狸毛の筆と、雑公文用の料紙「凡紙」を請求する内容が記されたもので、江戸後期の正倉院開検時に流出したとされ、昭和七年に民間から献納されて以来、今回が初公開。
 「喪乱帖」(原跡)は、羲之の書風を伝える名高い模本で、「延暦勅定」の朱文印が押されていることから、桓武天皇が東大寺・正倉院より借覧した書跡の1つとされ、明治13年に妙法院から皇室へと献上されたもの。


 中期の「豊かな書‐歴史を伝え、書風を展開する」では、歴代天皇の直筆による宸筆、宸翰が多数展示される。
 まず花園天皇「花園院宸記(巻第33)」は、好学で知られた天皇の日記で、儀礼や政治、詩歌の稽古など記述も多岐にわたる鎌倉末期の一級史料とされ、塗抹や重ね書きなど、宸筆による訂正が多く見られるのも見どころ。「洞院実熙消息」は筝を能くした公卿・洞院実熙が後花園天皇に宛てた手紙で、足利義教に没収された「十三絃道の御文書」の返還を求めた内容。

 
 後期の「語る書‐展開する文字の力」では、歴史上の著名人物らの書を中心に、書風の幅の広がりと個性的な書を紹介する。
 まず坂本龍馬「薩長同盟裏書(木戸家文書)」は、慶応2年の薩長同盟締結後に木戸孝允が龍馬へ宛てた書状に対し、龍馬が裏書して同盟の内容を保証したもの。寺田屋事件で両手親指を負傷した10日後の朱書き。「乃木希典日記及記録」は、明治の陸軍軍人・乃木希典の、明治37年から翌38年にかけての日記で、日露戦争での203高地攻略中の激戦で戦死した次男を悼む内容の漢詩や、水師営での会談の様子が綴られている。

 その他の主な出品は、以下の通り。

【前期】(9月17日〜10月10日)
▽「大般若波羅蜜多経(巻第二百四十四)」、「雑阿含経(巻第三十七)」、「大乗悲分陀利経(巻第三)」、空海「孫過庭書譜断簡」、大江朝綱「紀家集」、小野道風「屏風土代」、同「玉泉帖」、藤原佐理「恩命帖」、藤原行成「敦康親王初覲関係文書」、「琵琶譜」、伝紀貫之「深養父集断簡(名家家集切)」、源兼行「雲紙本和漢朗詠集・下巻」、伝源俊頼「安宅切本和漢朗詠集」、伝源俊房「七徳舞」、藤原定信「金沢本万葉集」、伝小野道風「本阿弥切本古今和歌集」、伝藤原公任「古今和歌集・賀歌三首」、藤原忠通「藤原忠通書状」、西行「西行書状」、平重盛「平重盛書状」、藤原師長「藤原師長書状」、藤原定家「藤原定家記文草案」、同「更級日記」、藤原為家「藤原為家書状」、伏見天皇「伏見天皇御集」

【中期】(10月15日〜11月6六日)
▽青蓮院宮尊円親王「結夏衆僧名」、後伏見天皇「下無調撥合」、「足利尊氏書状」、「後小松天皇宸筆御書状」、後花園天皇「後花園院御文類」、後柏原天皇「後柏原院宸筆七徳舞」、三条西実隆、公条、実枝「三条西家着到百首和歌」、「紫式部石山詣図」(画=土佐光元/賛=三条西公条)、「九条稙通詠草」、徳川家康ほか「古筆短冊手鑑」、細川幽斎「歌口伝心持状(古今伝受資料)」、八条宮智仁親王「古歌屏風」、「後水尾天皇宸翰古歌懐紙」、「明正天皇宸筆御書状」、「霊元天皇宸翰古歌短冊」、「光格天皇宸翰南無阿弥陀仏」、「富士山図」(画=円山応挙/賛=有栖川宮織仁親王)、三井親孝「乕」、貫名海屋「七言古詩・五言律詩」

【後期】(11月12〜12月4日)
▽徳川斉昭「誠」、藤田東湖「行書屏風」、島津久光「独楽園記」、佐久間象山「温壷引書(温壷考)」、吉田松陰「拝闕詩」、「坂本龍馬書状」、「吉村虎太郎書状」、高杉晋作「録王守仁詩」、高杉晋作ほか「高杉晋作等連判状(木戸家文書)」、勝海舟「航于米国艦中賦古詩」、孝明天皇「静寛院宮関係書類」、静寛院宮親子内親王「静寛院宮御日記」、有栖川宮熾仁親王「『天壌無窮』書」、同「熾仁親王書状(有栖川宮伝来書翰類)」、大久保利通「述懐和歌『花散れば』」、「岩倉具視書状(有栖川宮伝来書翰類)」、「西郷隆盛書状(木戸家文書)」、「伊藤博文書状(有栖川宮伝来書翰類)」、「明治天皇宸翰御手習并御清書」、「昭憲皇太后御詠草」、「大正天皇宸翰」、「貞明皇后和歌御色紙」


 問い合わせ等は、筺算亜掌淨鵝使‐一〇六三同館(テレフォンサービス)へ。



(書道美術新聞 第1085号1面 2016年10月15日付)


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