(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成29年(2017) 11月18日(土曜日)
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めざせ犹様の書
掲載日: 16年06月01日

中国書法、路線修正へ
中国書協全代大会
劉・中共中央宣伝部長が獺


 前号で中国書法家協会の新主席に就任した蘇士澍氏のインタビューを掲載したが、その中の「四有の書」について読者から問い合わせが相次いだ。
 
 氏の談話にもあった通り、これは昨年12月の同協会・全国代表大会の開幕式で、協会の上部組織のトップである中国共産党・中央宣伝部長の劉奇葆氏が行った演説で提起されたもの。これを受けて蘇氏も「私の主席としての最初の使命は、これから全国を回り、『四有の書』の実現のための意思統一を行うこと」と述べているように、いわば中国書法界が路線修正を迫られるような重要発言だったことが分かる。
 
 今後の日本書壇との交流の上にも影響が出る可能性もあるので、ここに劉氏発言の根幹部分を、文責・編集部で抄録して紹介する。

 ◇ ◇ ◇

 本日、中国書法家協会第7次全国代表大会が盛大に開幕しました。これは中国書法界で最も重要な祭典であり、文芸界にとっても非常に重要な行事の1つであります。
 
 書法分野は、社会主義文芸分野における重要な構成要素であります。近年の書法創作活動は日増しに繁栄し、優秀な作品が絶え間なく生み出され、国際交流展も活発に行われています。
 
 書法教育もますます目覚ましい普及と発展を見せ、内容水準も年々高まり、書法熱はさらに盛り上がろうとしています。書法理論の研究も絶え間なく深化し高度化して、数多くの有意義な研究成果が書法芸術の持続的な発展のために提供され、有力な支えとなっています。
 
 つまり、我が国の書法分野は、健全で前向きな素晴らしい状況にあり、繁栄発展の新しい段階に入っていることは明らかであります。
 
 以下に、これからの我が国の書法分野がどのように書法芸術を発揚し発展させていくべきかについて、4つの観点を提起したいと思います。

一、書中有文

 まず、書は「文」を、「文化」を大切にするべきだということです。それは書法芸術が、中華文化の根幹を承継し、独特の芸術的価値を発揚するものだからです。
 
 書法は、漢字を書くことを基礎とする独特の芸術分野であります。漢字は世界でも最古の文字の1つで、古代から今日に至るまで発展し続けている唯一の文字でもあり、強靭な生命力を有しています。魯迅先生は、漢字は「意味の美」、「音の美」、「形の美」の爍拡瓩鮖つものだと指摘されました。従って、漢字を書く書法芸術は、漢字の犹鞍瓩魑鬚蠅匹海蹐砲靴討り、中華文化の美を凝縮して具現しているものであります。

 殷周の時代から続く長い歴史の練磨を経て、書法は中華文化芸術の宝庫中の牴抬瓩任△襪汎瓜に、中華民族固有の芸術様式と精神を備えたものとして、周辺諸国地域の文化芸術に対しても、極めて大きな影響を与えてきました。
 
 歴史上の書法大家は、それぞれに文化的な大家でもあり、彼らの残した書法作品はすべて、中華文化の精髄であります。私達は、この中華文化を守らなければなりません。中華文化の誇りを守り、書法芸術の伝承と発揚に力を注ぎ、素晴らしい力作をもって中華美学を詳解し、書法芸術を眼を奪うような耀きで発信していきましょう。それこそが、現代に生きる書法関係者の重大で栄光ある任務だからです。

二、書中有道

 次に、書は「道」を見失ってはなりません。それは書法芸術の規範を大切にし、時代社会が守るべき精神気象を高め、広める努力をするべきだということです。
 
 歴史上の書法大家たちを大家たらしめた理由、またその尊敬に値する点は、彼らがそれぞれに時代の息吹きを鋭敏な感性で受け止め、その感じたところを書法創作の上に実践し、また独自の時代精神の品格として表したことだと思います。
 
 時代の精神を発揚することは、現代の書法芸術にとっても、避けて通ることのできない「大いなる道」であります。書法家の皆さんは、偉大なるこの時代精神、時代の気象を伝え残す歴史的使命を担っていると言わねばなりません。時代の脈拍を的確にとらえ、進んで時代の高みに立ち、時代の先端を走り、熱い実践でこの時代の筆墨文化の高みを示してください。
 
 過去のある一時期、書法界には、完全に書法芸術の歴史と伝統に背を向けた試みが行われたことがありました。しかしそれらは、完全に伝統を放棄したといえる現象で、おそらく書法芸術の向かうべき方向ではなかったと言えるでしょう。
 
 書法界はこれから、改めて書法芸術の長い歴史に培われた基本原理を再確認しつつ、現代の審美的要求にも適応しながら、品格の高い新鮮な作品において鮮明な個性を発揮し、書法芸術の新しいあでやかな姿を発信しようではありませんか。

三、書中有人

 3つ目は、書は「人」を、「生活」を重視するべきだということです。人々の生活に深く根差し、人が生きることの本質を捉えるところに、書法芸術の目指すもの、その役割があるはずだということであります。
 
 書法は大衆芸術であり、生活に則した芸術であります。現代社会にあっては、鉛筆、ボールペン、キーボード等が毛筆に代わって普及し、書法の実用的な効能は失われてきてはいますが、書法愛好家のすそ野は依然として広大であり、書法芸術の審美的価値はますます高まり、現代人の生活の中でのその枢要な地位と作用については、今後も決して変わることはないと確信します。
 
 ただ最近、書法界は1つの大きな課題に直面しつつあるようにも思います。それは、映画、演劇、舞踊、その他、非常にエンターテインメント化した多くの芸術部門に書法芸術がどのように対抗し、大衆に魅力を打ち出していくか、いけるかという課題であります。書法作品がこれからも、ただ展覧会場の壁に掛かっているだけ、あるいはホールを飾るため、生活空間を彩るためだけのものであっては、決して十分ではないと思います。
 
 現代においては、書法作品も単に眼福をもたらす(養眼)だけのものであってはならず、さらに見る人に作者の気配りまでが伝わる(走心)ような要素が不可欠だろうと思います。人々の共感を呼び、人々の情感をかき立てることが出来なければ、書法は氷のように冷たい、ただの伝統技術として見捨てられていくほかないでしょう。
 
 幸い私たちは、顔真卿の《祭姪文稿》や、蘇東坡の《寒食帖》を知っており、そのことは十分分かっているのであります。どうか書法家の皆さんは、書法芸術が人々に奉仕するためのよりよい手段と、よりよい機会を、絶え間なく模索してください。
 
 積極的に実践し、人々の豊かな生活の中から霊感を汲み取り、自然の千姿万態の中からイメージをつかみ、ますます優れた作品を世に送り出してください。私たちはまさに今、書法の指導を一層強化し、学校教育現場にも進んで協力し、絶えず書法分野の基礎を固めることが求められているのです。

四、書中有徳

 最後は、書には常に「徳」が備わっていなければならないということです。それは書法が、芸術性と文化力を兼ね備えたものであり、狷膳欟Δ坊阿覘畄歃竸誉犬亮存修忙颪垢襪戮ものであるからです。
 
 かつて柳公権は、「心正しければ、すなわち筆正し」と言いました。これはつまり、作者の品格がその作品の品格を決めるということであり、書法芸術には常に徳の存在が不可欠だということであります。そして、過去の各書法大家に対する評価からも分かるように、「徳」は揺るぎない一つの重要な基準にほかならないものです。ところが残念なことに、近年の書法界にはごく一部ではありますが、幾つかの好ましくない問題が明らかになっています。
 
 それはたとえば、ある者は心が浮ついて気が緩み、ある者は自らを欺き偽装し、ある者は成果を焦って利に目がくらみ、あるいは名誉を不公正な手段で手に入れ、あるいはまた、書法芸術を金儲けと私利を貪る道具にしたりしています。これらはいずれも、書法界全体のイメージを損ない、書法分野の健全な発展を大きく妨げるものにほかなりません。
 
 書法家の皆さんはどうか、率先して社会主義の核となる価値観を発揚し実践し、良好な精神と道徳を養い、徳を以て芸術を培う努力を続けてください。字を書くことと人生とを有機的に結びつけることで、狷膳欟Δ坊阿覘畄歃竸誉犬鮗汰し、この時代に君子の気風を打ち立ててくださるよう、期待してやみません。
 
 
 書法芸術のさらなる繁栄、発展は時代の要請であり、時代社会に不可欠なものであり、書法家の皆さんの崇高な使命にほかなりません。長い歴史をもつ書法芸術に新しいページを紡ぐため、さらに大きく貢献をしていこうではありませんか!



(書道美術新聞 第1077号1面 2016年6月1日付)


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