(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成29年(2017) 11月19日(日曜日)
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「トメ・ハネ」、幅広く犁容”
掲載日: 16年02月15日

文化庁が「指針」作成
文化審国語小委
狡糠の悩み瓩ら解放も

 これからの国語施策の在り方を審議している文化庁の文化審議会・国語分科会の漢字小委員会が取りまとめている、漢字を手書きする場合の文字の字形・書体を構成する点画の長短やトメ・ハネ・ハライなどの異同で正誤、適否を論じるべきではなく、多様な形が許容されている、などとする「指針」の概要がこのほど、公表された。
 
 それによると、例えば「木」のタテ画はとめてもはねても問題なく、「天」の横画も上下どちらが長くてもOKなどと、常用漢字の各文字の狃颪方瓩砲修譴召貮広く爐墨付き瓩鰺燭┐討い襦
 
 これで書塾の指導者らは長年の悩みから解放されそうだが、教育現場の混乱や専門家からの異論等も考えられ、今後曲折も予想される。(本紙8,9面に関係記事)

 ◇ ◇ ◇

 同「指針」の概要は2月10日付の読売新聞が報じたことから、書道界でも大きな反響を呼んでいるものだが、記事は「文化庁の文化審議会漢字小委員会は9日、漢字の手書き文字について…指針案をまとめた」として、「はねても、とめても正解」「漢字、細かい違い許容」などとする見出しと共に「天」「荘」など10文字の犲蟒颪文字の字形の例瓩鮨渕┐靴討い襦
 
 
 しかしこの記事、他紙はどこも扱っていないことから、「さてはスクープか」と、早速文化庁に取材したところ、
 「ああ、あれは文化審議会の漢字小委員会の議事録に付いていている資料なのです」「12月18日の第21回の小委員会の配布資料として、議事録と合わせて出したもので、ダウンロードして頂けばお読み頂けますよ」「この指針案は、3月末頃には倏鯢住翹椨瓩侶舛琶鷙霆颪鮟个掘⊇饑匆修睛縦蠅靴討い泙后
 という返事。
 
 だとすると、読売記事の「9日うんぬん」は必ずしも正確ではないようだが、とにかく文化庁が広く意見(パブリックコメント)を聴こうと公表に踏み切ったものであることは間違いなく、美術新聞社としても広く書道界と一緒に考えようと、報道することにした。
 
 
 「指針」は今のところはまだ、文化庁の審議会サイトでA4判100余頁からなる『「手書き文字の字形」と「印刷文字の字形」に関する指針(仮称)(案)』と銘打ったものと、同じく約80頁からなる、「亜」から「腕」までの常用漢字2、136字について「印刷文字の字形の例」と「手書き文字の字形の例」を示した『字形比較表(案)』の、2種類の「資料」としてアップされている段階。
 
 
 文化庁によると、現在の漢字小委は3年前の2013年5月から審議を始めており、昨年12月までに開いた正式な会議だけでも計21回開催して、幅広いテーマについて審議を重ねてきているという。
 
 特にこの「字形」問題については、一昨年の4月から昨年の12月までの間に計14回の会議と13回の「漢字打ち合わせ会」をもって論議を詰めて来たもので、社会生活の中で使われる漢字の字形については、2010年に改定された常用漢字表に付された「字体についての解説」の中でも、明朝体と筆写(手書き)の楷書の字形との関係について、「特に字形上で注意が必要と判断される一部の漢字」を例示して犢佑方瓩鮗┐靴討い襪、今回、それをより分かりやすい解説や、取り上げる漢字は範囲を広げる狙い「指針(案)」として取りまとめたとしている。
 
 
 具体的には、例えば「鈴」の旁(つくり)の「令」の形は「■」と「令」のどちらが適切かなど、各文字の形状における「長短」「方向」「曲直」「つける・はなす」「とめる・はらう」「とめる・はねる」等々の犖鼎て新しい問題瓩砲弔い童‘い掘⊆蟒颪文字と印刷文字の違いについての考え方の原則を示したものとしている。
 
 
 そして別項(8,9面)に転載した「手書き文字の字形」は、「あくまでもその漢字の字体において実現し得る字形のごく一部であり、標準の字形として示したものではない」とクギを刺している。
 
 
 そしてそのうえで、そもそもこうした字体に関する考え方は基本的には、1949年に内閣告示された「当用漢字表」と、それを引き継いで81年に実施された「常用漢字表」、さらには現行の「改定常用漢字表」でも一貫して示してきているところで、決して新たな方針を打ち出したものではないと強調している。
 
 
 確かに「当用漢字表」でも、「長短」や「方向」「曲直」等々に関しては、「印刷文字の標準として示した字体が、手書きの楷書の習慣と一致しない場合がある」と明記しており、我々としてもそのへんは軽々な判断を避け、今後将来にわたって安定した適切な漢字使用の方向性を見定める好機として、この問題を改めて検証し、認識を深める機会としたいものだ。

 ◇

【指針】のQ&Aから
◆Q<手書き文字と印刷文字の字形の違いについて1>学校で教わった漢字の形と新聞や本で見る漢字の形が違っていることがあります。どちらが正しいのですか。
A「それぞれ正しい形です。学校で教わった手書きの文字の形と印刷された文字の形には,表し方にそれぞれ独自の特徴や習慣があるため,違いが見られることがあるのです」

◆Q<手書き文字と印刷文字の字形の違いについて2>手書き文字の字形と印刷文字の字形とは,一致させるべきではないでしょうか。
A「印刷文字は,読みやすさを重視して発展してきたものですから,そのとおり手書きするのは難しい場合があります。それぞれの表し方の習慣を知っておきたいものです。

◆Q<漢字文化との関係>それぞれの漢字に,様々な字形を認めることは,漢字文化を壊してしまうことにつながりませんか。
A「この指針の趣旨は,むしろ,情報機器の普及などによって忘れられつつある漢字文化を取り戻そうとするものです。字形の多様性を認めることは,漢字文化を尊重する考え方です」



(書道美術新聞 第1070号1面 2016年2月15日付)


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