投稿日時: 08年04月01日 |
「シルバーから/わ・か・ばまで」――、しかもその前に「全国」が付き、後に「書道展」が付く。「わかば」の字間には「・」まで付けての“遊び心”となると、これはもうとても実用的とはいえない。で、「シル/わか」展という通称を使うことにして、本紙の見出しもこれで統一することになった
投稿日時: 08年03月15日 |
謙慎書道会が70回記念展を開いた。「70回」に至った「第1回」展の開催は昭和8年7月で、これに先立って「謙慎書道会は、本会の前身、春興会の成立を経てのち、昭和8年(1933)5月、西川寧先生をはじめとする創立会員、林祖洞、鳥海鵠洞、江川碧潭、金子慶雲の五氏によって創立されました」と同展記念図録に載っている。従って、これがオフィシャルな同会の来歴資料ということになる...
▼そこで実は、美術新聞社として一つ問題を抱えることになった。本社が既に過去29年にわたり毎年出版している『年鑑・書道』に載せている「近代書道団体の成立と変遷」という資料に、同会は昭和3年成立の春興会の系譜を継ぎ「昭和14年成立」としているからである。本誌のこの記載は、『東方書道会史』などの著書のある故佐藤祐豪氏から提供を受けた資料を基に編んだものなのだが、急ぎ訂正しなければならないわけである
▼そこで手近な公刊資料に当たってみると、飯島春敬編の『書道辞典』には、飯島太久磨氏の署名でやはり「昭和14年」とあり、しかし近藤高史編『明治・大正・昭和/書道史年表』には「昭和8年5月」と記載されているので、ここは近藤氏の方が正確な資料に当たったことになる。
(書道美術新聞 第888号1面 2008年3月15日付)
投稿日時: 08年03月01日 |
書道界では昔から「自詠自書」を標榜するグループは多いが、少なくとも現代においては、「自詠」といっても「漢詩」を自詠して書作しようとするグループは多くない。全国に数ある競書誌でも「漢詩講座」を掲載しているケースは枚挙に暇ないと思われるが、本格的に作詩を指南する講座は、やはりそう多くないだろう...
▼そうしたスキマを狙い、「漢学界」広しといえども戦後世代では右に出る者なしと定評のある碩学、大野修作氏に“手取り足取り”してもらって作詩を学べる新講座「大野修作漢詩塾」が、『書統』で始まることになった。しかもこの講座、“志”を共にする全国の各誌に“無償提供”して共同で運営し、統一基準の「漢詩段級位」や「師範位」などの認定までやろうという、ある意味壮大な構想で、大野氏も大乗り気の大事業なのである
▼しかもこの講座を高校の「書道」の授業や部活での活用に結びつけ、新たな取り組みを促すきっかけにもできたら、高校でも「伝統文化」重視が打ち出されるといわれる新学習指導要領の主旨にも沿うのではあるまいか。さらに「漢詩」の場合、全国の書塾が団塊世代などを取り込むのにも格好の“コンテンツ”となるとの読みもあって、期待は膨らむのである。
(書道美術新聞 第887号1面 2008年3月1日付)
投稿日時: 08年02月15日 |
過日、書学書道史学会の事務局で小さな集まりがあった。集まりは昨秋の学会理事会で設置方針が決定された「近・現代書道史研究調査小委員会」(座長=鈴木晴彦日大教授)の初会合で、この新しい動きは書道界としても大いに楽しみにして頂きたいと思う...
▼来年は創設20周年を迎える同学会は今や会員数500名を擁する斯界トップの研究団体に成長。去る2000年には大規模な国際大会を開催したり、『書道史年表』や『書道史〈年表〉事典』を上梓するなど、それなりの存在感は発揮してきていると思われるが、当初から関係者らが等しく問題意識を共有しながらも結果として対応を先送りしてきたのが、この「近・現代の書」に関する研究者の育成、研究環境の整備という課題である
▼これは、会員の4割前後は「創作活動に従事」する人たちという学会であれば当然の取り組みのはずだが、これまでの活動動向は残念ながら「ともすれば古い方にばかり目が向きがち」(関係者)だった。そうした体質、姿勢に漸く「変化」のきざしが生まれようとしているのが今回の小委員会設置の動きと見れば、大いにご期待頂ける、というか、そう、ぜひ背中を押して頂きたいというのが、この取り敢えずご報告の主旨である。
(書道美術新聞 第886号1面 2008年2月15日付)
投稿日時: 08年02月01日 |
またぞろ、中国製食品による健康被害事件が深刻な波紋を広げている。残留農薬が原因とみられているが、単なる事故とはいい切れないような気もする。当の中国では、やはり報道規制が敷かれているらしいが、早速大挙して現地入りしたわがマスコミ陣によって、農薬や工場排水で悲惨なまでに汚染された河川の実態なども伝えられ始めた...
▼そこでこのニュースに便乗して、ちょっと書道界にも影響甚大と思われる中国製書道用品に関する話題を一つご紹介しよう。それは書道用紙のことである。今では画仙紙も半紙もすっかり安い中国産品にシェアを奪われ、日本の産地はどこも青息吐息。このままでは将来は真っ暗というのが、まあ伝統産業の通り相場だが、ここへ来て「中国からの用紙の供給が止まるかもしれない」という情報が伝わってきている。
▼要するに中国のこれらの紙の生産者はみな零細業者で、どの工場も廃液などは垂れ流し同然で河川の汚染が深刻化。これに対し当局が指導に乗り出すと、すぐ別の場所に移転してまた続けるというイタチごっこで、業を煮やした当局が近く強権を発動、用紙の全面輸出禁止に踏み切りそうだというのである。確たる情報が入り次第、ご報告することにしよう。
(書道美術新聞 第885号1面 2008年2月1日付)