(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成30年(2018) 11月14日(水曜日)
  
投稿日時: 18年04月15日

 昨秋、美術新聞社が大崎WGと共催で同ギャラリーで開催した「酒の書と…」展の中国・蘇州展が開幕したので、現地へ覗きに行った

▼同展は蘇州市政府の全面的協力で立派な会場の提供も受け、日本側の171作家の全作品をはじめとする日中約500点による盛大な展観となったのだが、その現地で現代中国ならではの面白い体験が3つほどあった

▼1つは、準備の段階で市側から「タイトルの変更」を要請されたことで、当局者の話では、習政権になってから「酒」に関する規制が有形無形に強化、「酒の」で始まる展覧会は通りそうにないとか。で、「曲水流觴‐書道与酒/綿和醇馥千年」展という、訳の分からない展名となった

▼規制の関連と思われるのが、食事時に出たビールがどれも3%か2・5%で、水っぽいこと。2・5%ビールは初体験だった

▼そしてもう1つは、蘇州展に市政府の号令一下(らしい)、小学校11校、中学校6校から1、000点近い犹申出品瓩魎鵑擦討發蕕辰燭里世、それが何と「酒」字を篆隷はおろか金文や甲骨文で書いたもの、牋中八仙瓩砲泙弔錣訖涓茲覆匹房鮴膺豢磴鮖燭靴榛酖々。さすが文字と漢詩の母国…。日本の子供たちには到底…。いや、たぶんPTAが…。呵々!

(書道美術新聞 第1120号1面 2018年4月15日付)


投稿日時: 18年04月01日

 これは、高校用指導要領の牋しき伝統瓠とも言うべきもの。「いつかは言い出さねば」と思っていたことなので、幸い今回、文科省にツンドクされていた「パブ・コメ」中にこの点に言及した提言があったので、早速――

▼新指導要領でも、「各学科に共通する各教科」として国語、地理歴史、公民、数学、理科など11の教科が設定され、その中の「芸術」4科目の一角として「書道」が置かれていることは衆知の事実。だが、これとは別に「主として専門学科において開設される各教科」として農業、工業、商業など13教科が置かれている中には、音楽、美術はあるのに「書道」は蚊帳の外なのだ

▼学校教育法施行規則という法律の附則にそうあるからで、10年前に告示の現行指導要領でも13教科で変わりはない。しかし実は、現行では「共通する各教科」は10教科で、今回11番目に「理数」という新教科が加えられているのだから、この法律が絶対でないことは明らか

▼今や全国の書道学科やコースを設置している高校の関係者で組織している「全国書道高等学校協議会」の加盟校も19校に上る時代なのだがら、次回の改訂ではぜひに! いや、10年も待てない!「追加告示」を求める運動を始めよう!

(書道美術新聞 第1119号1面 2018年4月1日付)


投稿日時: 18年03月15日

 最近、「文字文化」というものを考える機会が増え、結構楽しんでいる

▼文字でよく引き合いに出されるのが、ネット上でも「文字」「ソクラテス」でたちどころに出てくる有名な話だが、プラトンの対話編にある一節がある。文字を発明した位の低い神が「これこそ記憶と知恵の秘薬だ」と自慢すると、最高位の神が「文字はせいぜい、忘れていたことを思い出す手掛かりになるだけ」「文字が伝える知恵など、真実の知恵ではない」と答えたという例え話を、ソクラテスが言うくだりである

▼そこから、「文字を使うと、人間は記憶力が衰えてバカになる」というのが古代ギリシャ人の考え方だったという説になるわけである。実際、わが『古事記』の稗田阿礼も、メモが取れたら名を残すこともなかっただろう。そういえば、ソクラテスはただの1冊も本を残していないのだから、あながちプラトンの作り話とは言えないのかもしれない。

▼そうそう、大学時代にある教授から「せっせとノートを取ってるやつほど出来が悪い」「ノートなんか取らず、その場でしっかり覚えろ」と言われたことがある。一理あるかもしれない。が、だからと言って猜源無用論瓩鮓世うとしているわけではアリマセン! 念のため!

(書道美術新聞 第1118号1面 2017年3月15日付)


投稿日時: 18年03月01日

 「日本が最も、締め切りを守ってくださったし、サイズもしっかり守ってくださいました。とても感謝しています」と、主催者からお礼の言葉をいただいた

▼そして会場に一歩足を踏み入れると、どの部屋でも万丈の気を吐いていたのはわが日本作家の作品で、見応えのある本格的な国際展となっていた。さあ、そうなると、韓国側からバトンを渡された「2020年・東京」に、どうつなげるかである。「東京」と「北京」の構想を話し合う会議でも、お国柄から当然とはいえ、中国側は「北京では国家的事業として盛大に実施します」と力づよく言明していたから、相当なプレッシャーである

▼そこで美術新聞社と(一社)国際文字文化検定協会としては、これまでの経緯を踏まえて取り敢えず、2月末締め切りで東京都が東京五輪記念の文化イベント企画を募っていた「TOKYO・TOKYO・FESTIVAL!企画公募」に「現代日本の書・2020人展(日中韓代表作家展併催)」をメーンとする計画書を提出した。都では20件程度を選び、予算も出し、会場等も便宜を図りましょう、ということなので、当選すれば大朗報である。結果は祈るしかないが、内定は7月ごろには出るようだ。期待して待ちたい。

(書道美術新聞 第1117号1面 2017年3月1日付)


投稿日時: 18年02月15日

 アポロ11号のアームストロング船長流に言えば、「この四行はうっかりすると見落としそうに小さいが、日本の文字文化にとっては偉大な一歩である」と言っておきたい

▼「書くことに関する指導については、中学校国語科の書写との関連を図り、効果的に文字を書く機会を設けること」と、高校の新しい指導要領で国語の必修科目として示された指導内容。これが現実にどのような授業として実現するかは、まずは文科省による『解説書』において、次は各出版社による教科書編集の場で、そしてさらには各地の教育研究会における現場の先生方の授業研究などによって模索が続けられることになるわけだが、長い険しい道のりとなろう

▼特に重要なのは、これは中学と高校の先生方の緊密な連携が不可欠と思われることで、この「未知との遭遇」には準備期間が四年あっても、間に合うだろうかと思う。だが、こうして次代を担う日本の子供たちに、「打つ」「押す」一辺倒から「書く」への回帰を義務付けた新指導要領、オーバーでなく「世界に冠たる教育行政」と言えよう。各国から「日本モデル」として注目を浴びるものになりそうな気がする

▼今後の教育界関係各位の、このモデルに「魂を入れる」努力にエールを贈りたい。

(書道美術新聞 第1116号1面 2017年2月15日付)


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