(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 令和年9月21日(火曜日)
  

「コロナ禍」で、書道界の危機!

「新型コロナ禍」は、書道界に深刻な後遺症を残す可能性が強まってきた。この問題、高齢会員に対する減免、特別料金設定といった、書壇と関係業界が結束しての、思い切った対策が必要かも知れない。それでも、先は見通せないと思わざるを得ない▼例年なら桜の話題でもちきりとなるこの時期は、全国の各会・教室では夏の公募展へ向けての作品の準備に入り始める頃だろうが、ある有力書壇指導者の話では今年は高齢会員を中心に「暫く、教室をお休みさせてください」「今年の出品も、お休みにさせて頂いてよろしいですか」という連絡が相次いでいるとか▼従って、今年の各展の出品数が相当程度落ち込むのはやむを得ないとしても、「問題はその先」と、その指導者はいう。つまり、多くの高齢会員がこれを機に書道をやめてしまうか、書道はやめないにしても、公募展出品に付いて来なくなる心配があるのだ。高齢会員の多くは先生が励まし、励ましして付いて来ている人も多い。「みんなと一緒」だから頑張って来た人が、みんなと一緒にリタイアしてしまう事態が、現実味を帯びてきているのだ▼ともあれ、今はとにかく一人ひとりが慎重に身を処す以外にないのだから、まさに「人間が試されている」時----。


井島勉先生を京都市美に訪ねたこと

 京都市美術館の記事を書いていたら、かつて(一九七四年)同館の館長室に井島勉先生を訪ねてインタビューをした時のことを思い出した▼当時も片手間で美術の新聞の編集をやっていたので、その紙面で「美を語る‐あるす・ろんが」というインタビューコーナーを設け、気になる方を片端から訪ね歩いていたのである。井島先生の前は建築家の谷口吉郎、その前は写真家土門拳、井島先生の後は陶芸家小山富士夫、その後は常盤山文庫の菅原通済という贅沢さで、それは勉強になった▼井島先生は言うまでもなく西洋美学・芸術史の大家で、二年前に京大を定年退官され、同館の館長をお務めになっていた。当時私は駆け出しの大学講師。美学・美術史の講義には先生の著書を教科書に使わせて頂いていたので、かなり専門的なお話を聞かせて頂いたのだが、「館長として、今の美術界にどんなご感想を」と伺ったところ、とたんに口調が厳しくなった▼「美術評論家が特定の物差しを持ってモノをいうことは、単に彼の個人的事情」「そんな言説は我々の美に寄せる願いや共鳴のためには全く無用」と一刀両断。そして、「一部にそうした評論家の物差しに媚びるような作品を作っている作家もなしとしない。残念だ」とも----。


別冊付録『美文字だ!練習帳』が人気! 

 文字文化協の機関誌『文字だ!』(第41号)が「美文字だ!練習帳」と銘打った別冊付録をつけたところ、予想外の手応えでビックリ!▼ある程度反響はありそうと考えて朝日と読売に出版広告を打ったので、お気づきだった方も多いと思うが、この出稿を取り扱った広告代理店の担当者が驚いているほどだから、確かに予想外といっていいだろう。そしてこのことは、猜源離れ瓩叫ばれている時代でも、「美しい字を書きたい」と思っている人は少なくないという証左の一つと見れば、これほど心強いことはないと言えよう▼と、ここで有頂天になる前に、実はもう一つの犹実瓩鯤鷙陲靴覆韻譴个覆蕕覆ぁそれは何かというと、「新聞広告を見た」といって注文電話を掛けて来た人々の年代に、これまた予想外の片寄りが見られたことである。なんと、「六十代はまだ少なく、大半は七十代から、八十代。九十近い人も少なくなかった」とは協会事務局の話で、「ほんと、若い世代はほとんどいなかった」とも▼これは、若い世代が「美文字」に関心がないというのではなく、それほど若い世代が新聞を読まなくなっているという爛如璽伸瓩噺て、今後の若者層へのアプローチの仕方を考えねば、という話なのである。


東博が、入館料値上げ!(続)

 東博の入館料の大幅値上げ方針について異論を差し挟んだら、各方面からいろいろお励ましを頂き、同憂の士が少なくないことを実感した▼ある読者からは、「東博の考え方は安易すぎて、論外。博物館法には、国民共有の文化財について、無料で国民に展覧、鑑賞させることと規定されているのだ」、とご教示頂いた。そうなのかと、早速「博物館法」をひも解いてみた。そうしたら、博物館法第二十三条にはこうあった。「公立博物館は、入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない」。なるほど、そうなのか▼じゃあなぜ、各館とも大っぴらに入館料を徴収しているか。で、二十三条をよく読むと、後段にこうあった。「但し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる」。なるほど、法律は作る人も使う人も、ちゃんと抜け道が分かっているのである▼だが、東博は「将来のための財務基盤の整備」を掲げているわけだから、これは「やむを得ない事情」とはちょっと違う。ちなみに、海外に目を向けてみると、ソウルの国立中央博物館にしても、中国の上海博物館、天津博物館にしても、すべて入館料は無料。これがグローバル・スタンダードなのだ。
 


東博が入館料値上げ!

爛Ε錺記瓩麓にしていたが、これほどとは----。東博が入館料を四月から一、〇〇〇円(一般・個人)にすると発表した。現行は六二〇円だから、何と六割超という大幅値上げである▼そして館側ではこの値上げは「来館者サービスの向上」のためと謳い、これにより「展示解説の充実」「新感覚の展示の拡大」「庭園の整備」「休憩スペースのリニューアル」などに一斉に着手すると表明している。しかしこれでは、これほどの大幅値上げの説明には到底なるまい▼本音はむろん後段の、「貴重なコレクション」を次代に継承できるように「財務基盤を整備」というところにあるのだろうが、しかし今を営々と生きる庶民(入館者)に「次代のため」の負担を求めるのは、やはり限度というものがあろうし、段階的に引き上げるようなやり方が、経済原理というものだろう▼おそらくは、東博がこうして先陣を切り、少し遅れて国立他館も続々と追随する目論見に違いない。それも「東博は六割、当館は四割」などという戦術かもしれない。それにしても、政府も政府だ。独立行政法人化で自助努力を促すという政策は、間違ってないにしても、「次代のため」の投資を入館者にかぶせる図式となるのは、やはり間違っていると思う。


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