(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成29年(2017) 10月22日(日曜日)
  
投稿日時: 17年05月01日

 東京オリンピックで野球や空手、サーフィンなどが新種目として採用され、関係各界がねじり鉢巻きのようだが、番外でいいから、今からでも「芸術」を加えてはもらえないだろうか

▼もちろん、現在の計画でも、何らかの文化関連のプログラムは用意されているのだろうし、芸術界でもこれを機に大規模イベントを企画している分野もあるには違いない(書道界では今のところ聞こえていない)が、組織委員会として正式に位置づけ、「五輪マーク」が使える展覧会が同時開催ともなれば、狷本瓩鬟▲圈璽襪垢訃紊任盥ヅだと思う。3年あれば、十分間に合うし――

▼そもそも近代オリンピックの史上では、かつて「芸術競技」が正式種目だった時代があった。1912年のストックホルムから48年のロンドンまでの7大会で、絵画・彫刻・文学・建築・音楽の五分野が正式種目として取り上げられ、「スポーツを題材にした作品」審査で、得点により順位を競うというものであった

▼そして日本人選手(?)も、32年のロスと、36年のベルリン大会では、国内予選を経て参加し、32年には版画で長永治良が佳作、36年には絵画で藤田隆治、水彩で鈴木朱雀の2人が銅メダル、音楽で江文也が4位に入賞したという。

(書道美術新聞 第1098号1面 2017年5月1日付)


投稿日時: 17年04月15日

 中国で、当時の茶に関する知見が網羅された『茶経』が編まれたのは、8世紀の唐でのこと。そういえば「武則天」のドラマでも、茶は盛んに飲まれていた。そして列島では、遣唐使が茶葉を持ち帰り、それが献上されて宮廷で嵯峨天皇が愛飲したなどの記録もあるようだが、唐代の喫茶法が列島に根づくことはなかったらしい

▼列島における茶祖(?)というべきは臨済の僧、栄西だと言い、宋で盛んだった喫茶法を伝えると共に、茶樹の種子を持ち帰った。今に至るも列島の茶樹のDNAは全て栄西の種子につながっているというから、驚きだ

▼それにしても、こうして千年近くも前に大陸から学んだ「喫茶法」を、固有の感性と美意識で磨き上げ、今や世界から日本文化の象徴とさえみなされる「茶の湯」の文化に昇華、深化させた歴史は、無条件で胸を張れる気がする

▼そしてまた、その「茶の湯」文化の中で墨跡が、そして書が特別な居場所を与えられたことは、もちろん書にそのような価値、資格があったればこそとは言え、逆にもし列島に「茶の湯」の文化が興らなかったら、列島における書の歴史も多少違ったものになっていたかも知れない――。東博の「茶の湯」展の会場で、しみじみ思ったことである。

(書道美術新聞 第1097号1面 2017年4月15日付)


投稿日時: 17年04月01日

 「文字文化」とは何か――。これから、相当悩むことになりそうだ

▼「国語」科の指導要領には従来から小学生用にも中学生用にも「言語文化」という概念が明示され、各学校段階・学年に応じてその具体的な学習目標や内容が例示されているので、どこの教科書や教師用の指導書などでも、それに沿って十分にこなれた共通性のある教材選びや解説を行っている。だが今回の新指導要領では、「言語文化」の1分野として全く新たに「文字文化」の概念が提起され、「身の回りの多様な表現を通して、文字文化の豊かさに触れ、効果的に文字を書くこと」などと示された

▼もちろん、指導要領の本則に例示がないのだから『解説書』で詳しく牴鮴皚瓩気譴襪里世蹐Α△箸六廚Δ、当然まずは「文字」とは?、「文化」とは?、そして「文字文化」とは?をスタートに、この36字にある「身の回り」、「多様さ」、「表現」、「豊かさ」、「効果的」のそれぞれについて、内容や範囲や度合い等々を掘り下げようとすると、なかなか一筋縄では…

▼と、実は今一番先頭を切って悩み始めているのが、小誌《書統》で新講座の連載を始めようとしている小子で、相変わらず夜も寝ずに昼中ぼんやりしながら、考え続けている。呵々!

(書道美術新聞 第1096号1面 2017年4月1日付)


投稿日時: 17年03月15日

 文科省が2月14日に公表した小・中学校の新しい学習書道要領(案)に対する「意見募集(パブ・コメ)」は、まさに本日締め切られた。あと2週間ほどで、正式に告示されるわけである

▼指導要領は法律なのか、何なのかという議論は昔からあるが、学校教育法の施行規則の規定を根拠に出されるものだから、公立・私立を問わず適用される狃猖ゝ瓩箸い辰討いい隼廚Δ、文科省の裁量範囲なのか、私立に対する強制力は、公立より弱いと言われる。実際、子供を通わせた某青山学院の小学校では、毛筆書写は五年生の時だけやっていた

▼それはともかく、関係者らの目下の関心事は、この5、6月にも文科省から出される『学習指導要領解説』で、小学校編の第3章第2節「指導内容の取扱いについては次の事項に配慮するものとする」の「書写」の項の、「第1・2学年の狹晴茲僚颪方や文字の形に注意しながら筆順に従って丁寧に書くこと瓩了愼海謀たっては、適切に運筆する能力の向上につながるよう、指導を工夫すること」という記述がどう解説されるかということ

▼多くの関係者は、ここで「軟筆」「水筆」など毛筆に近い筆記具の使用が奨励ないし、例示されるのではと期待しているのだが、さて――。

(書道美術新聞 第1095号1面 2017年3月15日付)


投稿日時: 17年03月01日

 文化庁の文化財部伝統文化課文化財国際協力室という部署から最近出された「報道発表」という文書が、関係者を大いに勢いづかせている

▼その文書には、こうあったのだ。「茶道や華道、書道、和装、盆栽などの生活文化にかかる案件については、これまで(無形文化遺産登録の)明確な対象としてこなかったが、条約の運用がなされていく中で『無形文化遺産』に関する定義の広がりも見受けられる。そのため今後は、文化財保護法上の文化財等に加えて、これらの案件についても、我が国の文化の中で共有され受け継がれてきた無形文化遺産として位置づけるための調査研究を行い、提案対象とすることを検討すべきである」

▼そう、目下書道界挙げて運動を推進している「日本の書道文化」のユネスコ登録には、実は「国内で保護措置が講じられている」「国内の無形文化遺産の目録に含まれている」などの条件が付けられており、狎験菠顕臭瓩痢崕馥察廚呂海譴鬚匹Εリアするかに、関係者らは知恵を絞ってきたのだった

▼で、これまでは文化財保護法ではないが、「文化芸術振興基本法」の対象ということを根拠にしようとしてきたのだが、文化庁が腰を上げてくれたので、そうしたモヤモヤが一気に晴れそうなのだ。

(書道美術新聞 第1094号1面 2017年3月1日付)


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