風信帖(974)

 11年12月15日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 書道界も当然ながら今年は、春以降、有形無形に大震災の爪痕を、ショックを引きずって過ごした1年だったといえるだろう。最近は漸く耳にしなくなったが、少なからぬ書人が「書く意欲が湧かない症候群」に悩まされた年でもあったのではなかろうか

▼本紙の年末回顧アンケートでも、多くの回答者が大震災の影響についてコメントを寄せてくださっているが、実際こういう未曽有の社会的危機、いわば極限状況に直面してみて、「書という芸術には一体どのような意味があり、どのような力があるのかとつくづく考える」という中村伸夫氏のコメントに共感をもつ方は多かろう

▼それで思い出すのだが、かつて青山杉雨先生と話していて先生が「今みたいな時代に、生きることの苦渋とか、日々悩んだり苦しんだりなしに生きれる人間が、どれほどいるんだろう」「でも書家は、あっけらかんと十年一日、李白の詩書いたり、百人一首書いて澄ましてるんだよな」と、自嘲気味につぶやかれたことがあった。今、先生が現役だったら、どんな犹慘甅瓩鮟个気譴討い燭海箸世蹐Δ箸靴澆犬濟廚

▼その意味では、今年の毎日展で永守蒼穹「直後/黒い塊」が大臣賞に決まったのは、偶然か必然かは確かめていないが、よかったと思う。

(書道美術新聞 第974号1面 2011年12月15日付)




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