風信帖(970)

 11年10月15日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 台湾・FTVの田再庭社長は、今年81歳。終戦時は中学3年だったから、「学徒兵」として動員された経験をもつ。「正直言いましてね、あの頃は私は、日本に対し余りいい感情はもっていませんでしたよ」と述懐する

▼「私くらいの年代まではね、日本語出来ますよ。日本語でものを考えますからね」とも。流暢という言葉もそぐわぬほどの完璧な日本語である。だから、「感謝のつどい」での挨拶の際、「あの日、NHKの映像で、津波に呑まれる家々や街を見まして…、これは大変なことだと…」、と言葉に詰まった社長を取材していた同テレビの記者が通訳に向かい、「うちの社長、なんで泣いてるんですか?」と怪訝な顔をしたのも無理からぬ話なのだ

▼青年時代は猛勉強して司法試験に合格し、検事に任官。その後の半生の華麗な経歴も“聞き物”だが、それはさておき、20年ほど前に報道規制が解除され民放が許可されるや、数万人の株主を募ってFTVを創立したという剛腕社長だから、今回も「日本を救おう」の号令一下、人気親日女優の白冰冰(ぱい・ぴんぴん)などを起用しての義援金キャンペーンは反響を呼び、一晩で数億円を集めたこともあるという。日本には、こういう心強い友人がいるのだ――。

(書道美術新聞 第970号1面 2011年10月15日付)




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