風信帖(963)

 11年06月15日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 中国の美術品市場の沸騰が、一向に収まりそうにない。その熱気ぶりは既に何度か報道してきているが、かつて日本の某館旧蔵で真偽問題が絡んで確か数千万円だかで台湾へ流出した黄庭堅が、大陸のオークションに掛けられたら簡単に50億円を超えて話題をさらったのは確か1年かそこら前の話だし、村上三島氏旧蔵の王鐸の長条幅が単品で5億円を超えたのも昨年暮れである

▼こういう状況については現地の市場関係者の間でも、「明らかにバブル」「いつガラが来てもおかしくない」とみな口を揃えるのだが、そんな空気を尻目に今春、最大手嘉徳オークションで、斉白石の作品が4億2000万元(現在の為替相場で53億円)を付けたという情報には正直腰を抜かしかけた。斉白石といえば、戦後も1957年まで活躍したバリバリの現代作家だからである

▼そこで少し調べてみたのだが、同作品は斉白石が、いわゆる国共内戦で台湾に移る前の中国国民党主席の地位にあった蒋介石の六十寿を祝って書いたという特別な意味をもつ作なのだとか。そして、今回これを手放したのは上海の収蔵家で、4年前に8000万元(10億円)で買ったものということも分かった。中国市場は、どこまで行くのだろう――。

(書道美術新聞 第963号1面 2011年6月15日付)




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