風信帖(1125)

 18年07月01日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 話題を呼んだ多摩美大での「はじまりの線刻画」展は、書学関係・書道関係者にとっても展示資料が「拓本」ということもあって、一見の価値ある展覧会だった

▼興味深いのは、最初このアイルランドの遺跡に残る超古代の線刻画を目にした大野忠男氏は当然牴莢箸量椨瓩如▲リシャ・ローマ美術の呪縛から自由な「もう1つの世界」を見出し、のめり込んだ。『かみ・ひと・かたち』や、『アイルランドの石の美術』などの遺著には、その想いが切々と綴られている

▼ただ、大野氏は当初、素朴にこのアイルランドで見つけた渦巻き文などの非写実、非具象の文様が北欧の至るところに残っているだろうと推測し、さらには日本の縄文中期に盛行した渦巻き文までも同列に論じる牘牡き文、北ユーラシア回廊畊汁曚箸任發いΔ戮壮大なロマンを描いていたようだ

▼だが現実には渦巻き文は、スカンジナビアではほとんど見つからなかった。が、調査はそこで劇的な展開を見せる。狃餡箸量椨瓩鮖つ協力者の斉藤華秀氏が、線刻画の一部に甲骨文の祖型ともいうべき図象を発見したからである。斉藤氏自身、「衝撃を受けた」と述懐するこの発見は、確かに今後の漢字の発祥研究分野にも、大きな刺激を与えるかもしれない。

(書道美術新聞 第1125号1面 2018年7月1日付)




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