風信帖(1118)

 18年03月15日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 最近、「文字文化」というものを考える機会が増え、結構楽しんでいる

▼文字でよく引き合いに出されるのが、ネット上でも「文字」「ソクラテス」でたちどころに出てくる有名な話だが、プラトンの対話編にある一節がある。文字を発明した位の低い神が「これこそ記憶と知恵の秘薬だ」と自慢すると、最高位の神が「文字はせいぜい、忘れていたことを思い出す手掛かりになるだけ」「文字が伝える知恵など、真実の知恵ではない」と答えたという例え話を、ソクラテスが言うくだりである

▼そこから、「文字を使うと、人間は記憶力が衰えてバカになる」というのが古代ギリシャ人の考え方だったという説になるわけである。実際、わが『古事記』の稗田阿礼も、メモが取れたら名を残すこともなかっただろう。そういえば、ソクラテスはただの1冊も本を残していないのだから、あながちプラトンの作り話とは言えないのかもしれない。

▼そうそう、大学時代にある教授から「せっせとノートを取ってるやつほど出来が悪い」「ノートなんか取らず、その場でしっかり覚えろ」と言われたことがある。一理あるかもしれない。が、だからと言って猜源無用論瓩鮓世うとしているわけではアリマセン! 念のため!

(書道美術新聞 第1118号1面 2017年3月15日付)




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