風信帖(1059)

 15年09月01日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 美術新聞社で刊行準備が大詰めを迎えている日本語版の鍾明善著『中国書法史』(全7巻)の最終打ち合わせのために先週、西安を訪ねたのだが、それを機に念願の漢中にまで足を延ばし、かの「石門ダム」と、「漢中博物館」の名高い「石門十三品陳列館」を見学して来た

▼この陳列館の列品については、『中国書法史』の第二回配本の中で紹介する計画なので詳しくは触れないが、唐詩に「蜀道の難きこと、青空を上るよりも難し」と謳われた、この漢中から全長実に250銑辰砲盖擇鵑性珸翔鮫瓩竜点であったダムの現場。そこで、当時の手掘りのトンネルや桟道を支えたおびただしい穴が絶壁に残る様を目の当たりにし、その構想のスケールに感銘を受けるとともに、如何に難工事で、どれほどの人びとが命を落としたことだろうとも考え、胸の塞がる思いもした

▼むろん、この難路が開通した漢代以降、道の開通に感動し感謝してその率直な言葉を絶壁やトンネルの内壁に刻んだのが「石門漢魏十三品」として残るわけである。が、それにしても、魏の曹操や蜀の諸葛孔明が率いた大軍の人馬もこの難路を重装備で進軍したのだと思うと、これまた歴史の重さに、軽々な言葉を口にするのが憚られる思いでもあった。

(書道美術新聞 第1059号1面 2015年9月1日付)




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