風信帖(1054)

 15年06月01日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 最近は、書道界が元気をなくす類の話はなるべく目立たない書き方をするようにしているが、このデータはやはり直視して共に考えねばという気がする

▼このほど発行された『日本武道館・50年史』の、同館主催「全日本書初め大展覧会」の過去50年間の「席書」出品者数の推移を示す数字を見て、言葉を失った。この「大展覧会」は、毎年年初にあの同館大ホールで子供たちが所狭しと用紙を広げて席書の励み、「出来ました」とみんなで観客席の父母に見せる図が恰好の風物詩として、お茶の間でもお馴染のものである

▼だが舞台裏では、あの応募者がさながら音を立てて減っており、ピークだった第21回から第30回の10年間は平均2万6、500人だったものが、20年後の第41回から昨年の第50回までの10年間の平均は6、200人と、実に4分の1になっているのだ。それでもあれほど賑やかな映像が見せられるのは、あの会場を埋めているのは約3、000人の子供たちだからである

▼つまり、20年前は抽選が8倍もの高率だったのが、今では2倍。2人に1人は晴れ舞台に立てるわけで、それ自体は別に悪いことではないし、同館には何の責任もないことだが、しかし書道の将来を考えると、サテ――。

(書道美術新聞 第1054号1面 2015年6月1日付)




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