風信帖(1039)

 14年10月15日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 『于右任全集』が完成した。収録作品2、600点は多いとも言えるし、少ないとも言えるが、ともかく没後50年にしてこうして一応の犒萃衄猫瓩隆行を見たことは、今後の于右任研究を大きく裨益するに違いない

▼書家の場合、作品がケタ違いに多いから、カタログレゾネを編むのは土台ムリと相場は決まっているが、とりわけ于右任はその波乱の生涯を映して、前半生の作品の伝存が極端に少なく、晩年は逆に極端に多いという状況から、編集委員会はさぞ苦労したことだろう

▼そういえば、今回西安展に出品されたものの中に、于右任が残した「礼記」と称する手控えがあった。それには台湾でのある年の作品揮毫が克明に記録されており、興味深い資料となっていた。その手控えから集計した結果を見ると、同年の1月は依頼者98人、作品は計468件。2月は依頼者も36人と少なく、作品も181件に留まっている

▼多かったのは11月で30日間フルに筆を執り、208人から頼まれた作品1、030件を揮毫。こうして、この年だけで実に1、218人に5、386件を揮毫している。ということは、台湾の15年間で依頼者に書き与えた作品は5万点を優に上回りそう。それも、全て無償だったそうである。

(書道美術新聞 第1039号1面 2014年10月15日付)




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