風信帖(997)

 12年12月15日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 今年の蘭亭筆会のベトナム展が、何とか無事開催に漕ぎつけた経緯は既にご報告した通りである

▼だがその準備過程で政府側から「ベトナムは漢字文化圏ではない」という衝撃的な通達とともに、美術館の使用承認を取り消されたという記事などが、もし同国に対する誤った認識を残すとしたら本意ではないので、いささか弁護しておこうと思う

▼ベトナムは、1000年の中国支配、100年の仏国支配、1年の日本支配、30年の米国支配を経て、漸く30年余り前に独立を果たしたばかりの若い、共産党一党支配の共産主義国。だから、必要とあらば文化芸術活動といえども政府の統制下におかれるのは、まあ致し方ない状況であろう。そして事態は、中国との領土紛争の深刻化という、いわば非常事態下での出来事だったのだ

▼実は同国政府は、10年ほど前に「各民族文学芸術協会」という官製の文化芸術の振興推進機関を設け、その傘下に例えばホーチミン市でも公認の「書法会」組織が2001年から始動。毎年しっかりと「漢字書」も含む「ベトナム書法」の普及と振興のため、展覧会や指導活動を地道に展開しているから、「ベトナムに書道はあるの?」というご質問には、自信をもって「イエス」なのである。

(書道美術新聞 第997号1面 2012年12月15日付)




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