風信帖(995)

 12年11月15日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 「ベトナムは漢字文化圏でない」というナゾかけめいた一片の通告で今年の第28回国際蘭亭筆会ホーチミン展の開催が突然暗礁に乗り上げた。まさに青天のへきれき、爛曄璽船潺鵑糧畄爿瓩任△

▼「漢字作品の展示会は認めない」という主旨と解されているこの通達が大きな矛盾を孕んでいるのは、例えば今回展にはホーチミン市書法会に所属する地元の書法家20名も出品を予定しており、しかも内10名は漢字作品、10名はベトナム文字による作品と決まっている一事をもってしても明々白々

▼そして今回展については、この4月に直接現地を訪問して政府機関である「美術協会」の会長氏や美術館の館長女史、また正式に認可を受けて活動している市書法会の会長氏らをそれぞれ表敬訪問して計画を説明、全面的な協力の約束を取り付け、館の使用契約も使用料の納付も済んでいるのだ

▼従って今回の事態は、明らかに4月以降の同国における状況の変化に起因しており、それは6月の同国国会における、中国との領有権争いに絡む海洋法の成立と、それ以降の対中国関係の悪化に関係があることは容易に想像がつく。これもやはり、「カントリーリスク」の一種と知るべきなのだろうが、頂けない話ではある。

(書道美術新聞 第995号1面 2012年11月15日付)




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