風信帖(992)

 12年10月01日 | カテゴリ: ≪風信帖≫

 「そう来ましたか?」、「でも、もう少し議論を煮詰めた方がいいのでは?」というのが、今年の全書研大会についての率直な感想である

▼まずは、大会主題に「書字文化の担い手を育む書写書道教育」とあり、「おっ」と思ったら、次の小学校テーマでも「書字文化に関心をもち…」、中学校でも「書字文化を大切にし…」とあって、「ひえ〜」! 高校はさすがに「書の文化を理解し…」とオーソドックスでちょっとホッとしたが、大学テーマがまた「書字文化の継承に…」で、考え込んでしまった

▼昨年は主題が「文字文化の扉を…」で、これしか「文化」の語は使われてなかったから今年がよけいに目立ったのだが、もちろん関係者の考えも分からなくはない。「文字文化では概念が漠然として、書くことを通して文字を習得させるという我々の持ち場、仕事が不分明だ。もっと誰にでも分かる言葉に代えよう」というのだろう

▼が、「書字文化」はやはり頂けない。字を書くことが文化でないとはいわないが、しかし「書字」はどこまでいっても「ハウツー」の世界。「文化」というにはあまりに底浅く、内容も希薄だと思う。そうそう、あの欧米人通有の画一化したアラビア数字の書き方、あれは確かにひとつの文化かもしれぬが――。

(書道美術新聞 第992号1面 2012年10月1日付)




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