代替会場確保、まだ4割

掲載日: 09年02月15日 | カテゴリ: 書道美術新聞【1面】

東京都美術館「検討中」半数超える
83団体
都美術館工事休館への対応

 書道界でも多くの団体が展覧会場に利用してきている東京都美術館が、施設・設備の老朽化対策のため大規模な改修工事を行うとして平成22、23の両年度にわたり全面休館する計画が、利用団体や関係業界の間に波紋を広げている。

 本年度現在、同館の借館団体は各分野合わせて259団体。
 うち書道関係は83団体となっているが、都内広しといえどもこれだけの団体が代替会場を確保するのは容易でなく、多くの団体は対応に苦慮しているといわれる。

 そこで本紙では、書道関係の全借館団体に聞き取りを行い、各展の来年以降の対応状況を調べてみた。(本紙四面に調査データ)
 現在の東京都美術館は昭和50年(1975)9月、当時既に築後半世紀が経過し老朽化が進んでいた旧館に代わる新館として、前川国男事務所の設計で野球場だった旧館隣接地に建設されたもので、新館としても早35年近くが経過しており、建物の駆体についてはまだ全く問題はないものの、内装や設備面での本格的な改修工事や、時代に合わせた設計変更等が急がれる状況という。


 都の発表によれば、今回の改修工事は総事業費が100億円にものぼる大規模なもので、工事は‖冤冉数を過ぎた設備の更新∩澗里縫罐縫弌璽汽襯妊競ぅ鵑粒鞠阿取り入れられていないための設計変更アクセス面や周辺環境、特に公園内から正門へのアプローチの改善じ募展用の展示室の空調・照明の改善や搬入搬出の円滑化ゴ覯菘古玄┝爾侶舛篥薫羚發硫善Ε譽好肇薀鵝Ε潺紂璽献▲爛轡腑奪彭の付帯施設の改善Ю瀏更新に当たっては省エネ・再エネ設備等を可能な限り導入して温暖化対策にも寄与、などの計画を総合的に進めるためには、部分使用などの要望には応えられないとしている。


 もっとも、この大規模改修計画自体は、すでに7、8年前から利用団体等には内示されながら、都の財政難のために予算措置が見送られてのびのびになってきた経緯があり、そしてその間に六本木に国立新美術館がオープンし日展や毎日書道展、読売書法展をはじめとする大規模展が同館に会場を確保したことなどもあって、計画発表当時に比べれば、この“会場問題”の深刻さの度合いも多少緩和されている面はある。


 とはいえ、一昨年の国立新美術館の開館後も従来のまま都美術館に残り、また新たに都美術館に“参入”した団体もあって、合わせて83もの書道関係の公募展・団体展が来年以降2年間にもわたり、同規模・同条件での展覧会開催がほとんど不可能な状況に追い込まれることの影響については、ほとんど未知数といっていいだろう。


 そこで、本紙がこのほど各団体に対応状況を聞いた結果は別項の通りだが、それによると現段階で代替会場が決定または内定しているのは83団体中37団体に留まり、全体の約4割強となっている。

 残りの5割強は開催の方向で検討中・調整中といった状況で、また既に両年度の完全休止や、22年度に限って休止を決めた団体、紙上展での代替方針を決めた団体等も出ており、現在「検討中」としている団体の中にも、時間切れ等で苦渋の決断を迫られるケースも出て来そうだ。


 また、対応策を決定済みの団体の多くにも、従来展に比し大幅な規模の縮小や開催時期の変更等に追い込まれたケースが少なくなく、各団体の運営にも一定の影響は避けられないものと考えられる。
 以下に、“悲鳴”ともいえる関係各団体の担当者の声を一部紹介する。

 ◇ ◇ ◇

≪各団体担当者の声≫

◆代替会場で開催の方向で検討してはいるが、なかなか適当な会場が見つからず、いいところは借館料が高くて手が出ず悩んでいる。
◆都美術館での開催はやはり一つのステータスだから、郊外などなら会場を確保できても、展覧会の格が下がりそうで悩ましい。
◆規模を維持し、なおかつ好条件の場所で開催しようとすると、どうしても会場費が莫大になる。そこまでする必要があるのかという声も、内部で出ている。
◆この際、「公募展」という展覧会形式自体を、再考する必要もあるかもしれないと思っている。
◆費用面では公共施設を使いたいが、抽選となるケースが多く、会期も定まらないのがつらい。
◆会場が確保できても、変更に伴って開催時期が例年と大きく変わった時に、会員たちの展覧会に対するイメージが変質してしまわないかと心配している。
◆会期が変わると、作品の制作時期も変わらざるを得ない。そうすると、発墨等、種々の面で作品に影響が出かねないので、開催時期をずらすことはしたくない。
◆確保した会場がとても小規模のため、作品寸法を小さくし、さらに2週間ほどの会期中に3日ずつ掛け替えることを考えている。
◆他団体の動向が気になるが、情報が少ない。
◆条件や立地のよい会場は、当然どこの団体も狙っていて争奪戦になっており、悩みの種だ。
◆適当な会場が見つからないので、この2年間は休止することに決めた。



(書道美術新聞 第909号1面 2009年2月15日付)



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