五島M「時代の美」展(1)、開幕

掲載日: 12年10月15日 | カテゴリ: トップ記事

古筆・写経名品一堂
リニューアル・オープン記念

 
開館50周年を機にした増改修工事のため一昨年秋から休館していた五島美術館がこのほど大方の工事を終え、10月20日にリニューアルオープンすることが本決まりとなった。

同館の今回の工事は、建物の外観や骨格は吉田五十八設計で知られる寝殿造の要素を現代建築に取り入れたプランで名高い50年前の姿をそのまま留めながら、耐震化や館内設備の更新、展示室の増設、パブリックスペースの拡充などを行ったもので、工事中に遺跡が見つかったことなどから工事が遅れている庭園内の茶室関係を除き、全ての美術館機能を再開する。

「新装開館記念展」は、来年3月までの半年にわたり四つのシリーズ展で構成される「時代の美‐五島美術館・大東急記念文庫の精華」展で、同館のコレクション優品を概ね時代順に披露する「名品展」となり、20日からはまず天平写経や平安古筆名品を主な内容とする「第一部奈良・平安編」を11月18日までの会期で開く。(本紙2、4面に関連記事・写真)
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 開幕する「時代の美」展の「奈良・平安編」では、天平古写経、平安古筆を中心に、国宝3件、重文31件を含む約70件が展示される(10月20日〜11月4日/11月6日〜11月18日で展示替え実施)。


 主な展示品の中でも特に見逃せないのは、まず国宝の「源氏物語絵巻」鈴虫一、同二、夕霧、御法(いずれも後期のみ展示)は、平安時代末期に制作されたとされる現存最古の絵巻。

古写経の重文「紫紙金字華厳経」巻第六十四は謹厳な書体で書かれた天平装飾経の名品。ほぼ同時代の「紺紙銀字華厳経」巻第五十(重美)は東大寺二月堂消失の際に火を被ったため「二月堂焼経」と呼ばれる。

また平安時代後期の「観普賢経冊子」(重文)は粘葉装冊子に風俗画を描きその上に写経した供養経。鎌倉時代の「白描絵料紙理趣経」(国宝、後期のみ展示)は、未完成の絵巻の上に後白河法皇を供養するために写経したもので、人物にまだ目が描かれていないことから「目無経」と呼ばれる。


 古筆では、古筆の最高峰とされる「高野切」第1種が巻一の巻頭で部分、『古今和歌集』巻第一「春歌上」を書写したものが見られる。

同じく名高い「寸松庵色紙」は『古今和歌集』巻第四「秋歌上」を書写した部分で、瓜の下絵が鮮やかに残る(ともに重文)。

「石山切(伊勢集)」は「本願寺本三十六人家集」の断簡で、華麗な料紙と散らし書きが見事に調和した平安古筆の記念碑的な名品。


 「第一部」のその他の主な出品は、以下の通り。


▽「過去現在絵因果経断簡(益田家本)」、「沙門地獄草紙断簡(益田家本甲巻)」(重文)、「法華経(藤南家経)」巻第五(重文)、「中阿含経」巻第三十四(元興寺経・重文)、「称徳天皇勅願一切経」十誦律第三誦・巻第十七(重文)、「紺紙金銀交書法華経」巻第二(重文)、藤原道長「金峯山埋経」(重文、後期展示)、「久能寺経」法師功徳本・巻第十九(重文、後期展示)、平忠盛「紺紙金字阿弥陀経」(重文)、大江家国「史記」孝景本紀第十一(国宝、前期展示)、大手鑑「筆陣毫戦」(重文)、「栂尾切」(重美)、「升色紙」、「関戸本古今集切」、「伊予切」、「太田切」、「本阿弥切」、「権大納言家歌合・中宮権大夫家歌合・源大納言家歌合」(重文、前期展示)、「東大寺切(三宝絵詞)」ほか。


 また、「第二部」以降の会期と主な内容は以下の通り。


◆「第二部/鎌倉・室町編」(11月23日〜12月24日)=無学祖元墨跡「上堂語」(重文)、「白氏文集(金沢文庫本)」(重文)、「平家物語(延慶本)」(重文)、霊彩「寒山図」(重文)ほか
◆「第三部/桃山・江戸編」(2013年1月5日〜2月17日)=豊臣秀吉消息「おちゃちゃ宛」(重美)、向井去来「去来抄稿本」(重文)、本阿弥光悦「鹿下絵和歌巻断簡」、「古伊賀水指・破袋」(重文)ほか
◆「第四部/中国・朝鮮編」(2013年2月23日〜3月31日)=古林清茂墨跡「餞別偈」(国宝)、偃谿黄聞賛「六祖挟担図」(国宝)、高麗版貞元新訳「華厳経疏」巻第十(重文)、「五彩透彫水注」(重文)ほか


 問い合わせ等は、TEL03−3703−0662同館へ。



(書道美術新聞 第993号1面 2012年10月15日付)



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