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掲載日: 12年05月15日 | カテゴリ: トップ記事

「交じり書」大幅後退
鑑賞教材
漢字・仮名でも“書家の作品”


 明年度から学年進行で実施される高校用の新「学習指導要領」に準拠して新編集され、文科省検定に合格した4社4種の「書道機弑飢塀颪、今夏の犧梁鮠戦瓩魴个突菁4月からの高校1年生の「書道」の授業で使用される運びとなったニュースは既報(4月15日付)の通り。
 
 しかし前回記事では、一般の注目度も高い各社版の「漢字仮名交じりの書」の鑑賞教材にスポットを当てたので、今回はいわゆる「3分野」のバランスや、他の2分野、「漢字」と「仮名」の鑑賞教材の動向等を点検し、合わせて各社版教科書を読んだ専門家の「覆面座談会」をお届けする。(本紙5〜7面に関連記事・グラフ)
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 前回記事では、各社版新教科書の「漢字仮名交じりの書」分野の鑑賞教材に、従来定番ともなってきた高村光太郎作品の掲載例が大きく後退し、その一方で近・現代の狃餡箸虜酩吻瓩積極的に取り上げられている状況を明るいニュースとして大きく紹介したので、記事中に簡単に触れた「『漢字仮名交じりの書』の全体に占めるウエートは増ページにも拘わらず配当ページ自体が減っており、比率的には4〜5割方も低下している」という指摘は読み過ごした方も多かったようだ。
 
 
 そこで今回は続報としてこの問題を中心に、さらに「漢字」と「仮名」の鑑賞教材で狃餡箸虜酩吻瓩どのように取り上げられているかを検証していくことにしたい。
 
 
 まず、左のグラフがその各社版における3分野の配当頁数を比率で表したものである(「その他」は、「暮らしのなかの書」など)。
 
 
 これでも分かる通り、各社版教科書の総ページ数は平均で109頁から130頁へと21頁も増えており、最も多いのは光村の26頁増、最も少ない教出でも14頁増となっているが、そうした流れの中で「漢字仮名交じりの書」は、光村が19頁から13頁へ、東書が25頁から16頁へ、教出が22頁から15頁へ、教図が22頁から17頁へと、軒並み頁数を減らしている結果、当然指導内容の面でも、それに見合う縮減を余儀なくされている。
 
 
 この背景には新しい学習指導要領が、現行の平成11年版の指導要領で「漢字仮名交じりの書」を単独で必修と位置づけ、「漢字の書」と「仮名の書」はいずれかを選択して指導するように指示している点を改め、3分野を共に必修化したことがあるだろうことは容易に察せられよう。
 
 だが、それにしてもこの頁配当の偏りはどう見ても極端過ぎ、少なくとも教科書の上からは今後の「書道機廚任蓮◆峇岨仮名交じりの書」の指導が大きく後退するのは避けられないと見るほかないであろう。
 
 
 もっとも、「書道機廚牢霑鍛奮として「漢字」と「仮名」を重点的に扱い、来年、再来年とお目見えしてくる「書道供廖◆崕馥鮫掘廚凌袈飢塀颪如峇岨仮名交じりの書」が大きなウエートを与えられる可能性もなくはないが、今回美術新聞社が各社の教科書編集部にそれぞれの編集のポイントを問い合わせた結果のコメント集(4月15日付6‐7面参照)には、どこにもそのような言及はない。
 
 こうした状況をどう見るかは意見の分かれるところだろうが、しかしこうも各社の足並みが揃っているところをみると、教育現場の空気を反映した動きとみることもできそうだ。
 
 
 それでは次に、「漢字の書」と「仮名の書」の鑑賞教材の掲載状況を見ていくことにするが、この面では各社がそれぞれに独自の特色ある取り組みをしており、注目される。
 
 
 まず、新版の教科書で最も積極的に近・現代の書家の作品を取り上げているのは光村で、「漢字」では旧版で会津八一、比田井天来、青山杉雨の3作家だったところを、比田井天来、宮島詠士、上田桑鳩、赤羽雲庭、西川寧、上条信山、松井如流と倍以上の7作家に増やしており、「仮名」でも旧版で大田垣蓮月、日比野五鳳、熊谷恒子の3作家だったのを、安東聖空、日比野五鳳、西谷卯木、森田竹華、深山龍洞の5作家に増やしている。
 
 小・中学校用の「書写」教科書では常にトップシェアを握りながら、高校書道では教出、東書に大きく水を空けられている同社のこうした独自性のある取り組みは、大いに期待されるところだ。
 
 
 この光村の挑戦に対して、完全に現状維持に徹しているのが教出で、「漢字」は旧版も新版も三輪田米山、会津八一の2作家、「仮名」も深山龍洞、田中塊堂、安東聖空の3作家で、掲載作品も全く変えていない。
 
 
 これに対して、むしろ後退を見せているのが教図と東書である。
 
 教図は「漢字」が副島蒼海、巌谷一六、赤羽雲庭、松本芳翠、手島右卿、松井如流の6作家だった旧版から、赤羽雲庭、松本芳翠、手島右卿、西川寧の4作家の新版へと、「仮名」も日比野五鳳、鈴木翠軒、田中塊堂、安東聖空、森田竹華の5作家の旧版から、日比野五鳳、鈴木翠軒、田中塊堂、中野越南の4作家の新版へと、いずれもマイナスとなっている。
 
 
 東書は従来から編集執筆に関わった書家の作例を載せる編集方針を採っているが、やはり旧版の「漢字」で栗原蘆水、樽本樹邨、山中翠谷、仲川恭司、劉蒼居、宮負丁香、金子卓義、吉川蕉仙の8作家を載せていたのに対し、栗原蘆水、仲川恭司、真神巍堂、田中東竹の4作家へ、「仮名」でも土橋靖子、慶徳紀子、中室水穂、畑林畊陽、黒田賢一、横山煌平の6作家から、土橋靖子、慶徳紀子、村上俄山、吉川美恵子、小林章郎の5作家へと、それぞれ掲載数を減らしている。
 
 
 やはり、「漢字の書」、「仮名の書」は、「漢字仮名交じりの書」とは完全に趣を異にし、背後に厳然たる古典・古筆の存在があるところから、各社の対応がこのように分かれるのは、むしろ自然な姿ともいえるだろう。
 
 
 なお、ここで「近・現代作家」としてカウントしたのは、明治以降に物故した書家と現存の書家で、従って明治8年没の大田垣蓮月は加え、良寛や一休宗純は除外している。



(書道美術新聞 第984号1面 2012年5月15日付)



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