[ 大震災 ] 書道界にも大きな爪跡

掲載日: 11年03月15日 | カテゴリ: 書道美術新聞【1面】

大津波で「硯の町」雄勝町“消滅”
書道展など中止相次ぐ


 3月11日午後発生し、東北地方を中心に未曾有の激甚災害をもたらした東日本大震災は、まだ被害の全体像も不明のままだが、既に犠牲者は1万人を超えると伝えられ、避難所生活を余儀なくされている方々も50万人規模という大惨事となっている。

 それだけに書道界にとっても人的被害はきっと小さくないものと推察されるが、新聞社からの取材電話はまだほとんどつながらない状況で、実態の把握はほとんど出来ていない。

 しかしそうした中でも、一部の書道団体はいち早く行事の縮小や中止を打ち出すなどしており、またわが国屈指の硯の産地として知られる石巻市の雄勝町が津波により町全体が消えたというニュースは、筆墨業界にも衝撃をもって受け止められている。
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書道系大・入試にも影

 雄勝硯は室町時代からの歴史を有するとされる伝統産業で、現在でも20社近い専門業者が組合を結成して町の中心部の伝統産業会館を拠点に生産販売活動に従事していたと伝えられるが、地震後連絡を試みた業界関係者によると、いまのところ無事が確認出来たのは1軒のみで、同会館も跡形もない状態という。このため、雄勝の硯産業が今後も存続できるか、懸念する声も上がり始めている。

 
 美術新聞社が15日現在で把握している書道関係各界の対応の一部を紹介してみると、概ね次のようになっている。
▽奎星会(大楽華雪会長)=11日午後、赤坂プリンスホテルで行っていた第60回記念展(12日まで、上野の森美術館など)の授賞式途中で被災。当日のその後の講演会、パーティー等は急遽中止し、簡単な食事会に切り換えた。記念パーティーはこのまま取り止め、夏の毎日展併催の「宇野雪村展」の開催準備に全力を注ぐ方針という。

▽「かながわ書道まつり」(荒井青荘実行委員長)=18日から横浜ランドマークプラザで開催予定だった第6回展は中止する。パーティーも中止。

▽晨風会(河野隆代表)=18日から横浜ゴールデンギャラリーで開催予定の第15回展を中止する。

▽栃木県青年書作家協会=18日から宇都宮の栃木県総合文化センターで開催予定の第13回会員展を中止する。

▽淡水会(赤井清美会長)=19日から都立産業貿易センター台東館で予定している第24四回展は開催するが、パーティーは中止する。

▽北陸書道院・東京北辰書道会(青柳志郎理事長)=21日から東京銀座画廊美術館で開催予定の選抜展を中止する。

▽「埼玉書道30人展」=23日から埼玉会館で開催予定の第36回展は、日程変更などはあるとしても一応開催予定。パーティーは中止する。

▽日本習字教育財団(甲地史昌理事長)=21日、仙台国際センターで開催予定の「原田観峰生誕100年記念展」を中止する。

▽書道芸術院(辻元大雲理事長)=4月1日から仙台のせんだいメディアテークで開催予定の第64回書道芸術院東日本展は、作品表装依頼先の倉庫が流出して作品が被害を受けたため、中止。併催の第63回全国学生展は今夏に会場を東京に移して開催予定。

▽書人社(梅原清山主幹)=4月7日から東京セントラル美術館で開催予定の第23回選抜展は中止。

▽槙社文会(梅原清山会長)=5月17日から池袋のサンシャインシティ文化会館で開催予定の第18回展は中止。

▽猗園文会(牛窪梧十事務局長)=5月24日から東京銀座画廊美術館で開催予定の第46回猗園書展は中止。

 また、東京都内の美術館・博物館等でも、上野の東京国立博物館が臨時休館中(当面18日まで)なのをはじめ、六本木のサントリー美術館は19日オープン予定の企画展の開催を延期し、毎年の人気企画「三井家のおひなさま」展を開催中の日本橋の三井記念美術館は当面22日までの臨時休館を決め、丸の内の出光美術館は21日まで開催予定だった「琳派芸術」展を打ち切って臨時休館等々、都心の各館もほとんどが臨時休館、観覧中止等の措置に踏み切っている。また、北関東・東北各県でも、直接被害を受けた館はもとより、それ以外でも茨城県古河市の篆刻美術館など「当面休館」としているケースも多くなっている。

 こうした情況下で、このほど開幕した台東区書道博物館と東京国立博物館の連携企画「拓本とその流転」展に関連して19日に東博で開催予定だった林業強・香港中文大学教授の講演会(書学書道史学会後援)も中止が決まった。

 一方、大震災は大学入試にも大きな影を落としており、たとえば「国立書道系大学」の雄、筑波大学では今月実施予定だった後期日程の試験が実施不可能になったとして、志願者のセンター試験の成績や調査書による書類選考に切り換える方針を発表したのをはじめ、岩手大学や静岡大学などでも、同じくセンター試験成績などで判定することとしているほか、試験は予定通り実施するが、地震の影響で受験できなかった志願者には「追試験を実施」したり、「相談に応じる」としているところも見受けられる。



【美術新聞社から】本紙では大震災関係のニュースを次号以降続報の予定です。書道界・関係各界の関連情報をぜひお寄せ下さい。情報は、筍娃魁檻械苅僑押檻毅横毅院■罍瓧03−3464ー8521へお願いします。



(書道美術新聞 第957号1面 2011年3月15日付)



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