第42回日展五科(書)開幕

掲載日: 10年11月01日 | カテゴリ: 書道美術新聞【1面】

テープカット風景「文科大臣賞」に星氏
「会員賞」江口氏
五科搬入、今年も1万点超


 第42回日展が10月29日、東京・六本木の国立新美術館で開幕した(12月5日まで)。
 
 今年の同展五科(書)の搬入点数は1万419点(前年比7点減)とほぼ前年並みとなり、これに対する入選数も前年比同数の974点で、入選率は9・34%と昨年に続き9%台を維持した。
 
 これらの入選作品に対する審査の結果、別項の10作家が特選に決まったほか、役員・会員作家を対象とする特別賞選考では、評議員対象の最高賞、「文部科学大臣賞」に漢字の星弘道(66)、会員対象の「会員賞」には同じく漢字の江口大象(75)がそれぞれ決まった。
 
 ◇ ◇ ◇星弘道氏江口大象氏

 今年の日展は例年通り、国立新美術館の公募展示室全室を使用し、一階フロアに第一科(日本画)と二科(洋画)の一部、二階フロアに日本画と洋画の一部と三科(彫刻)、四科(工芸美術)が、三階フロアに五科(書)がそれぞれ展示されている。
 
 
 今回展の五科の搬入点数は、漢字3、845点(前年比81点減)、かな3、962点(同82点増)、調和体1、934点(同14点増)、篆刻678点(同22点減)で、総数としては会場を東京都美術館から同館に移して以降の4年間連続で一万点超の搬入規模を保った。
 
 部門別にみると、今年は昨年不振だったかなと調和体部門が持ち直し、4年連続で増加していた篆刻部門が微減となったほか、漢字部門は2%強の減少で2年連続の不振となった。
 
 
 今年の五科の入落を決める鑑別と、特選作品を選ぶ審査は10月8日から13日まで、今年も東京・池袋のサンシャインシティ・ワールドインポートマートで井茂圭洞審査主任をはじめとする17名の当番審査員によって行われた。
 
 
 鑑別では、まず調和体部門が全審査員によって行われ、次いで漢字、かな、篆刻の各部門については担当審査員がそれぞれの部門ごとに行う例年通りの方法で、入選作品が決まった。
 
 
 各部門別の入選数は、漢字が469点(前年比3点増)、かなが325点(同1点減)、調和体が125点(同2点減)、篆刻が55点(同数)の計974点となり、入選率はそれぞれ漢字が12・19%、かなが8・20%、調和体が6・46%、篆刻が8・11%で、全体として9・34%(前年比同)。
 
 傾向としては、搬入が増えたものの、入選数が減ったかなと調和体部門で低下し、その一方で漢字部門は12%台に乗る対照的な結果となっている。
 
 またこの入選数のうち、今回展で初めて入選を果たしたのは192点(同8点増)で、初入選の最高齢は84歳、最年少は22歳、平均年齢は57・4歳となり、前年比では1・0歳高くなっている。
 
 
 授賞面では、今年の文科大臣賞に輝いた星弘道「小学之一文」は、「王羲之誕生以前の草創期の草書体をもとに、余白の美しさが際立った快作。
 
 とりわけ文字の内部が明るく、知・情のバランスのとれた新鮮な空気をかもし出している」として、また会員賞に決まった江口大象「高青邱詩」は、「本格にせまる書境の高い快作。
 
 宋代あたりに視座を据えて、確かな造型、線の練度、筆の活躍に加えて、悠揚迫らぬ運筆の呼吸がすばらしい」として受賞した。
 
 
 特選作品を選ぶ審査は10月13日に行われ、例年通り10名が決まった。
 
 受賞者のうち、伊藤一翔、河西樸堂、田中徹夫、山口耕雲、山本大悦の5名が二度目の受賞で、今回初めて特選を受賞したのは、石坂雅彦、木村通子、沢田虚遊、竹内勢雲、野田杏苑の5名。
 
 
 受賞者の部門別は、漢字が5名、かな3名、調和体1名、篆刻1名で、例年通りの内訳となっている。
 
 
 会場には、これらの入選・入賞作品に役員、会員、無鑑査・出品委嘱作家らの作品を加えた計1、120点(昨年比3点増)が陳列されている(物故作家を含む)。
 
 
 また、今年の五科の展示室は例年通り同館三階の24室となっているが、昨年と同じく展示ケースを多く設置(巻子、帖、篆刻合わせて計71ケース)するなどして開帳面積を広げ、壁面も展示数を確保し、しかも例年よりも作品間にゆとりを持たせるなど、展示方法に工夫がなされている。
 
 なお、今年は漢字の栗原蘆水、かなの桑田三舟、林春月、調和体の吉田成堂が遺作展示となっている。



(書道美術新聞 第948号1面 2010年11月1日付)



kayahara.com : 萱原書房・美術新聞社のサイトにて更に多くのニュース記事をよむことができます
http://kayahara.com

このニュース記事が掲載されているURL:
http://kayahara.com/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=174