近現代書法家も急進

掲載日: 10年06月15日 | カテゴリ: 書道美術新聞【1面】

王鐸3億、瑞図2億
「北京匡時」オークション
1千万越える現代書人も

 その猜騰瓩注目されている中国の美術品市場でも、特に書作品の扱いに強みをもって急成長中の北京匡時(カウンシル)拍売の春のオークションが6月4日から6日まで、北京国際飯店・大会議場で開かれた。
 
 今回も、「古代書法」「近現代書画」から「古代絵画」「清代宮廷芸術品」、「瓷玉工芸品」などまで、計12部門に出品された1,500点近い美術品に白熱した競り合いが展開され、落札率は約8割、出来高総額は前回(昨年12月)より五割多い、日本円にして140憶円に達したという。
 
 バブル崩壊懸念も伝えられる中国経済だが、どこ吹く風の活況ぶりである。
 ◇ ◇ ◇

 今回も「古代書法」部門では、乾隆帝の「行書手巻」に8億円、王鐸の「行書詩巻」にも3憶円を大きく超える値がつき、張瑞図の「草書詩評巻」も2億円など話題性に富む落札結果が発表されているが、こうした古書蹟が値を飛ばすのは、ある意味で当然といえば当然。

 そこで今回は、注目すべき動きとして、つい数年前まで存命だった人の作品にも1千万円を超える値がつくなど、近・現代の書法家の作品にも急速に市場価値が認められてきつつある状況について、レポートしよう。


 左に掲げた別表は、今回のオークションで「近現代書画」部門に出品された700点近い作品の中から、目に付いた作者・作品を60点ほど拾い出してみたもので、これである程度の傾向性は見て頂けると思う。


 上からみていくと、まず目につくのが孫文の行書横額「楽趣」。

 200万元を超える値がついたことが分かる。

 日本円で3,000万円近いわけで、昭和四年に『鴨江日報』という日本語の現地紙に大きく図版が載っているその紙面も付けられているとはいえ、孫文の作品としては新記録ではなかろうか。

 その下の「博愛」は一桁下がるが、それでも22万元である。


 次に、郭沫若の2作品がいずれも100万元を超えているのも目を引く。

 これはオークション前の落札予想価格(エスティメート)が50〜60万元だったものだから、2倍から3倍で落札されたわけで、人気が出てきつつあるということだろうか。


 于右任や斉白石も、100万元超となっているが、このうち于右任の作は「草書正気歌」の八幅屏風といういわば代表作なので、エスティメートも100〜120万元のものなのだが、斉白石の作は天地72造両軸で、エスティメートも40〜45万元だから、こちらはかなりの大化けである。


 注目すべきは、5年前に亡くなった元中国書法家協会主席の啓功「行書論書」(1992)が84万元を付けていることだろう。

 日本円で1,200万円である。

 ただ、エスティメートも60〜70万元なので、これは作者としては数少ない大作であることも手伝っているようだ。


 なお、今回は呉昌碩に目立った動きはみられなかった。

 作品が多く、作品に問題もいろいろとある作家だから、よほど話題性のあるものでも出なければ、値が飛ぶようなことはないのかもしれない。

 今回のものでは、「石鼓文四屏」に68万元がついていたが、表のように4万元のものもあるという具合である。



(書道美術新聞 第940号1面 2010年6月15日付)



kayahara.com : 萱原書房・美術新聞社のサイトにて更に多くのニュース記事をよむことができます
http://kayahara.com

このニュース記事が掲載されているURL:
http://kayahara.com/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=154