高校国語に「小・中書写」“延伸”へ

掲載日: 16年09月15日 | カテゴリ: トップ記事

第57回 全書研大会ひらく
「指導要領」次期改訂へ
中教審・作業部会が“方針”
総会風景

 全日本書写書道教育研究会(全書研=長野秀章理事長)の第57回全国大会(埼玉)が8月26日、埼玉・越谷市の文教大学越谷キャンパスを会場に開催された。

 同会の埼玉での大会開催は、7年ぶり。全国の小学校から大学までの全校種・段階を網羅して書写・書道教育並びに教員養成の各現場関係者が一堂に会する書写・書道教育界最大の教研組織である同会の今年の大会では、間近に迫った次期学習指導要領改訂を見据え、随所に「改定前夜」のキーワードが飛び交う緊張感の中、全国から約240名が参加して例年以上の熱のこもった発表や報告、協議を繰り広げた。(本紙2、4面に関連記事)
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シンポで、委員「報告」
“改訂前夜”、熱こもる発表・協議


 今年の大会は、「書字文化」の概念を5年連続でキーワードに据え、メーンテーマは昨年大会と同じく「書字文化を育む書写書道教育」としたが、例年のように各校種別に会場を分けて、同時進行で行う分科会方式を避け、各校種の全参加者が聴講できるようにと、「研究協議会」と称して同一会場で特別研究委員会の小・中高・大学の各部会から3件の報告を行う新機軸が導入された。また今大会では、開催日が学校の夏休み期間中となったことから、例年並みの公開授業の実施は児童生徒の負担が大きいとして見送られた。
 
 
 また、次期改訂をにらんで、一昨年から行っている「幼稚園」側に対して「言葉」指導の充実強化に協力を求める要請と、昨年から取り入れた「小学校第1学年から、硬筆による書写の能力の基礎を養うために毛筆書写の指導を導入」をめざす、毛筆書写指導の低学年化へ向けた提言を盛り込んだ「大会要望書」が、昨年同様採択された。
 
 
 大会の当日の日程としては、まず午前9時から副理事長会・常任理事会が開かれ、総会提出の各報告などの議案を準備するとともに、役員補充や次期大会開催地、大会要望書などについても最終調整を行った上、10時から開会式・総会が行われた。総会では、所定の各報告・計画などの議案がいずれも原案通り可決・承認され、大会要望書についても決定をみた。
 
 
 次いで11時からは研究協議会に移り、小学校部会報告、大学部会報告が行われた。昼食休憩後の13時30分からは、引き続き中学校・高等学校部会報告が行われた。
 
 
 続く14時30分からは「これからの書写書道教育−学習指導要領改訂をにらんで」と題するシンポジウムに移り、土上智子・江戸川区立大杉第2小校長が司会、宮沢正明・山梨大教授、長野秀章・東京学芸大名誉教授、新井和徳・川口青陵高校長、小原茂・所沢市立小手指中教頭、尾形成子・越谷市立蒲生南小教諭らが提題した。
 
 
 同シンポでは冒頭にまず、中教審教育課程部会・国語ワーキンググループに委員として参加した宮沢氏から「高等学校国語科への『書写』単元の延伸」、また芸術ワーキンググループに参加した長野氏からは「現代人として求められる育成すべき資質・能力」について報告と解説があり、引き続き現場教員らの参加者による、活発な意見交換が繰り広げられた。
 
 
 この中でとりわけ注目されたのは、宮沢氏の報告の中で、高校国語科に小・中学校からの国語科書写を牘篆瓩垢襪箸い次期学習指導要領改訂へ向けた中教審による新構想が、専門家の論議の「まとめ」という形で明らかになったこと。この構想が具体化すれば書道界にとっては、中学校書写の活性化にもつながり、半世紀前の小学校書写における「毛筆必修化」にも匹敵する書写書道教育の一大改革となる可能性も考えられ、今後の「改訂」へ向けた動きには片時も目が離せなくなったと言えるだろう。
 
 
 同シンポの終了後、大会は加藤泰弘・文科省教科調査官による講評が行われ、閉会式を経て大会は閉幕した。来年度の大会は、静岡・浜松を開催地に29年8月9日、「全国大会(静岡)」として開催の予定となっている。

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 今大会で行われた各部会報告は、以下の通り。

【特別研究委員会報告】
<小学校部会>
▽「小学校低学年毛筆(軟筆)導入研究授業報告」(鈴木佳子、高橋ちあき)

<中学校・高校部会>
▽「中学校国語科書写の学習指導における生徒・指導者の意識および実態調査報告」(加藤祐司、長野秀章、宮沢正明、小松昌之、豊口和士、荻田哲男、備中隆文、斎藤健一、岡野屋宏一、熊坂尚史)

<大学部会>
▽「小学校教員免許に対応する書写の授業実施状況調査・中間報告」(加藤祐司、長野秀章、宮沢正明、広瀬裕之、加藤泰弘、樋口咲子、青山浩之、斎木久美、杉山勇人、豊口和士、津村幸恵、永由徳夫、松本貴子)
※中教審の公表資料から



(書道美術新聞 第1083号1面 2016年9月15日付)



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