「井茂圭洞の書」展、9日開幕

掲載日: 16年04月01日 | カテゴリ: トップ記事

代表作で“受贈記念展”
5・8まで 神戸市立博、60件寄贈受け
井茂氏
 日本芸術院会員で一東書道会を率いるかな書壇の最高指導者の一人、井茂圭洞(いしげ・けいどう/本名=雅吉)の、代表作を含む旧作から近作までの60件62点が昨年、神戸市に寄贈されたことを記念する「受贈記念展‐井茂圭洞の書」が4月9日、神戸市中央区の神戸市立博物館で開幕する(5月8日まで)。
 
 今回の寄贈作品全60件の内訳は、70代の比較的近作が21件と3割強を占め、また日展出品作が33件と5割強を占めるなど、作者の代表作を網羅した内容となっているという。
 ◇ ◇ ◇「富士山」(S54・日展特選受賞作)
「清水」(S61)「無常」(H5・日展会員賞受賞作)


 作者の回顧展としては、昨年6月に韓国芸術院会員・趙守鎬との日・韓芸術院会員による初の交流展として話題を呼んだ「井茂圭洞・趙守鎬2人展」(大阪韓国文化院・ミリネギャラリー)が記憶に新しいが、同2人展出品の約20点も今回神戸市に寄贈された60件のうちから選ばれたものであった。ただ、2人展は会場壁面の制約もあって主に小品中心の構成だったことから、今回展とは作品はほとんど重複しないという。

 今回展は、昭和36年の日展初入選作「若山牧水の和歌一首」から平成25年の同じく日展出品作「秀圈廚泙如∈郤圓裡横安紊ら70代までの代表作14点によるもので、上記の2点のほか「酒」、「梅」、「富士山」、「同」、「月」、「春」、「清水」、「残雪」、「無常」、「大和心」、「神酒」、「吉野の桜」など。このうちには、2回の日展特選受賞作や日展会員賞受賞作なども含まれており、作者の作風の変遷をほぼ完全に辿ることのできる内容となりそう。

 作者は昭和11年神戸生まれで、医師を志して県立兵庫高校に入学したが、字の上達を目指して入部した書道部で先師・深山龍洞に出会い、改めて書の道を志したという経歴をもつ。
 その後、当時龍洞の一番弟子だった難波祥洞の指導を受け、京都学芸大(現京都教育大)美術科書道に進学して、龍洞に正式に入門。36年に同大を卒業後は9年間にわたり女学校に奉職するが、44年の日展落選を機に書業に専念する決意を固めた。

 52年からは京都教育大に勤務し(現名誉教授)、平成3年には龍洞創設の一東書道会会長に就任、現在に至っている。
 また、平成25年に行われた自身の芸術院会員就任祝賀会で、日本の書道文化のユネスコ無形文化遺産への登録を提言したことがきっかけとなって現在、書壇を挙げての運動が始まっており、昨年発足した「日本書道ユネスコ登録推進協議会」では副会長として、登録の実現に情熱を傾けている。

 作家経歴としては、昭和36年日展で初入選を果たし、47年の第25回毎日展で準大賞を受賞。52年、54年日展で特選。59年日展で新審査員に就任(以後8回)、翌年日展会員に推挙。平成5年日展で会員賞、13年日展で総理大臣賞を受賞し、15年に日本芸術院賞を受賞、24年に日本芸術院会員に就任。
 この間、平成13年から現在まで、合わせて16回にわたり現代書道20人展に出品している。

 同展に関する問い合わせ等は、筍娃沓検檻械坑院檻娃娃械気凌生融堽博物館へ。



(書道美術新聞 第1073号1面 2016年4月1日付)



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