韓国で「書芸振興法」案

掲載日: 15年10月01日 | カテゴリ: トップ記事

国会で審議開始へ
「文化芸術振興法」の不備補う


 お隣の韓国でこのほど、「書芸振興に関する法律案」が国会に発議され、今年も9月1日から始まった今期の定例会(通常国会=会期100日)で近く審議が始まる見通しという。
 
 この件についての、ソウルの消息筋の話では、同法律案は発議代表者が野党新政治民主連合の崔載千議員である関係もあって、今国会での成立は必ずしも見通せていないということだが、しかし特に現地の書芸界では、国会審議の行方に熱い視線を向け、成り行きを見守っているという。(本紙6・7面に日韓の同じ目的の法律条文を資料掲載)
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野党議員発言
書芸界、熱視線


 韓国は、日本の「文化芸術振興基本法」(2001年施行)より30年近くも早い1972年に既に「芸術文化振興法」(1995年全面改正されて文化芸術振興法)を施行した、この分野では自他共に認める先進国。しかしながら、後発の我が国の同法が、「生活文化」というくくりの中で「書道」を取り上げ、法律の対象に含めているのに対して、韓国の同法は全面改正された今日でも「書芸」は対象から外されたままで、このため制度的にも財政的にも「書芸」は、久しく冷や飯の憂き目に甘んじて来たのだという。

 
 確かに韓国の現行法に目を通すと、その対象とする「文化芸術」の定義として「文学、美術(応用美術を含む)、音楽、舞踊、演劇、映画、演芸、国楽、写真、建築、語文及び出版」と幅広く取り上げてはいるものの、「書芸」についてはどこにも1行も記載がなく、なぜこのような扱いになったものか、俄かには理解しにくいところだ。
 このため、今回の法律案の発議に伴って発表された「提案理由」にも 
 「文化芸術振興法によって美術を含む文化芸術の振興のための事業と活動の支援は行われているが、書芸分野に対する施策や支援はほとんど行われていないのが現状」

 と指摘し、同法とは別に個別の制度や振興策も講じられていると言われる映画や音楽、漫画、アニメーション、出版、放送、印刷、工芸等々と同じように「書芸」についても、法律による「芸術」の1ジャンルとしての位置づけと認知を要求。

 
 そして、同法律案ではまず、「書芸」の定義として、「筆墨を利用し、紙に文字と記号を表現する視覚芸術」と明記し、同時に「書芸教育」の定義として、「学校と社会で書芸を教え、これを通して正しい人間性を養うことを目的とする教育をいう」、としている点も、興味深い。

 
 また、具体的な振興策として、所管の文化体育観光部(省庁)長官に対し、法律に基づく「韓国書芸振興財団」(仮称)の設立や、「書芸」振興のために5年ごとに「五カ年計画」を策定、年度別に振興策の実施計画を立案し推進するよう求めている。
 法律案はこのほか、
 1)国および地方自治体は、書芸教育の充実のための研究・開発や教育活動の支援体制の整備、
 2)書芸教育の充実に必要な専門知識、能力を持つ人材の発掘・育成、
 3)「書芸」の海外市場進出を促進するための事業の推進、支援のための施策なども求める、キメの細かい内容となっている。

 
 こうしたことから、同国でこの法律案が国会で成立をみた暁には、同国の「書芸」は国等の手厚い庇護の下に強力な活力、推進力を与えられ爐錣世の春瓩鳬隹里垢襪海箸砲覆襪里鷲定で、わが書道界としても帰趨を見究めつつ、同様の環境整備を政府や国会に求めていく準備を急がねばならないのではなかろうか。



(書道美術新聞 第1061号1面 2015年10月1日付)



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