(1)      (昭和51年6月7日第三種郵便物認可)美術新聞社報 平成29年(2017) 10月18日(水曜日)
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「書道」を無形文化遺産に
掲載日: 15年05月01日

無形文化遺産登録を話し合う書壇幹部(1月29日、H.オークラ)「和紙」「和食」に続け!
書壇3団体
登録推進協議会を結成


 井茂圭洞氏の提唱を受け、「日本の書道文化」をユネスコ無形文化遺産に登録する構想について検討を進めてきた全国書美術振興会(津金孝邦理事長)、全日本書道連盟(樽本樹邨理事長)、日本書芸院(吉川蕉仙理事長)の公益法人3団体は4月4日、犢汁朖瓩亮存修鬚瓩兇垢燭瓩料棺饕電運動を進める母体として、3団体を発起団体とする「日本書道ユネスコ登録推進協議会」を結成、発足させた。同推進協議会が4月10日、各報道機関に配布した文書で、その経緯と役員名簿などを公表した。

 ◇ ◇ ◇

 2003年に国連ユネスコ総会において採択され、2006年に発効した「無形文化遺産の保護に関する条約」(無形文化遺産保護条約)は、条約締結国(日本は2004年、世界で3番目に締結)に対して国内の無形文化遺産を特定し目録を作成することを求め、これをユネスコにおいて審査し「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(代表一覧表)」または「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表(緊急保護一覧表)」に登録して国際保護を行うことなどを定めている。
 
 昨年、登録決定が発表されて大きな話題となった「和食・日本の食文化」や、「和紙・日本の手漉き和紙技術」はこの「代表一覧表」への登録が承認されたもので、このうち「和紙」については、2009年に登録されていた「石州半紙」に「美濃和紙」「小川和紙」を加えてグループ化したもの。

 日本ではこれまでに、「能楽」「歌舞伎」「雅楽」や「京都祇園祭の山鉾行事」など、合わせて22件が登録されている。また、「書道」関連では、海外で既に2009年に「中国書法」と「中国の印章彫刻技術」が、2013年には「モンゴル書法」が登録されている。

 今回発足した推進協議会がめざそうとしているのも、この「代表一覧表」への「日本書道」の登録で、このため日本の書道文化全体を登録対象として運動を進めようとしているものだが、国際的に「日本書道」の独自性をアピールする必要性もあると考えられ、当面は「日本の書道文化‐中でも仮名書道を」という申請名称を掲げる方針という。

 また関係者によると、現在国内では、同じように無形文化遺産登録をめざす動きが50分野以上あると言い、文科省などの国内手続きがスムーズに進み、政府によってユネスコに対し登録の提案が行われるのは早くても3年後と見込まれているという。このため、推進協議会も「運動は長い年月を要する」と認め、「書道界の未来のために一丸となって運動に取り組んでいく」としている。

 そうした戦略的な狙いもあってか、発表された協議会発足当初の役員名簿を見ると、まずかな書壇の大御所の高木聖鶴、日比野光鳳両氏を顧問に、会長には内外に幅広い人脈をもつ全国書美術振興会の荒船清彦会長(元駐スペイン大使)が就任し、実質的に運動を指揮推進する副会長陣には、井茂圭洞氏を筆頭に津金孝邦氏ら3団体のトップを中心とする7氏が名を連ねる重厚な布陣となっている。

 協議会では今後、早い時期の荒船会長による記者会見を開き、今回の運動の主旨やその進め方などを発表する方針という。

 ◇

 登録推進協の事務局・連絡窓口は、〒107−0052東京都港区赤坂2−11−1 宮原ビル6階、筍娃魁檻械毅僑検檻横娃沓韻料換饅馮術振興会内に置かれている。


登録推進協 役員一覧
【顧問】高木聖鶴(文化勲章受章者)、日比野光鳳(文化功労者・日本芸術院会員)
【会長】荒船清彦(全国書美術振興会会長)
【副会長】井茂圭洞(日本芸術院会員)、津金孝邦(全国書美術振興会理事長)、樽本樹邨(全日本書道連盟理事長)、星弘道(全日本書道連盟副理事長)、石飛博光(全日本書道連盟副理事長)、吉川蕉仙(日本書芸院理事長)、黒田賢一(日本書芸院副理事長)
【総務部長】高木聖雨(全国書美術振興会理事)
【委員】清水透石(全国書美術振興会理事)、田中節山(全日本書道連盟常務理事)、舟尾圭碩(日本書芸院常務理事)
【事務局長】坂本敏史(全国書美術振興会事務局長)、松本薫(日本書芸院事務局長)
(H27・4・4現在)

◆3大牋篁梱畛業

【解説】ユネスコによる牋篁催佻伸畛業は、1972年にユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて、遺跡・景観・自然など人類が共有すべき顕著な普遍的価値を持つ、移動ができない物件を「世界遺産リスト」に登録する取り組みから始まった。

 これには「文化遺産」と「自然遺産」、それに「複合遺産」がある。知床や小笠原、富士山、また姫路城や日光、最近登録が決まって大きなニュースになった富岡製糸工場などはこれに含まれる。

 また、1995年からスタートした、毀損・消滅の危機に瀕した書物や文書、図像などの「歴史的記録物」を保全し、広く公開することをめざす「ユネスコ記憶遺産」(「世界記憶遺産」と俗称)では、日本からも近年、「御堂関白記」などが登録され、話題となった。

 これに対し「無形文化遺産」は、芸能(音楽やダンス、劇など)、伝承、社会的慣習、儀式、祭礼、伝統工芸技術、文化空間など、形がなく物件として「文化遺産」にくくることができない文化が対象。

 ユネスコはこれらを、1998年の総会で採択された、「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」(傑作宣言)に基づいて2001年からリスト化していたが、2006年に「無形文化遺産保護条約」が発効した後は「無形文化遺産」に吸収し、「代表一覧表」に登録している。

 ユネスコはこの「無形文化遺産」を、「慣習、描写、表現、知識および技術並びにそれらに関連する器具、物品、加工品及び文化的空間であって、社会、集団および場合によっては個人が、自己の文化遺産の一部と認めるもの」と定義している。



(書道美術新聞 第1052号1面 2015年5月1日付)


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